第19話 掲示板と運営
214.名無しのプレイヤー
みんな、クランは作ったか
215.名無しのプレイヤー
とりあえず大型クランに入った
216.名無しのプレイヤー
作ったけど、3人しかいない……
217.名無しのプレイヤー
集まらないときはどっかのクランに入ったほうが良いわな
218.名無しのプレイヤー
自分のクランでイベント優勝とかやりたいじゃん
219.名無しのプレイヤー
気持ちはわかる
220.名無しのプレイヤー
現実は非情である
221.名無しのプレイヤー
あとクランホームは買える奴いねえだろう
222.名無しのプレイヤー
買っている奴いるんだよなあ、2組
223.名無しのプレイヤー
確か【Noble Knights】と【桜花】だったか
224.名無しのプレイヤー
Arthurのところは分かるとして、【桜花】はどこのクランだ?
225.名無しのプレイヤー
構成員はわからないけどクランリーダーの名前は表示されるはず……あのエルフか
226.名無しのプレイヤー
ああ、例の……
227.名無しのプレイヤー
おかしい。エルフは種族であって固有名詞じゃないはず
228.名無しのプレイヤー
でも『エルフ』だけで色々と察することできるし
229.名無しのプレイヤー
イベント上位に入ったエルフっていうインパクトが強いからエルフだけで伝わるだけだろう
時間が経てば印象も薄れるさ
230.名無しのプレイヤー
分身使って毒と呪いをまき散らすエルフはそう忘れんよ
231.名無しのプレイヤー
このゲームの歴史の1ページには載った
232.名無しのプレイヤー
公式のイベントダイジェスト動画にもピックアップされたしな
233.名無しのプレイヤー
ああいうプレイできるんだと思って新人が続々入って、
どこで入手できるのかを攻略サイトで聞きまくっていたよな
234.名無しのプレイヤー
2次生産分もすぐ完売ってヤベーよ
235.名無しのプレイヤー
なお、肝心のスキルはまだ誰も手に入れてないのである
236.名無しのプレイヤー
どこだよフラグ……
237.名無しのプレイヤー
はじまりの街にあるのは確実なんだけどなあ……
238.名無しのプレイヤー
【速報】レイド戦始まる
239.名無しのプレイヤー
ファ!?
240.名無しのプレイヤー
なんやて!?
241.名無しのプレイヤー
なん……だと……
242.名無しのプレイヤー
待て待て待て!レイド戦は7月って言っただろう!
なんでアプデすぐに来るんだ!
243.名無しのプレイヤー
【桜花】っていうクランが何かのフラグを立ててレイド戦を開始させたらしい
244.名無しのプレイヤー
ログアウトクールタイム中……オワタ
245.名無しのプレイヤー
とりあえず運営に報告するわ
246.名無しのプレイヤー
既にしたんだよなあ
運営、ものすごく焦っているのか誤字だらけ
内容的には問題は無いみたいだけど
247.名無しのプレイヤー
運営が焦るレベルって……
248.名無しのプレイヤー
【Noble Knights】参戦しとるやん
249.名無しのプレイヤー
まるでゴミのように吹き飛んでいるな
250.名無しのプレイヤー
ゾンビだしな……情けを賭ける道理が無い
251.名無しのプレイヤー
問題はボスキャラのレベルやろ……99って
252.名無しのプレイヤー
ミリも減らん
253.名無しのプレイヤー
俺たち一般ピーポーはゾンビバスターズになるしかねえ
254.名無しのプレイヤー
だな。経験値はあまりおいしくないけど、金はそこそこ美味しい
もとは商人なのか、こいつら
255.名無しのプレイヤー
金寄こせー!
256.名無しのプレイヤー
金じゃあ!
257.名無しのプレイヤー
ゾンビは死んでもいい
ボスは死ぬな
258.名無しのプレイヤー
僧侶のボーナスステージだ――!
259.名無しのプレイヤー
これどっちが悪か分かんねえな
260.名無しのプレイヤー
今はなんだっていい、お祭りじゃああああああ
【桜花】の手でレイドが終わった後も、レイドについての書き込みはしばらく続いた
一方で、運営側はものすごく頭を抱えていた。初のレイドイベント前にレイド戦が起こるという珍事態が起こったからだ。
「どうすんだよ、これ……」
「とりあえず、本来のルートの提示から説明を」
担当者がぷるぷると声を震わせながら説明していく。
1.月光草についてはじまりの街にある図書館で生息場所の予想を立てて探索
この際、毒性については書かれていないので通常ルート【思い出の品】に行く
2.毒性については次回アップデートで実装される魔法都市に行く必要がある
3.ヒュージゴーストを討伐するには魔法都市でのイベントをこなしてから手に入る魔法が必要
説得ルートはこの限りではない
「シークエンスブレイクの理由はこの娘だ」
「アイリちゃんか」
「またこの子か……」
「本来なら魔法都市に行くこと前提のクエストを既に受けているから、魔法都市でしか得られない情報も手に入っている前提で他のクエストが進むんだな」
「しかも早く受けすぎるとクエスト失敗するレベルの高難易度クエストのはずなんだけど。なぜか成功している」
「おいおい、あそこの限定装備。かなり強力なはずだろう」
「しばらくというより、戦闘にほどほどに参加するくらいなら夜間限定で1年は持つんじゃないか」
「まあ、生産職だし、早期入手に関しては問題ないでしょう」
「あと、もう一つ問題が……」
「なにかね?」
「アイリちゃんが黒魔導士の条件を満たしました」
「……シークレットクエストクリアの経験値で一気にレベルが20になったのか」
「ええ。職業の昇格は大型アプデの目玉なのですが……」
「一応、データは入れているから昇格は問題ないはず。低レベルクリアなんてできないくらいには高難易度だけど」
「……万が一、成功したらどうするんだよ。先行実装とかいってごまかすか」
「うむむ。そこはゲームのAIに任せた。その高難易度のクエストに賭ける!」
「逃げたな」
「あー、もうめちゃくちゃだよ」
運営たちは、どっさり来るであろうクレームの嵐に備えながら、イベントの準備を進めるのであった。