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毒毒影分身は最強です~状態異常特化の私はVRMMOを楽しむ~  作者: ゼクスユイ


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第115話 最後の賭け

 最高戦力であるアイリのリタイアは反乱軍に即座に伝えられた。もともと勝ち目が薄い反乱軍は生きる殲滅兵器であるアイリに頼らざるを得なかった。無論、つばさちゃんやほかのプレイヤーも範囲攻撃は持っているが、ほいほいと撃てるものでは無い。


「どうするんだよ……こんなの勝てねえよ」


「いくらArthurさんが強くても、正規軍全員を相手取るのはきついだろ」


「心外だね。僕がその気になればって言おうと思ったけど、前言撤回だ。正直なところ、僕の技は1vs1向け。大多数を相手取るのは少々きつい」


「前は私含めて何人もやられたけど」


「ははは。あれは2vs1の連戦に持ち込めたからね。運がいいだけさ」


「運でやられたらたまったものじゃない」


「さてと、これからどうするかが問題だ」


「そうね。もう少し待てば夜戦を仕掛けることもできるけど、どうするのがベターかしら」


「私は今すぐ攻撃を仕掛けるべきだと思う」


「その心は?」


「今、正規軍からすれば討ち取ったのが本物か偽物か多少は疑心暗鬼になっているはず。もし偽物だったらと少しでも思っているうちに、総攻撃を仕掛けた方がいい」


「総攻撃……守りの人員は?」


「アイリが居ない以上、守りに戦力をさくことはできない。向かうなら全員で突撃する」


「カミカゼアタックか。まさか僕がすることになるなんてね」


「嫌?」


「まさか。こういうのを大和魂とか言うんだろう。それにこれほどの窮地、ゲーマーとして燃えないはずがないだろ」


「良いわねぇ。さすがはイギリスの美男子。リアルで付き合いたいくらい」


「もし、イギリスに来ることがあれば観光案内くらいはするよ」


「あらまあ。それなら遠慮なくいくわよ」


 つばさちゃんのイギリス訪問が決まり、反乱軍全員で最終決戦へと挑んでいく。



 その様子は正規軍でもとらえられていた。生き残っている反乱軍に加え、生産職の手で編み出されたゴーレムも数体引き連れている。先頭にいるプレイヤーは険しい表情をしており、陽動や偵察の類ではないことを意味している。


「偽物が本物と同等の実力を持っている可能性もあるが、99%以上の確率で本物だろう」


「拙者もそう思います。あとがなくなった反乱軍がラストアタックを仕掛けた模様」


「わかった。北ルートには石化トラップを警戒してホーク主体で進軍。戦力の補強のため俺たち【アルカナジョーカーズ】からも一部戦力を出そう。湖ルートは先ほどの残存勢力で進軍を開始。残りのメンバーはここで迎え撃つ。城の大砲施設は使えるようにしているな」


「無論でござます」


「ここで敵に撤退の選択肢を与えぬように惹きつけ、玉座の破壊を目指す。最後まで油断せずに行こう」


 初戦は個の力で敗れたものの、今ある戦場の流れはキングが思い描いてきたものである。あとは無人も同然の城内を攻略部隊がクリアするまで奮闘するだけだ。



 弓や銃では届かぬ距離から飛来してくる大砲の弾。単独であるならば、それを掻い潜るのは比較的たやすい。だが、敵がいるとなれば話は別だ。同じ軍に所属している限り、味方が撃った大砲は当たったとしてもノーダメージ。よって、敵はフレンドリーファイアを気にせずに撃ちつづけ、自分らは効果力の大砲に蹴散らされるかおびえなければならない。


「ちび太郎、超進化や!」


 ケイも本気をだし、大勢の前でメタルリヴァイアサンを見せつける。とはいえ、【にゃんにゃんクラブ】の生き残りから知りえた情報を持っている正規軍は、すぐさまメタルリヴァイアサンへと火力を集中させる。


「ガードアップ!初手からクライマックス、ポセイドンウェーブ!」


「そうはさせん、アブソリュートゼロ!」


 メタルリヴァイアサンが引き起こした大津波だったが、Lancelotの手によってたちまち凍らされてしまう。だが、これほどの巨大な質量をもつ津波を凍らせた代償として、Lancelotは大きな隙を作ってしまう。


「悪いけど、ここで討ち取らせてもらう」


「Arthur……だが、俺が負けても勝つのは俺たちだ」


「そうはさせないよ。戦うからにはね」


 Arthurの斬撃によってLancelotを討ち取った直後、背後からGawainがその頭を叩き割ろうとバスターソードを振るうと、数多ある回避スキルを使いGawainの攻撃を躱し、隙だらけの攻撃直後を叩き切る。


「やられちまったか……」


「君は大ぶりだからね。もう少し小回りに動かれると僕も危なかったよ。さてと、次はMerlinだね」


 範囲攻撃をばらまいている彼女に目を付けた時、彼の行く手を阻むようにGalahadが立ちふさがる。Arthurの斬撃をことごとく阻むあたり、タンクとしては一流の技量を持つことが計り知れる。


「たとえ先輩でもここを通すわけにはいきません」


「そうだね。でも、敵は僕だけじゃないよ」


 Galahadははっと気づく。ここにはもう一人、彼と比肩するほどのプレイヤーがいたことに。


「【加速】!」


「ユーリ、【加速】で急接近してくるのはわかっていたよ。サウザンドバースト!」


 文字通りの無数の爆裂がユーリを包み込むように炸裂していく。仮に彼女が空蝉の術を使っても、多段HITするそれらを全て回避することはできない。加速中ならなおさらだろう。だが、Merlinは失念している。【桜花】には鉄壁の守護神が存在していることに。


「アイギス!」


 リュウのアイギスがユーリにバリアを張り、爆裂の中を突貫させていく。そして、速度を落とさずに接近してきたユーリを驚愕するMerlinに雷刃が振るわれる。距離が取れない魔導士などカモでしかなく、Merlinはあっという間に落とされるのであった。


「Merlin!」


「よそ見をしたらだめだよ!」


 Galahadのわずかな同様のスキを突いたArthurが彼に致命傷を与え、そのまま倒していく。初戦で倒しておいた幹部たちを含めると【Noble Knights】の主要メンバーは全員倒したことになる。


「残るトッププレイヤーは……」


「まだエースを見かけていない。芋砂ならいるのは――」


 ユーリが城壁を壁走りで登っていく。ワイバーンに乗って空を飛べば目立つ上に叩き落されるリスクもあるが、壁走りなら自身の回避スキルが存分に生かせる。そして、城の頂上についたとき、そこにはエースが待ち構えていた。


「そろそろ来る頃合いだと思ったぜ」


「さっきはどうもありがとう。色々と返させてもらうよ」


「恨みはクーリングオフしたいんだがな!」


 連射性能に優れた2丁銃に切り替えていたエースがユーリに向かって発砲する。それらの弾丸を右、左とかわしながら前進していく。銃の向き、傾きから射線を予想しているといわんばかりの動きにエースは舌を巻く。


「そういう動きはアニメや漫画だけの世界にしてほしいなぁ!【クイックファイア】!」


「身代わりの術!」


 スキルを使いさらに連射速度を高めてようやくユーリに弾丸を浴びせるも回避スキルで防いでくる。そして、彼の懐に飛び込んだユーリの刃が白く光る。


「もらった!」


「そう簡単には落ちねえよ、ガンソード!」


 銃身から伸びたビームの刃でユーリと鍔迫り合いを行う。そして、もう片方の銃の刃でユーリを狙おうとしたとき、すぐさま距離を取られる。だが、その距離はエースが元来得意とする場所だ。


「俺はプレイヤーキラーなんでね。どっかの誰かさんみたいに苦手な距離なんて無いのさ」


「ただの芋砂じゃないってことね」


「勘違いするなよ、スナイプはあまり好きじゃないぜ!」


 2人の戦いはそう簡単には終わらず、貴重な時間が無情にも過ぎていく。

 そして、別動隊は反乱軍の無人の城内へと侵入し、玉座を叩き始める。火力インフレを考慮して、前回よりもHPは上がっているとはいえ、彼らの全力があれば10分もたたないうちに破壊されるだろう。そして、正規軍の玉座は未だ誰一人の侵入も許さず、無傷であった。


「このままじゃあまずい!」


「おっと、逃がさねえぜ!お前さんが【桜花】のブレインだってことはよくわかっているんだ。指示なんて与えさせねえよ」


 エースがユーリの動きを封じているなか、つばさちゃんやArthurも引っ切り無しに敵が襲ってくる混戦の中では正確な指示を与えることができずにいた。


「残り2分で全員が城内に入って玉座を叩けば、逆転できるが……」


「よほどの奇跡が起こらないと無理ね」


「奇跡……それならあります」


 彼らを回復させていたミミが神の奇跡を使っていいか尋ねる。すでに反乱軍の被害は甚大。レイドメンバーはとくの昔に5割は切っている。つまり、使用条件は満たされているということだ。


「わかっているのは3の目。生存しているメンバー1人をランダムに超強化ね」


「僕やつばさちゃんが強化されればあるいは……」


「なくはないわね。それにここまでくると生き残っているのは中位から上位層のみだし、外れはそうそうないわ。どのみち負けるならやりましょう」


「あとはおねがいします。【神の奇跡】」


 反乱軍の弱体化を招きながら、サイコロへと変貌していくミミ。出たその目は4。全く未知の効果に二人が見渡すも赤いオーラが出たプレイヤーは彼らが見る限り、誰もいない。


「まさか、はずれ――!?」


 日が沈みゆく中、彼らの言葉がむなしく響いていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 〝4(し)〟が外れ……?妙だな……
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