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白虎の翼  作者: 地辻夜行
1章 誰が為の物語か
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18話 守りて必ず固き者は、其(そ)の攻めざる所を守ればなり

「亀ちゃん?」

「あ、失礼いたしました。亀戸……様⁉」

 なんでコイツがここに⁉

「翼ちゃん。声が大きいですわよ」

 驚いたことに彼の後ろに桃華お嬢様までいる。亀ちゃんは中等部の、桃華お嬢様は小等部の制服を着ているけど。

「お嬢様、御無事で」

山田さんと目を開いた鈴木さんから安堵の声が上がる。

「二人とも無茶をさせてしまったわね」

 二人揃って首を横に振る。息がぴったりだな、この二人。

「でもお二人がどうしてここに? 捕まったわけでは、ないのですよね?」

 アタシの言葉に亀ちゃんが目をキラキラさせる。

 これは……くるか!

「孫子曰く『守りて必ず固き者は、其の攻めざる所を守ればなり』。僕たちの探索場所に、自分たちが占拠している伊邪那岐学園を選ぶことはないのではないかと考えまして」

「それはそうでしょうけど、どうやってここまで?」

「このフロアの地図は、カメラの位置も含めて頭に入っていましたから、本来通路ではない所を通ったりして、あの人たちはなんとかやり過ごしたんです。でも、アンナロイドたちを動員されたらすぐに見つかる。そこで、さっき言った事を実行できないかと思って、脱出した点検口まで戻ったんです。蓋のロックの解除方法は思いついていませんでしたが、状況を確認しようと思って。えっと、脱出した時、下の空間から最後に出られたの飛鳥さんでしたよね?」

「ええ」

「蓋、閉め忘れていましたよ」

「え?」

 言われてアタシはあの時のことを思い返す。

 出口からでた。カモミールちゃんに驚いた。バッグを亀ちゃんに押しつけた。カモミールちゃんを担いだ。

 ……あ。

 カ、カモミールちゃんのせいだ!

 でなければ、アタシが扉を閉め忘れるなんて!

「閉め忘れてくれて、ありがとうございます!」

「フフフ、本当に舞ちゃんが閉め忘れてくれたおかげだわ」

「やるな。追手が来るかもしれない状況で閉め忘れるとは」

「必要な時に閉め忘れる。すごいです! メイドの鑑です!」

 なんだろう? 感謝されているのに、悲しくなってきた。

「とにかく、到着した後はカメラに映らないように気をつけつつ、千本桜先輩に倉庫の近くにいた子たちと交渉してもらって、この格好な訳です」

「でも、このままここに居ても仕方がないわ。琥珀ちゃんは別の所に囚われているのよね。なんとか助け出してこのフロアから脱出しないと。人質にされている他の人たちのこともあるし」

「そのことでございますが……」

 アタシは校長室でのやりとりを四人にかいつまんで話す。もちろん琥珀お嬢様がアタシを切り捨てたことを強調してだ。

 アタシの話を全て聞き終え、桃華お嬢様は大きくため息をつく。

「琥珀ちゃんは変わらないわね。小さな頃から、弱者のために自分を犠牲にすることをいとわない」

 え?

「それにしても琥珀ちゃんは翼ちゃんを本当に信頼しているのね。貴女が少しでも自由に動けるようにしておけば、きっと貴女がなんとかしてくれる。自分を助けてくれる。話を聞いただけでもその想いが、痛いほど伝わってくるわ」

 え? え?

「亀戸さん、予定を変更いたします。琥珀ちゃんが作ってくれた多くの人質を逃がす機会を潰すわけにはいきません。私達は今回の解放に紛れてこのフロアを脱出。外から琥珀ちゃんの救出及びテロリスト殲滅の計画を実行します。風御門にも、首謀者の名を伏せることを条件に協力させるわ。四人とも不用意な行動は控えるように」

 他の三人が頷くのが見えたが、アタシはなにも返答できない。

 先程の桃華お嬢様の言葉に、ただただ混乱するばかりだった。

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