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第2話 闇魔法

「ダークスラッシュ!」


 オカシラが森の中で湧いてきた狼やゴブリンを闇を纏ったショートソードを斬りつけて倒していく。運よく気絶した敵をアイリが落ちていた木の棒でポコスカ殴ってレベルアップしていた。どれだけ攻撃力が低くてもダメージは最低でも1は通るのだ。


「おかげでレベル8です。ありがとうございます、オカシラさん」


「そいつはどうも。こっちは文無しになっちまったから、冒険者稼業からやり直しだ」


「手伝いがいるときはいつでも呼んでください」


「てめえのせいだろうが!」


 大声を出したせいで魔物が近寄り、オカシラが薙ぎ払い、アイリがおこぼれを貰う完ぺきな連係だ。そんなこんなで森を抜けると、湖の前に一軒家が見えてくる。どうやら、この家の持ち主が闇魔法を教えてくれる人らしい。


「マーサ、入るぜ」


「この馬鹿弟子が!あんたに教えることは何一つも無いよ!」


「用事があるのは俺じゃねえ!この子だ」


 怒り心頭の老婆がアイリにぐっと顔を近づけ、値踏みするかのようににらみつける。


「ハーフじゃないね。純血のエルフ、どこでさらってきたんだい?」


「さらってねえよ!むしろ、コイツに有り金を全部むしり取られたんだ」


「罰があたったんだよ。で、用件を聞こうじゃないか」


「コイツ、アイリに闇魔法を教えてやってくれ」


「どれだけキツイか、アンタが一番よくわかっているだろう。この子が耐えきれると思うかい?」


「耐えれる。途中で逃げ出した俺が言うのもアレだが、俺が保証する」


「アイリ、アンタの意思を聞こうじゃないか」


「闇魔法、覚えたいです」


「よし、契約は成立だね。まずはアイリの精神力をはかる。闇に飲まれるほど弱い精神力じゃあ魔法は覚えられないからね」


 マーサが杖を振るうと、アイリは真っ白な空間に飛ばされ、1人残されたアイリは何をするんだろうと思いながら、時間が流れていくのを待っていた。




「いきなりこれかよ」


「オカシラ、アンタが発狂した修行だね」


 修行内容はいたってシンプル。時間が加速された空間内で丸三日(ゲーム時間で1時間)過ごすと言ういたってシンプルな内容だ。だが、人は何もない空間では2日で発狂するという実験データがある。オカシラも3日目は耐えきれずにマーサの下から抜け出す羽目となったのだ。

 そんな拷問じみた修行中アイリは……


「影はあるんだね。だったら影絵で遊んでおこうかな。キツネ!」


 まだまだ余裕といったところだ。



 それから一時間が経過し、マーサが杖を振るってアイリを呼び出す。ほぼ100%壊れているだろうと思っていたが、何がよくわからぬまま目をぱちくりしているアイリを見て驚愕していた。


「お前、無事なのか?」


「無事も何も待たされただけですよ。暇だったから影絵で遊んでいたくらい。コンコンって」


 スキル:【時間耐性(小)】を覚えました


 スキル:【精神耐性(小)】が【精神耐性(中)】にアップしました


 スキル:【影操作】を覚えました。影を使った魔法が習得可能になります


「この子は逸材かもしれないね。ヒッヒッヒッ……」


 マーサは薄気味悪く笑いながら、アイリを奥の部屋へと連れていく。そこには外からわからぬほどの広い空間に敷き詰められた本だな。


「すごい……こんなの図書館だよ」


「あんなチンケなものと比べるんじゃないよ。ここにはこの黒魔導士マーサが集めてきた闇魔法の知識が集まっておる」


「黒魔導士?」


「それも知らないのかい。ったく最近の若い者は。黒魔導士ってのは闇魔法を極めた者だけがなれる職業。アイリには到底及ばない領域さ。アイリがなるっていうなら止めはしないけどね」


 職業クエスト:黒魔導士の道を受けますか?

 →はい

  いいえ


アイリは迷うことなく「はい」を選び、マーサの言葉を聞いていく。


「まずは魔法の習得が肝心。スキルポイントはあるか?」


「あります」


初期のスキルポイントが100。また、レベルが1つ上がると3ポイントもらえ、レベル5になったときだけ5ポイントもらえたので、合計123ポイント、アイリの手元にある。


「アイリのスキル構成を見させてもらった。どうやらこのあたりの魔法が相性がよさそうだ」


魔法:【シャドーミラージュLv1】(40ポイント)消費MP16


魔法:【シャドーアタックLv1】(20ポイント)消費MP2


魔法:【カースLv1】(20ポイント)消費MP4


魔法:【ポイズンショットLv1】(20ポイント)消費MP4


「全部覚えます」


「ヒッヒッヒッ、全部は無理かと思っていたが、気に入った。もうこの老婆には使わんものじゃ」


ランダムスキル書を手に入れた


「ラッキー。早速使おう」


スキル:【急成長Lv1】を覚えた


「えっ~と、植物を種から一気に成長させます……か。将来は闇落ちした農家かな」


「なかなか愉快なスキル構成じゃな。闇魔法を覚えたいときはいつでも来るといい。さてと、アイリはギルドは入っておらんようじゃが?」


「はははは、その辺すっ飛ばして酒場に行っちゃったから、まだちんぷんかんぷん」


「オカシラ、アンタが責任をもってこの子を面倒を見るんだよ」


「マジかよ……マーサがそういうなら仕方がねえ。俺も金を稼がねえといけないから、手が空いているときだけだが、面倒見てやるよ」


NPC:オカシラが正式に仲間になりました。スキルポイント30ポイント贈呈します


称号:盗賊を救った者を得ました。


「この称号を持っていると、自身と仲間の善悪度が善よりに成長します……つまり、ダークヒーローファーマーに私はなる!」


「なんだそりゃあ」


「あっ、スキルポイント増えたからよさそうな闇魔法無いかな? 50ポイントくらいで」


「なら、このあたりか」


魔法:ポイズンミスト(30ポイント)消費MP12


魔法:メンタルブレイク(20ポイント)消費MP8


「50ポイント以上の魔法はアイリが一人前になってからじゃな」


(一人前……ってことは転職できるレベル20あたりかな)


ゲームで一人前が何を示しているのか分からないアイリはとりあえずそれくらいが目安だろうと考えた。それ以外にも条件があるなら、その時はその時だと。


「魔法も覚えたことだし、帰りのモンスターの戦闘は俺の後ろでチマチマ戦うんじゃねえぞ」


「はい。頑張ります」


マーサに礼をした後、二人は始まりの街へと戻っていく。その道中、やはりと言うべきかゴブリンが二人に襲い掛かってくる。


「数は3か。1匹はそっちに流す。やばそうなら呼んでくれ」


「わかりました」


わざと逃したゴブリン1匹がこん棒を振り回しながら襲い掛かろうとしている。


「シャドーミラージュ!」


ゴブリンの影とアイリの影から、アイリの分身体が現れる。突如背後に現れたアイリの分身体に気を取られたゴブリンは動きを止めてしまう。


「シャドーアタック!」


分身体から殴られるも大したダメージも無いことにケラケラと笑いながら本物のアイリへと向かっていく。


「だったら、ポイズンショット!カース!」


アイリの手から紫の球と黒い球が放たれ、ゴブリンに命中。しかも、目の前だけでなく、先ほどペチペチと殴っていた分身体からも放たれていた。当然だが、ゴブリンは毒と呪い状態になり、HPが時間と共に減少していく。2つの状態異常、しかもスタックされていることから、その減りは異常なほどまでに早い。早く仕留めねばとゴブリンが駆け寄るが、そのこん棒がアイリに届く前に絶命する。


「なるほど。分身体作ってシャドーアタックで攻撃できるようにしてから、魔法を使うと分身体も同じ魔法を使ってくれるんだ。しかも分身体の消費MPは0」


初期のMPが50。レベルアップで2ずつ上がっているから今のアイリのMPは64。26のMPを消費したから、残り38。もし、分身体も使っているならそれよりも少なくならないといけないが、今表示されているMPは38。


「強い魔法を覚えたら3連撃になるってこと? 強くない? この魔法。消費MPは高いけど」


今の戦闘スタイルを貫こうとするなら、現状のMPでは2回戦闘したらポーションでの回復が必須になる。金がかかって仕方ないはずだが、今のアイリには膨大な資金がある。ポーション如き、いくらでも買えるのだ。


「金、毒、呪い、分身。ステータスが低くても戦える方法があるって素晴らしい。悠里ちゃんが欲しがっていたのも納得だよ。ハッハッハッ」


アイリが悪役っぽく笑っていると大きい蜂、キラービーに背後から刺された。ちょっとHPが減ったが、慌てることなく魔法を使う。


「ポイズンミスト」


毒の霧に飲み込まれたキラービーは逃げ切ることができず、絶命する。自分の戦闘スタイルを確立したアイリはレベル上げをしながら悠々とはじまりの街へと帰るのであった。

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