キャラの魅力って?
物語について考える時、いつも念頭にある言葉がある。それは――
『リングの上に、凡人はいらない』
だ。これは最強の女子プロレスラー北斗晶の言葉だ。いや、最強は神取忍だろう、と思う方がいるかもしれないが、いやいやそんな事はない。北斗は93年、夢のオールスター戦で神取と対戦し、死闘の末に勝利している。
これは本当に凄い戦いだった。まず始まって数分で、神取は北斗を脇固めに取り、なんと肩を脱臼させるのだ。しかし北斗は肩を嵌め直して再開、その後、場外でパイルドライバーを受け、バケツの水をかけたくらいの出血をする。
しかしその後、神取も流血。二人はグーパンチで殴り合ってダブルノックダウンになった後、北斗が神取に這ってかぶさりフォール。勝負を制したのだった。
所詮、女子プロだろ…とか甘く見てる格闘技ファンには是非、見てもらいたい。格闘技の試合なら、最初の肩が外れた段階で、そして北斗の凄まじい流血で即ドクターストップだ。けど当時の女子プロにはそんなものはなかった。
その死闘の末に執念で勝つ、そのメンタルの強さ。…それはもう、想像の域を超える領域だ。だから僕は北斗が最強、と思う。…が、北斗は実は『強さ』を重視してるプロレスラーではないのだ。
弟子とのチーム戦で、多団体に勝利した後、北斗は弟子二人を平手で張り飛ばす。「なんだ、お前たちの戦いは! あいつらの方が、よっぽど『心のプロレス』をやってたよ!」と、北斗は激怒して怒鳴るのだ。
ただ強いだけではダメで、いいプロレスラーは「魅力」があって、観客を『魅せ』なければならない。そのためには、プロレスラーは『心のプロレス』をしなければならない、というのが、北斗のプロレス哲学だった。
「リングの上に凡人はいらない」の凡人とは、「魅力のない人」という意味になるだろう。けど、自分に魅力があるかどうか……それを自覚的に育てるというのは、中々に難しい問題だと思う。




