『わたしの幸せな結婚』一巻を読んだ
歯医者に行った時、棚にある適当な漫画を取ると、『わたしの幸せな結婚』という題名の漫画であった。原作小説があり、漫画化したものらしい。新婚ものかしらん、とか思って読み始めると、全然、違った。
主人公がある家に嫁いでくるところがファーストシーンである。で、このヒロインは「もうわたしに戻るところはない」とか悲壮な決意を抱えている。何事? と思って読むと、このヒロインの事情が判る。
舞台はどうも明治・大正期ぐらいの架空日本で、ヒロインはその中で『異能』を持つ家柄の娘として生まれた。ところがこのヒロインは異能の才能がなかった。そして幼い頃に母親と死別する。
この後、父親が再婚するのだが、この時家に来た継母はヒロインが大嫌い。そもそも、父親が結婚するはずだった相手だったのだが、父親はそれを振り切ってヒロインの母親と結婚した経緯があった。で、この継母に異母妹が生まれると、ヒロインは家族の中で「厄介者」として排除されるようになる。
そういう中でも、ただ一人両家の息子でヒロインの不遇な状況を気に掛けてくれる青年がいた。ほのかに淡い想いを抱くヒロイン。しかしその男は! 異母妹と結婚してしまうのだ。で、無能のヒロインは、三人も嫁が逃げたという、やはり異能持ちの家系の男のところに嫁に行かされることになる。
いや、ここまで書いてて、ふと気づいたのだが、「異能持ち家系」みたいな設定は、僕が今書いてる作品とちとかぶる。が、こっちは完全、バトルもの。けど、この作品はバトルなぞまったくせず、その冷徹な夫候補に朝食を作ったら拒否られた、とか、けどそれは冷徹イケメン夫候補がそれまでの、わがままな良家の子女を見てきたせいだった…とかの家庭事情の話だけしてるのである。
けど面白くないかと訊かれれば――いや、面白かった。なるほどなあ、と思った。一人の不遇な女性の行く末だけで、こんなにも人の関心を惹きつけるものなんだな。やはり『みにくいアヒルの子』や『シンデレラ』というのは、ヒロインものの黄金形なんだと再認識した。と同時に、ハリー・ポッターというのは、やはりヒロインなのだと、ふと思った。




