告白
楽しんで頂けたら幸いです。
新たな音声が流れたことに、洋平は一つの懸念が生まれた。
まさか、このまま自分はスピーカーに乗っ取られたりするんじゃないのか?
映画でよくありがちな展開を考えてしまう。スピーカーが勝手に会話を進めていくようになり、自分はそのまま話すことも出来ず消えていく…そんな結末が頭の中で浮かんできた。
いやいやそんなことあってたまるものかと洋平は慌てて首を振る。
しかし、この不安の感情を自分の中だけでは抑えきれなかった。
先日、洋平は担任に人の顔がスピーカーに見えると言った。担任は何言ってるんだと信じなかったが、瀬奈はどうだろうか。
少なくともそれに対して揶揄うような人間じゃないと洋平は確信していた。
今日も朝、洋平は瀬奈に挨拶した。
「はよ、道谷さん」
「おはよう、先崎くん」
「英語の課題、確か今日までだよな?出来た?」
「自信無いけど、一応」
なんてことのない会話。しかし、洋平にとって瀬奈との会話は至福の時間だった。
ひとしきり雑談した後、洋平は意を決して言った。
「あの、ちなみになんだけどさ…なんか周りの人の顔おかしく見えたりしねぇ?」
もしこれで引かれてしまったら…と考えたが、口の動きは止まらなかった。
「どういうこと?」
洋平は続ける。
「その…違うものに見えるみたいな。例えばスピーカーとか」
瀬奈はよくわからない、という顔で
「ないよ…」
と答えた。まあそりゃそうだよなと洋平は思った。
そのまま彼女は聞いてきた。
「先崎くんにはそう見えるの?」
「…あぁ」
君以外はな、と心の中で付け足す。
瀬奈は笑ったり揶揄ったりせず真顔のままだった。
「いつから?」
「大体2ヶ月くらい前から」
そっか、と瀬奈は前置きした後言った。
「そう見えるとしたら、何かの病気なのかな。人の顔を認識できないのって大変そう…。今まで辛かったでしょう。他には何か変わったこととかある?家族に相談はした?」
矢継ぎ早に質問や言葉が出てきた。彼女がまさかここまで真摯に相談に乗ってくれるとは思わず洋平は圧倒された。
「お、おう…えっと」
自分から言い出したのにも関わらず、しどろもどろになってしまった。
「あ、ごめん、急に色々聞いちゃって。でも」
瀬奈は洋平をじっと見ながら言った。
「私でよかったらいつでも相談して」
真剣な表情だった。
洋平が「サンキュ」と答えると瀬奈は少し黙った後に付け足した。
「私じゃなくて他の人にも聞いてみたら、何か分かるかも」
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