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奪われたもの

 家に帰った俺とミライは、リビングのテーブルに向かい合って座っていた。


「あの、誠道さん」


 意を決したようにミライが話しかけてくる。


 雰囲気が非常に重い。


 それこそ彼氏に『未だ……来ないの』と伝えるときの彼女のような雰囲気だ。


「ひとつ気になることがあるんですが、この思考読み取り機、親機を取り込んだ人が子機を取り込んだ人の思考を読み取ると書いてあるんですけど、逆に誠道さん側から発信はできないんでしょうか? 一方的に相手の思考を読み取れるだけでも充分すごいとは思うのですが」


 もっと深刻な話をされると思っていたので、正直、拍子抜けだ。


 でも。


「たしかに。俺からも発信できるなら、より便利ってことになるな」


 ようは声に出さなくても会話可能ってことだろ。


 目を閉じないといけないけども。


「じゃあさっそく試しましょう。私が子機を飲み込んで誠道さんの思考を読み取ってみますね」


「わかった」


 ミライはすぐに小さな球体を飲み込む。


「それではさっそく試しま…………あっ」


 しまったと言わんばかりに口を開いたかと思えば。


「申しわけありません。私、誠道さんの毎晩の至福のひとときを奪ってしまったかもしれません」


 深々と頭を下げて謝罪してくるミライ。


「え、いきなりなんだよ?」


「だって、もし誠道さんから発信できた場合、男子が、夜に毎日ひとりでする至福のひととき中の思考が、私にダダ漏れってことじゃないですか」


「だから、その至福のひとときってなんだよ」


「それはもちろん、その……」


 ミライはなぜか頬を赤く染め、恥ずかしそうに身をよじらせた。


「自家発電のことで」


「いきなりなに言いだすんだ!」


「じゃあ……右手の青春?」


「言い方の問題じゃねぇ! そもそも毎日って、そんなにしねぇよ!」


「毎日はしないってことは、三日に一回くらいですか?」


 しまった。


 慌ててしまって墓穴を掘っていたなんて。


「そそそそそ、そんなわけないだろう」


「なるほど、そうなんですね。すみません」


 あれ、否定したのになんでばれたの?


 もしかして、もう俺の思考がダダ漏れなの?


 でもまだミライは目を閉じていないから、読み取れるはずがないよな。


「私ったら、誠道さんを支援するメイドでありながら、誠道さんのストレス発散を阻害……いや、むしろ誠道さんクラスになれば聞かれていることがご褒美になる可能性も」


「俺をどんなやつだと思ってるんだ」


「引きこもりのドMです!」


「満面の笑みで言わないで!」


 そもそもこの世界でのストレスの元凶は、ほぼほぼミライさんなんですけどね。


「ちなみに三日に一回とおっしゃいましたが、いったい誰で、その……してるんですか?」


「そんなの死んでも言うかよ! じゃなくてそもそもしてねぇよ!」


「そんなにムキになるってことは、もしかしてこの私ですか?」


「もういい! そこまでからかうならお前との実験はなしだ! どうやったらこれ、読み取り停止できるようになるんだ?」


「できないです。試作機なので不具合が起こる可能性はありますが、子機を飲み込んだものが死ぬか、親機を飲み込んだものが死ぬまでつながったままです」


「おいふざけんな! そんな大事なことは先に説明しといてくれよ!」


 なんでこの世界は後出しじゃんけんばかりなんだ。


 ……ん? 待てよ。


 死なないと登録対象変更できなかったってことは……。


「俺。今はじめて心の底から聖ちゃんの性癖に感謝してるわ! ゴブリンと永遠につながったままとかマジ最悪だったわ!」


 聖ちゃんがあのゴブリンを殺してくれなかったら、俺はあのボッチなゴブリンとズッ友になる可能性があったってことだよね。


 だって俺にはあのゴブリンの考えていることがすべてわかるんだから。


 友達になるのなんて簡単だもんね。


「もったいないことをしましたね。引きこもりとボッチ。類は友を呼んでいたのに」


「同族嫌悪だよ!」

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