白紙
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3/5(水)、加筆修正しました。
「道谷、なんで白紙なんだ」
洋平は職員室のドアの後ろで様子を伺っていた。担任は椅子に座り、瀬奈は立って話を聞いている。
瀬奈は白紙で感想文を出したのか?何故?書く時間は十分にあったこと、また彼女は特別文章を書くのが苦手ということは無かったはずだと洋平は頭の中でグルグルと考えた。
「先崎や津原でも下手な文章を多少は書いているぞ」
いや今俺の名前言った!?こういう時普通他の生徒の名前出すか!?てか津原もかよ!?と洋平は心の中で憤慨した。
その時、一瞬ピクリと瀬奈の体が動いた気がした。
「白紙で出したこと自体は良くなかったと思います。すみません」
意外にも瀬奈はすぐに謝った。しかしそのまま続ける。
「ただ、あの講演を聞いても私は戦争について分かったとは思えないし、何より自分がちっぽけな存在だと感じただけでした」
「…感想が行き詰まったのか?」
「まあ、はい…。圧倒されただけであの場で何を書いても嘘っぽくなりそうだと思ったんです」
そもそも何かの話を聞いた後、理解しただの共感しただの感想を書くこと自体に懐疑的だと瀬奈は言った。
担任はうーんと唸り、
「はぁー、分かった分かった。じゃあ今言ったことを文章にしてプリントを提出すること」
と大して分かってなさそうな口調で言った。成績が下がってしまうから、次からは気を付けるようにと担任は締め括る。
失礼します、と瀬奈の声が聞こえた。あ、まずい。
「え」
「あ」
職員室を出た瀬奈と洋平が鉢合わせした。
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