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第17話 スキル習得講座

「いーーいーーなーー!!」


 ユーリは先のボスモンスター討伐の話を聞いて、羨ましそうにしていた。選択スクロールも重要ではあるが、なにより世界初の称号をよりにもよって自分だけが不在の時に限って採られたのだから仕方がない。


「でも、結構大変やったんやで」


「それでも私もほーしーい!!」


「でも、クエストに続きがあるみたいだから今度はユーリちゃんも行こう」


「うん!」


「問題はこのゴーレムの粘土ちゅうアイテムやな。今までゴーレムを何体か倒したことあるからドロップアイテムを確認したんやけど……」


「ゴーレムの砂、ゴーレムの石、岩……粘土はどこにもないのよね」


「となるとレアドロップか、はたまたイベントで手に入るようなアイテムのどっちかね」


「レアドロップだったら普通のゴーレムを狩り続ければええけど、後者やったら何らかのフラグを立てないとあかん」


「モンスターに詳しい人っていないんですか?」


「う~ん、こういうときは……」


「こういうときは?」




「で、俺のところに来たわけか」


 アイリは頼りにしているオカシラにゴーレムの粘土について聞くことにした。アイリの話を聞いたオカシラはやれやれと言った様子だ。


「この辺じゃあ、そう簡単にとれない品物だ。なんたって高レベルのゴーレムが落とす物だからな」


「高レベルモンスター……っことはまたボス戦かいな」


「ボス2連戦のクエスト……これはかなり良いモノがもらえるんじゃない?」


「そうね、ワクワクしてきたわ」


「わくわくです」


「それでも取ろうと思うなら、俺のクエストを手伝ってくれ。ちょうどナイトゴーレムの討伐依頼があったところだ。こいつなら、粘土もドロップするはずだ」


「手伝います。良いよね?」


「そうしないと前に進めなさそうだもんね」


 NPCオカシラがパーティーに入りました


「ナイトゴーレムは夜に出てくる。それまでは自由行動だ。今のうちに装備や消耗品を整えておけよ」


「はーい!」


 元気よく返事したアイリたちは雑貨店や武器・防具の店を見て回り、財布と相談しながらはじまりの街で購入した装備を更新させていく。


「魔力の腕輪……指輪よりもMPが5も上がるんだ。おじさん、これ2つください」


「こっちはようやく旅人シリーズに更新と。多分、これが運営の想定している装備更新速度なんだろうね」


「旅人シリーズの上は見習い魔女だったよ。補正値は旅人と変わらないけど、MPが増加する効果持ち」


「こっちは敏捷アップの盗賊見習いだね。旅人までは共通装備でこれからは職業特化の装備になりそう」


「だとすると、魔法使いの装備はステータス上昇は抑えてMPが上昇していくのかな」


「装備品のステータス補正がインフレすると、ポイントをステータスに振る意義が薄れるからね。そのあたりのバランスは運営も考えていそう」


「う~ん、それはそれで困るんだけどなぁ」


 アイリの方針は沢山の魔法やスキルを覚えて、低すぎるステータスを装備品でカバーするスタイルだ。だが、これからの装備がステータス補正の上昇を抑えられるなら、方向転換も視野に入れないといけない。少しの悩んだアイリが結論は……


「まあ、いいか。火力不足になったときにマーサさんに聞いてみよう」


「出たわね、公式お助けキャラ」


「他の人もマーサさんみたいに教えてくれないの」


「う~ん、私に盗賊系の技を教えてくれたのは寡黙な盗賊だったから、あまり……」


「オカシラさんみたいな人だったら良かったのにね」


「あれだけ喋る、教えてくれるNPCも珍しいわよ」


 アイリはユーリから、自分の知らない冒険の話を聞きながら、だんだんと夜に染まっていく町中を歩いていく。そして、オカシラと共に今度はパンデモニウム方面へと歩いていく。切り立った岩や、怪しげに笑う木がなどが並び立ち、蝙蝠が飛び回る。いかにも魔界といった雰囲気だ。


「この辺は街道から離れるとすぐにモンスターに襲われる。だが、逆に言えば、狩りたいモンスターを探す手間が省けるってわけだ。さっそく、来たぞ」


 ドスンドスンと大きな音を立ててこちらに寄ってくる紫色のゴーレム。それのレベルを見た時、オカシラを除く5人は驚愕する。


「レベル25!? オカシラさんよりもレベル高いよ!!」


「なーに、レベルが少々高くても所詮はウスノロなゴーレム。カウンターを決めれば大したことは無い」


「カウンター?」


「まあ、見てろ。あー、そこのボウズの盾、借りても良いか」


「ええで」


 リュウからサブの盾を借りたオカシラはナイトゴーレムに近づき、剣で挑発するような仕草をする。すると、ナイトゴーレムが大ぶりで拳を振り上げる。


「対ゴーレムの心得1。大ぶり攻撃は受けずに避けることに専念」


 ゴーレムの動きを見切ったかの動きで、大ぶりの拳を割ける。拳とオカシラの間には頭1つ分のスペースがあるか無いかくらいだ。そして、今度は普通のパンチで殴りにかかろうとする。


「対ゴーレムの心得2。通常攻撃はカウンターのチャンス」


 盾で受け流しながら、がら空きとなった胴に一太刀入れると硬いはずのナイトゴーレムのHPが目に見えて減る。


「カウンターが決まれば相手の防御を無視してダメージを与えることができるからジャイアントキリングもやりやすい。強い相手程この隙も少ねえし、別に攻撃を避けながらでもカウンターを決めることができる。こんなふうにな!」


 喋っている隙に殴ろうとしたナイトゴーレムを皮一枚でかわしたオカシラは再び一太刀入れる。


「す、すげえ……」


「こんなの慣れたら誰でもできる。盾は返しておくぜ」


「オカシラさん、いえ、師匠!今度はワイがやります!」


「良い心意気だ、ボウズ。受け止めるんじゃなくて受け流すことを心掛けろ。そうしたら、受けるダメージも大幅に減る」


「はい、師匠!」


「じゃあ、私もやってみようかな。敏捷高いし、見切る方向で」


 前衛二人がナイトゴーレムに突っ込んで行く。リュウが吹き飛ばされながらも立ち上がり、ミミがHPを回復させ、再び前線に立つ。その間、ユーリが回避壁としてタンク役をこなし、その攻撃を見切る練習をしていた。


「だんだんと……慣れてきたで。これを受け流してから……」


「これを紙一重でかわして……すかさず前進!」


 スキル:【カウンター技能】を覚えました。カウンター技が習得されます。


「カウンターシールド!」


「これで!カウンタースラッシュ!」


 戦いの中で2人が新たに手に入れた技でナイトゴーレムを吹き飛ばしていく。まだまだHPは残っているが、二人の目の中にある闘志はまだ尽きていない。


「よし、あとは全員で畳みかけるぞ」


 2人がカウンターを覚えるまで待っていたアイリやLIZも攻撃に参加し、ナイトゴーレムを殴り続ける。そして、3人の防御無視のトリプルカウンターによってとどめを刺すのであった。


「ゴーレムの粘土ゲット!これでクエスト完了かしら」


「しかしまあ、そんなもの何に使うんだ?」


「おちゃわんづくりです」


「正しく言うなら修繕作業だけど。月光草の釉薬もあるし、足りないものは無いはずよ」


「月光草を……!?」


「なんで驚いているんですか? LIZさんに試作品を見せてもらったけど、淡い青色で綺麗でした」


「マーサのところにある図鑑を後でよく見ろ。あれは毒草だ。そんなものを使った食器で飲み食いしたら、いつか死ぬぞ!」


「じゃあ、その釉薬が無くなった理由って……」


「これ、お爺さん知っているのかしら?」


「行くで!このことをあのお爺さんに伝えるんや。もしかすると婆さんの死因も……!」


 LIZたち一行は再び街へと戻り、露店売りの爺さんのところに戻る。遅くの時間とはいえ、お爺さんは戻ってきたLIZたちを喜んで迎えてくれる。真実を話そうとしたとき、オカシラ除くパーティー5人に以下の表記が映し出される。


 依頼人に真実を話しますか?

 →はい(シークレットクエスト)

  いいえ(クエストクリア)

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