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戦争の記憶

経緯は判らんが、今日はラジオで「戦争の話を聴いたことがあるか、ないか?」というテーマでリスナーからメール募集していた。全部が聴けたわけじゃないが、聞いた中で少し印象に残ったエピソードをあげてみる。


まず最初は認知症になった祖父の話。祖父は戦争に行った経験があるのだが、その話をしたことはなかった。時がたって認知症になった祖父は、部屋の隅を差して「兵隊がいる」とか言うようになったそうだ。リスナーさんは当時中学生で、そんな祖父が嫌いだった。で、その嫌いなまま祖父は他界した。


大人になってから、祖父がきっと凄絶な経験をしたんだろうと思いが及ぶようになり、墓前で祖父に心の中で謝るようになったそうである。本当の戦争の話は、受けとる側にも理解するための許容度が必要なのだろう。


次はミャンマー(当時はビルマ)に従軍した祖父の話。ほとんど戦争の話はしなかったが、一度だけ戦争の話を聴いたという。軍にいた時、まったく食料の配給がなかったにも関わらず、目的地まで移動しなければいけない。敵との交戦で死ぬ兵士もいたが、餓死して死ぬ兵士も多かったそうだ。


行軍中は、蛇、カエル、草、木の実――食べられそうなものはなんでも食べた。いよいよ食べる物が無くなった時、亡くなった兵士の靴を煮て食べたそうだ。そうやってなんとか生き延びて、祖父は戦地から帰ってきた。物静かで争い事が嫌いな人だったという。


もう一人は山での作業中に、ふっと祖父が戦争の話を洩らした。いわく「上官のいう事を真面目に聞いていた友人は、皆、帰ってこれなかった」と。その祖父は続けて、「他国に侵略するような戦争には、絶対参加してはいけない」と言ったそうだ。


どうも、軍とか国とかが国民を守ってくれる、みたいな勘違いをしてる人が結構いる。事実は逆である。国は若者を明確な計画もなしに戦地に送るばかりか、最後は攻撃的自殺に追いやっている。それでいて、それを命令した人間は責任をとったわけではない。そして戦争の記憶は人の心の奥深くを傷つけ、例え平和な暮らしをしていても、それが綻んだ時に出てくるほど強力だ。



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