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それらしい理屈

小泉進次郎が選挙対策委員長を辞任するそうだが、まあ仕方ないかなと思う。そもそもこの人は総裁選で敗れた訳だが、その負けた大きな理由は一つの発言だ。それは解雇規制の緩和を口にしたことだ。一気に「会社側が自由にクビを切れるようにするつもりか」と反発が広まった。まあそれはいい。


この時、ラジオで保守系経済論者が言っていた。「彼の言うことも決して間違いではないんですけどね」。どういう事かというと、アメリカが今、好景気なのは、労働者の収入が上がってるからだ。何故、収入が上がるか? 賃金が安いところを辞めて、労働者が高いところを選ぶからだ、と。


日本では労働市場の流動性が低く、会社を辞めて次の会社を選ぶのも大変だし、会社が解雇するのも大変だ。だから解雇規制を緩和して『労働市場を流動化』をすれば日本の契機もよくなる。…と、こういう事を言ってたわけである。どう思うだろうか? 僕は、ほう、と一瞬思った。


が、よくよく考えてみると、なんか似た話を昔聴いたことがある。その時は「働き方の自由化」とかいう話で、「多様化の時代、色々な働き方をする人が出てくる。そのニーズに合わせて企業の方も終身雇用のような雇い方じゃなく、時間帯や労働成果に応じた報酬などの形態を考えるべきだ」とかいうような理屈だ。


なんか、もっともらしい理屈だ。うわべだけ聞いてると。で、結果どうなったか? 非正規雇用が増えて、平均収入は低下。高給取りの正規雇用とそうでない人たちとの間に経済格差が生まれ、驚くべき格差社会になった。日本経済は不況続きだ。けどこの時,理屈を言ってた奴は責任などとらない。


思うのだが、権力者とか経済人というのは、もっともらしい理屈を言って、結局のところ自分たちだけが潤うような都合のいい事をやりたがる。そのもっともらしい理屈の最たるものは『トリクルダウン』理論だったが、これはピケティが反証してから、ようやく言われなくなった。


こういう理屈をいう奴の特徴がある。半笑いで「こんな事も判らないんですかね」みたいな雰囲気を言外に匂わせて、「現実論はこうなんですよ」と、いかにも自分が世界を知ってるような、したり顔でものを言うのだ。こういう奴がムカつく。鵜呑みにする政治家も悪いが、それよりムカつく。それだけ。


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