表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/212

洞察ということ

新聞に『CIA元工作担当官グレン・カール氏に聞く』というインタビューが載っていた。CIA工作担当官!? なんという怪しい響き。CIAとえば『今そこにある危機』とかでハリソン・フォードが演じたジャック・ライアンとかをイメージするかもしれない。ちなみにジャック・ライアンでテレビシリーズが出ててビックリした。


ジャック・ライアンは国際紛争に巻き込まれたりして活躍するが、実際にCIAがやってきた事は、もっとえげつない事だ。途上国でアメリカに色んな利権を渡す親米政権を樹立させるため軍を送り込むのはもちろんだが、反米政権が樹立してる時は、それを排除するため民衆を扇動して暴動を煽ったりする。それがCIAの工作で、CIAというのはそういう陰謀機関だ。


そのCIAの工作担当官が、何の話をするの? と興味を持って読んでみると、驚いた。いきなりフランスの政治思想家トクヴィルの話をし始めるのである。トクヴィルは19世紀後半にアメリカに渡り、『アメリカのデモクラシー』という歴史的名著を残した。


このトクヴィルをグレン・カールはこう語る。「彼ほど深く、米国の本質を見抜いた人物はいない。民主主義を支える制度が根ざす社会や文化に目を凝らし、洞察した。私は大学時代に彼の本に出会い、心の底から衝撃を受けた」


僕が感心したのは、彼がここで『洞察』というものを重視している、という点だ。その洞察とは、「本質を見抜いた」ことである。これは最近重視される「情報」とは異なるものだ。彼が知性を「洞察」と捉えた事は、とても興味深い。


情報と言うのは一度下知った後はその価値が下がるものだ。それに対し洞察というのは、知った後でなお、その価値を深める事すらあるものだ。そして情報それ自体も、世界に漫然と存在するのではない。対象から得られる情報は、観察者の認識力によって増減する。


この事を判りやすく書いた本が養老孟司の『バカの壁』だ。出産の経緯を撮った動画を男子生徒と女生徒に見せる。すると、女生徒は多くの事をそこから発見し、学ぶのだが、男子生徒は漫然と見てるだけだった。同じものを見ても、得られる情報量は認識者によって異なる。洞察とは、そういう深さの事だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ