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水平思考

伊藤真という人の『本質をつかむ思考法』の中から、話をしようと思っている。が、この本を見た時、「あれ、どうしてこの人の本借りてきたんだろう?」とか、自分で疑問に思ったのだ。なんで借りたか、その経緯を忘れていた。


で、思いだしてみると、前にとりあげた鈴木輝一郎の『何がなんでもミステリー作家になりたい!』の中で、この伊藤真の『刑法入門』が刑法を知るのにいい、と紹介されていたのだ。それで図書館で検索すると、この人の本は沢山あった。法律関係のものが多いが、思考法みたいな本も結構書いていた。


この伊藤真がどういう人なのかというと、伊藤塾というのを開いていて、そこで司法試験合格者を大勢輩出してる、という人なのだった。図書館行って刑法の本を借りようかと思ったけど、煩瑣すぎて読むのが難しそうなので、思考法の方から借りてみた、という経緯なのだった。


この人が、『水平思考』というものを提唱している。この水平思考という言葉はこの人の造語ではない。70年代に書かれたイギリスの心理学者、エドワード・デボノという人の『水平思考の世界――電子計算機時代の創造的思考法』というのが元らしい。


この中で高利貸しと娘、のエピソードが紹介されている。ある親が高利貸しから金を借りたが返せない。返済を待ってもらうように娘と一緒に頼みに行くと、高利貸しはあるゲームを提案する。それは袋に白い石と黒い石が一つずつ入っているが、そのうち一つを見ずに引く。白を引いたら借金は帳消し、黒を引いたら借金を返すか娘を差し出せ、というものだった。


しかしこのゲームの前に、娘は高利貸しが黒の石を二つ入れたのを見ていた。――で、娘はどうするか? これからが水平思考だ。娘は石を取った直後にわざと落として、こう言う。「あ、石が落ちて何処かにいってしまったわ。けど、残っている石を見ればどっちを引いたか判るわ」


はい。見事な解決だ。水平思考というのは『視点をずらす』ことにより、解決法を導きだすことだそうだ。これに対し、一点に集中するのは垂直思考だ。これはこれで必要な局面があるだろう。伊藤真はこれを「他の人の視点を考える」ことに敷衍している。小説を書くのにも、役に立ちそうな発想法だと思う。


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