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捧げもの
四のつく日に牛河で泳ぐなら、盃一杯の酒と笹の葉に米と塩を巻いたものを川ん神さんに捧げなならんってさ、いくら田舎でもほかに遊びみちはいくらもある、誰も面倒がって四の日には泳がんかったのに、あんたいつもあたし誘って泳ごう泳ごうって、あんたんとこの父親の盃とあたしんとこの塀の笹持って、いっつも四の日は川にさあ。
あんた待ってたんだろ、あたしが白の服を着る日をさ、酒もって米もって贄の格好で川に近づく日をさあ、そんなにあたしが憎かったか――。
でもね、いまは川ん神さんの嫁のひとり、塞翁が馬さ、そっちよかずっといい暮らししてんだから。
あんた最近出戻ったって、子にも夫にも捨てられたって、田舎じゃ肩身も狭かろ、昔のよしみ、どうだい一緒に川の底。