ガールミーツヒューマン
むむぅ……( ̄^ ̄)ゞ
「マエル、1人で進みすぎるなと何回言ったら分かるんだ!! いい加減に……この人は?」
駆け寄って来たのは仲間と思わしき連中4人組。男女2人ずつの構成で、1人は明らかにタンク役の格好をしている。他3人はよく分からない。
私は、面倒なのが4人追加された、と心の中で大きくため息を吐く。
今の私ならジャリ5人を相手にしたところで負ける事は絶対に無いと言い切れるけど、流石に誰にも気づかれずにヤるのはキツい。
(しょうがない、このまま流れに身を任せましょうか。最悪皆殺しにしちゃえば問題ないわ)
自分の中でそう割り切って、私は人間の都市観光をする事にした。
「皆さんこんにちは、私はミリ。この都市の外から来た人間よ」
わざとらしく”人間”を強調して自己紹介をする。
「うっ! し、しょうがないだろ?! そんな全身を隠してるのが悪いんだよ……」
その言葉を聞いて、状況をいち早く理解したらしい、さっきマエルに怒鳴っていたリーダーらしき男が私への警戒を緩めたのが分かった。
「そうでしたか。ミリ?さん、この度はウチの馬鹿が本当に失礼しました。魔力を”視”れば直ぐに分かる事なのに、まさかモンスターと間違えるなんて本当にすまない」
そう言って頭を下げる男。それに釣られて他のメンバーも私に頭を下げた。
「おい! なんでキベさんが謝るんだよ、どう見たってこの女怪しいだろ!」
「はぁ……。マエル、お前には後で罰則だな」
「げっ!! ……わーったよ! 謝りゃいいんだろ、謝りゃ」
全く反省の色無く頭を下げるマエルに、殺意が湧くけど、ここはぐっと堪える。それよりも気になった言葉があったからだ。
「魔力を視る、ですか?」
「ええ、ご存じないんですか? モンスターの魔力波長は我々人間とは違って不規則なんですよ。これを知ってないとミミックと戦う時に非常に苦労しますからね、出来て損は無いですよ」
私は笑いを必死に堪えながら自信満々なキベの話を聞く。
彼は目の前に居るのが、モンスターの発生源だなんて夢にも思っていないのでしょう。
「そ、そうなんですかw、練習してみる事にします……プフッ」
「???。まぁ、いいでしょう。所でミリさん、貴方はどこ所属の方ですか?」
笑いを堪える私に不思議そうな視線を送りながらも、キベは一気に確信に迫ってきた。
(さて、どうしようかしらねぇ。他の都市って話しても良いけど、その内ボロが出そうだし、ここはずっと外に住んでいたって事にしましょうか)
「じ、実は……」
そうして私の口から語られるのは語られるのは聞くも涙、話すも涙の壮大な冒険譚。可哀想な1人の女の子がモンスターの蔓延る世界で逞しく生き抜く、なんて話だ。
我ながら自分の才能が空恐ろしくなってしまうわ、オホホホホ。
特に女子2人は感動したようで、女の子1人で何て大変だったの!、可哀想に大変だったでしょう?これからは安心して良いのよ、何て私に同情している。
(ま、ほとんどウソなんですけどね!)
「そ、そうだったのか……。それは大変でしたねミリさん。では、色々と手続きがあると思うので、1度私たちと一緒にエディに来てもらえますか?」
「分かりました。しばらくはキベさんについて行く事にします」
そう言って、私はエディを覗いてみることにした。
(これで人間勢力の力が分かるし、町にも入れたし、一石二鳥ね)
「よし、それじゃあ皆、一旦帰投するぞ!」
「「了解!」」
晴れて私は、人間のテリトリーに足を踏み入れた。
評価とブクマ、お願い!!(^人^)