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動きだす私

頑張った!(( _ _ ))..zzzZZ

 植え付けられた知識によると、モンスターを産み出すのは理論上は何でも作れるけれども、実際には幾つか制限があるみたいだ。


 その1・モンスター生成には魔力が必要で、その姿は実際に生息する生物から離れるほど、そして能力を高くするほど高くなる


 その2・モンスターを生み出せる場所は初期地点のコアのみ


 その3・一度作ったモンスターを魔力に戻す事は出来ない



 この3つがモンスター生成時の制限。ちなみに魔力は時間経過で回復して、その最大値は人それぞれらしい。


 不公平極まり無いルールだけれど、まぁしょうがないでしょう。



 また、【ダンジョンマスター】の魔力は自分の領土内ならば、地形の操作もできるらしい……しないけど。


 (ここの場所そのものが鉄壁の要塞みたいなものだからね、地形操作にコストを使わなくて良いって予想が当たって良かった)


 私はその事に少しだけ安堵する。



 少しの間休憩してスキルの使用で減った魔力を回復した私は、何はともあれ配下を作る事にする。近くにあるのに今更気が付いた【ダンジョンコア】に手を添える。


 「眷属生成」


 そう呟くと同時に、コアの中に3D図面みたいなのが浮かんでくる。


 ーーそれを完全に無視して、自分の持つ全ての魔力を使い切ってモンスターを産み出して……そのまま気絶した。





 起きると、私の前には目を開けた事が何とか分かる程度の暗闇が広がっている。


 (あれ、どうしたんだっけ? ……そうだ! 眷属を産み出したんだった)


 記憶が段々と蘇ってきた。


 (私の代わりとなれる様なモンスターを作る! ってだけ意識して魔力込めたけど、どうなったんだろう?)


 (流石の私でも、これだけのコストを払って何も得られませんでした、じゃあキツイなぁ)


 なんて思い始めたその時、フッと気配がするのと同時に、私の後ろには一人の真っ黒な女型人魚(足がヒレだから多分そう)がいた。



 「作って頂き誠に有難う御座います、創造主様。この度、【始点の魔物】としてワタクシ産み出された」


 「あ、そうゆうのいいから私の話し聞いて」


 何だか知りませんが、ポカーンと口を開けてるモンスターを無視して話を進めます。


 「名前はそうですね、クロ、でいいでしょう。あなた黒いですし。それでクロ、あなたの仕事は簡単です。あなたが消滅しない為にも、私のコアを絶対に守り抜いて下さい。それだけです。あなたにはダンジョンの全ての権能の使用を許可するので当然、出来ると思います。それではご機嫌様」


 用が済んだ私が立ち去ろうとすると、クロが必死の形相で呼び止めてきます。


 「ま、待ってください創造主様! せめてお名前を教えて下さいませんか! それにどこに行かれるのですか、500日は外に出れませんよ?」


 「……そうね、私の名前は」


 ここで私はちょっと悩みます。


 (折角新しい人生なんだから、今までの名前はもう捨てましょう。でも何が良いかしらねぇ?)


 少し迷った後に、私は自分の名前を決めます。


 「……私の名前は、ミリ。うん、ミリよ。これから世界を壊しに行くの」



 呆然としているクロの事はもう気にせず、私は機嫌良く、ゆっくりと海面に昇っていった。





 私がわざわざ地上へ向かっている理由、それは今後地上で活動するために必要なスキルを獲得するため。


 今の私の種族は【深淵の魚人】


 多分だけど、このお陰で私は水中で息をして、暗闇を見通せている。逆に言えば陸上では活動出来ないって事だから、他のダンジョンを潰して回る予定の私にとっては凄いデメリットになっている。


 (まぁこのまま水中で過ごすのも面白そうではあったんですけどね。やっぱり陸の方が遊べそうですし、行けて損はないですから)


 そんな事を考えながら、私はどんどんと浮上していきました。





 ーー500日後


 私は遂に、待望の瞬間を迎えていた。目の前に存在していた”壁”が崩れ去り、広大な海が姿を表したのです。


 「よしっ! 楽しみだなぁ」


 ワクワクしながら私は猛スピードで、陸目掛けて海面を走り始めた。



 (何で私が海面を走っているのか? そこに海があるからよ!)


 ハイテンションになっているせいか、我ながらアホな事を自問自答しながらも、私はグングンとスピードを上げていく。


 「500日間の集中トレーニングで、スキル【明視】を手に入れた私に、陽の光は敵ではない!!」


 自分でも変だとは思うけど、徹夜明けレベルまで上がっているテンションは止まらない、止められない!



 そのまま走り続けた私は……陸にたどり着く前に窒息で倒れた。





 「……っは!! あれ、何でまだ水中?」


 ズキズキと痛む頭は、中々記憶を思い出せない。


 (私は陸に向かって走ってたハズ……。 何らかのスキルで妨害された? それにしても頭が痛いわね。まるで酸欠になってるみた……い……? 酸欠?)


 結論に行き着いた私は、こんな事に気がつかなかった自分にガックリとする。


 (そうね、今の私は魚人ですもの。空中で息出来ないのが当たり前よねぇ……。まったく、何で気付かなかったのかしら)


 ーーとにかく、もう一つスキルを習得しないと何も始まらない私の上陸はお預けになった。


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