会話
「え、あ…ありがと!サンキュー!」
洋平は慌ててプリントを受け取る。驚きと、会話のきっかけが降ってきた嬉しさで声が上擦ってしまった。
何とかして話せる仲になりたい。
「あーあのさ、道谷さんはこのプリントもう書いた?」
急に話を振られたことに瀬奈は少し驚いた表情になったが
「まだ何も書いてないよ」
と苦笑いしながら答えた。
あぁ、久々に生身の人間の顔を間近で見た。安心する。洋平の緊張の糸がほぐれていく。
「お、俺も。『夢を持て』ってうるせぇよな。未来なんて誰にも分からねぇのにさ」
なんとか頑張って話していった。少し早口になってしまったが不自然に思われていないだろうか。
瀬奈は最初キョトンとした表情で聞いていたが、うんうんと頷き
「分かる。ほんと、そうだよね」
と洋平の話に同意した。
よかった、とりあえず会話できた
今日だけじゃなく、これからも話せる仲になりたい。
「なんかこうして話すのほとんど初めてだよね」
柊月からも話してきた。
「あー確かに。…ごめん急に話しかけて」
「え、いやいや大丈夫だよ」
謝らないでと言って瀬名は笑った。笑顔が眩しい。
「むしろ、同じクラスメイトととしてこれからよろしく」
柊月からそう言われて洋平は心底安心した。
これでこれからも話せる仲になれたか?
「おう、よろしく!」
その時チャイムが鳴ったので洋平は
「じゃ」
と話を切り上げ席に戻った。
「…」
その洋平の後ろ姿を瀬奈はずっと見ていた。




