ミッケ!
まだまだ頑張ります(´⊙ω⊙`)
私がガックリと項垂れていると、突如「走れえぇぇぇ!」と言う大声が聞こえてビックリする。
慌てて目線を戻すと、中々の速さで彼らが走り去って行くのが見える。
(せっかく見つけた手掛かりをここで無くす訳にはいかない!)
そう考えた私は、一瞬で彼らに追いついて、尾行する事にした。
ーー尾行すること1時間。本来なら人間には出せないような速度で走り続けて、地味に私を感心させていた彼らと、尾行を続けていた私が到着したのは、信じられないくらい大きな壁だった。
(凄いなぁ……。どうやって進○の巨人みたいな物、こんな世界で作ったのかしら)
私は一面灰色の光景に思わず立ち止まって眺めてしまう。
ふと、自分が尾行していた事を思い出して冒険者を見ると、彼らは壁の中に入っていき、その扉は閉まり始めている!
「ダメダメダメ、ダメよ! 待って、私も入れてぇ!」
必死になって走り寄るも、思いのほか閉じるのが早かった扉は、急ブレーキをかけた私の目の前でピシャリと閉じて、うんともすんとも言わなくなった。
「誰か開けてぇ〜! ねぇ、開けてって言ってるでしょ! 誰も居ないの?!」
開いていた事を感じさせない綺麗な作りの扉をゴンゴン叩いてみたり、大声を出してみたりしても、一向に誰も気付きそうにない。
(こうなったら、不法侵入してやるわ! 魔力強化した私のジャンプ力を甘くみたのが間違いだつたわね!)
ーーこの壁はそんな事を考えて設計されていないのだが、それを言う人間はここにはいない。
少し壁から離れて距離をとった私は、助走をつけて思いっきりジャンプする。
ドゴォッ!!
なんか地面がえぐれる音がしたような気がしなくも無いけど、そんなのは気にしたら負けでしょう。無事、壁の上に着地した私は、カシャン、と言う音とともに目の前に突き出された剣を見て、ゆ〜っくりと視線を上げる。
「おい、お前!! う、動かずにゆっくり手を上に上げろ!!」
(はぁ、私って運が良いのか悪いのか分かんないわね)
目の前で興奮気味に叫ぶガキンチョをみて私は思わずため息を吐く。
「お前、どうやって来たんだ! いや、その前にどこの所属だ! 新種のモンスターか?!」
ツッコミどころ満載……いえ、もはやツッコミどころしかない台詞に呆れ果ててしまう。
「私はミリ、みての通り人間よ。貴方こそ何者なの?」
めんどくさそうな人間なのでサクッとヤっちゃいたい気持ちを、情報収集のために我慢する。
「お、俺? 俺はエディ所属の1年、マエル、豪炎のマエルとは俺のことだ! どうだ、驚いたか!」
「う〜ん、ごめん。全然分かんないし、そもそもエディってナニ?」
「なっ!! お前エディを知らないなんて本当に人間か?! そのフードを取ってこっちを向け!」
めんどくさい事になったと思いつつ、エディとは何なのかを考える。
(エディ『所属』って事は何かの部隊名かしら? でもこんなジャリが入れる所なんてあるのかなぁ?)
疑問に思いつつも、幸い仲間を呼ぶ様子もない名前の事を更に考える。
(〜っ!! エディ所属の『1年』って事は学校か! なるほどなるほど、それならこの有り様なのも納得ね。でも凄いわ、戦闘学校を作るなんてよく日本で出来たわねぇ)
「おいっ! 早く言う事を聞けっ! 聞かないと【インスペクター】に連絡するぞ?!」
早く連絡すれば良いのに、と思うけれど、もうちょっと情報を集めるために、言う事を聞いてフードを取る事にする。
「はい、これで満足でしょう? ところで【エディ】と、【インスペクター】って何かしら、大体予想はつくけど教えて欲しいな?」
「なっ!! お、お前……。ま、まぁいいだろう、教えてやる! 【エディ】は当然、俺らを鍛えるための、【世界暗黒対策機構】が運営してる学校。俺は世界ランク1位になる男だからな! 覚えておいて損は無いぜ。【インスペクター】は昔は警察なんて呼ばれてた奴らだ。モンスターとは戦わない癖に、直ぐ俺らにイチャモンつけてきやがるウゼェ集団だよ」
フードを取った私の顔を見た途端に、顔を赤らめながらもジロジロと眺めてくるマエルを見て、私の心は決まった。
(よし、情報収集出来たしこいつ殺しちゃお。こんな世界になっても変わらないなんて、やっぱり人間ってクズばっかりねぇ)
私が殺しちゃおうと、短刀に手をかけた瞬間、
「あっ! こっちにいた〜!! みんな、見つけたよ!」
最悪のタイミングで邪魔が入った。急いで柄を握った手を離して、フードを被る。
「ちっ、何だよお前ら。ちょっと先に行っただけだろ!」
やって来たのは仲間と思わしき連中だった。
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(╹◡╹)