表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

どうして俺は…

「どうして俺は…」


足元に倒れている不良どもを見渡しながら俺はそう一言呟いた。


別に喧嘩がしたいんじゃない。今時、自分から不良になりたいやつなんかいない。不良なんてやっても人生を棒に振るだけ。


でも、俺が通っている中学には不良とギャルと一般生の3パターンがいる。それも一般生が最も少ないという最悪な状況だ。


そして俺はガタイがでかいのと生まれつき目つきが悪いせいで目が合ったと町中でも不良どもによく絡まれる。


つい先程も近隣の中学生に絡まれて倒したところだ。やられるばかりでは気に食わない。

俺自身も困っているところだが、俺は負けず嫌いのようだ。


誰にも負けないように様々な格闘技を習っていくうちに、誰にも負けないようになってきた。


勿論、そのままな訳が無い。俺が悪いわけではないのに、警察のお世話になってしまうこともある。


警察組織に所属する両親からは極力関わるなと言われるが、俺自身が関わろうとしていないのだから、言われたって困るってもんだ。


そんな事言う両親も俺を頼っている。

俺にはどういうわけだか、不思議な能力がある。それは事件の実際の映像を脳内再生できるというもの。


それのおかげで幾つもの難事件や迷宮入りしていた事件を犯人逮捕へと導いてきた。能力のことを話していないから、俺は天才探偵として知られている。


そういう背景もあって、俺は警察組織から犯罪解決に協力する優秀な中学生探偵として顔も名前も知られているため、こういう揉め事があっても被害者として扱ってくれる。


ほら、警察が来た。

来たのといつもメンバーだ。 

俺は一番最初に来たスーツをいた男性に頭を下げて声をかけた。


「錦戸さん。毎度毎度ご迷惑をおかけします。」


「お疲れさん。別に君のせいなわけでもないし、被害者なんだからさ。目撃者も多いし、ここらへんの方々は君のこともよく知っているしね。私達も事情もよく分かってるから早く帰んなさい。」


「はい。失礼します」


俺はそのまま帰路についた。学校終わりに映画を見に来たのだけど、こんなことなら帰ってからくれはよかった。


俺は血で濡れた拳を通学用鞄に入れてある白いタオルで拭き取ると彼らにかけておいた。


そのタオルは、俺が事件解決するたびに親から報酬金としてもらっている小遣いから注文しているタオルだ。タオルの隅に『黒龍』と

刻んである。


まあ、名刺みたいなもんだ。こいつらを倒したのは俺ですよって意味。勿論警察組織は、これが俺のタオルだってことは認知されているので、たまたま到着が遅れたときでも俺がやったと特定できる。




まぁ…予測されていたことだけど自宅に着くと玄関に母親が待っていた。鬼のような形相で…


「お・か・え・り!何でもご活躍だったそうですね。」


あぁ…怒ってるよ。俺別にケンカ売ったわけじゃないのに。


「活躍って不良を十数人倒しただけだよ?それも俺から喧嘩売ったわけじゃないんだよ?」


「勿論知ってるわよ?錦戸くんから電話があったから。私が言ってるのは、遊びに行くならまずは帰ってきなさいって言ってるの!」


「あ…はい。以後気をつけます。」


「それで?今日テストだったんでしょ。結果は?」


「それ聞く意味ある?」


「結果はわかってるけど、一応聞いておきたいのよ。」


「自分で見れば?はいこれ。宿題も学校でやってきちゃったから、部屋でゲームしてるね。」


「あら!今回も安定の全科目満点ね。流石私の息子。あっ!それと喧嘩するのはいいけど、必ず私達か上の人に連絡入れてからするのよ?後始末たいへんだから。」


「はいはい。」


こちとら喧嘩するのが面倒だったのに。うちの両親は喧嘩すること自体は寛容だ。喧嘩を売ってはいけない。だが、売られた喧嘩は必ず買って、ブチのめして来い。親が子に言うセリフではないが、うちではこれが日常だ。


俺にも兄弟がいて、兄が一人いる。あの人は高校サッカーで100年に一人の逸材と持て囃されて、今では国内プロの1部リーグでプレーしている。


甘いルックスと癒しボイスで昔からモテモテだった。喧嘩は激弱だったけど。おかげで俺は兄貴を守ってばっかだった。まぁ、その分俺には極端に優しかった。今でも、実家に帰ってきては欲しいものを買ってくれる。ああいうのをブラコンっていうのかな?


とは言え、俺にはなにか人と比較して、突出した才能なんてものはない。唯一格闘技だけは才能なのかもしれない。正直、警察官にはなりたくないから格闘家っていうのも悪くないかもしれない。


俺はそこから色々と考え事をしながらゲームを楽しんだ。まあ、別のことを思考しながらのため、ゲームは死にまくったが。



「じゃ、母さん。ジムに行ってくるよ。」


「はいよ。母さんも少し県警に顔を出してこないといけないから、もし帰ってなかったら渡してあるお金で夕飯食べてね。」


「りょうかい!行ってらっしゃい。」


母さんは、俺達息子には怒るけど絶対に手は出さない。まあ、その点は父さんもそうだけど。母さんは、俺たちを出産前に都内で刑事課の警部として捜査第一番課に所属していた。ちなみに父さんは第一課でも凶悪犯罪に特化した刑事だった。本人、熊みたいなガタイで初めてみるの人は、怖いという。俺達には激甘だけど。超過保護だから。そんな父さんは今、警察署長を務め、母さんは産後も育児のためにキャリアを捨てて専業主婦となった。


ただ、母さんは現役時の犯罪解決数がほぼ100%を保っていたことから、父さんから復帰してはどうかと家庭内で提案を受け、父さん権限で限定的に復帰した。


そのおかげというか、影響というか、県内の警察組織の上層部からの俺の認知度は馬鹿みたいに高い。


困ったことがあったら何でも言ってくれと俺に好印象を与えて父さんへの媚売りがめだつ。まぁ、俺としては生活しやすくなるから別にいいんだけど。


あ〜あ…一人になれる空間ってないもんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ