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同族対決

「ロッドメン一族よ。初戦は君達の勝ちのようだ。先ずはおめでとうと言っておこう」


 大尉に昇格したロコモがそう言いながら、大尉に降格したモツイットを担ぎ、開いた床下に放り投げた。


「あと一戦ここで戦って貰う。それに勝利すれば、君達は二階の闘技場に上がれるよ」


 ロコモ大尉は乱れた茶色い髪を整えながらそう説明する。この三階建の闘技場の最上階には、俺達の標的ハーガットが待ち構えていた。


「······ロッドメン一族。君達の次の相手を紹介するよ。余り気が進まないけどね」


 ロコモ大尉がそう言うと、闘技場の床下の一部が開き、中から二つの人影が上がって来た。その二人の人物を見て、メルダの悲鳴混じりの声が上がった。


「······グ、グレソル?ど、どうして!!」


 続いてノホットが血の気の失せた顔で呆然と呟く。


「マ、マリガル?何故だ。マリガルはハーガットに騙し討ちされ、死んだ筈だ」


 俺達の目の前の立ったのは、生者の世界に存在しない筈の者達だった。


 一人はグレソル。ロッドメン一族十法将の最高実力者として、先の戦いではハーガットを追い詰めた若き黒髪の青年だ。


 だがハーガットの策謀によって命を落とし、その亡骸も戦場に残さざるお得なかった。


 もう一人は俺も先の戦いで目撃したマリガル。砂色の髪の青年で二十代後半に見える。長老達の信任厚く、一族の後継者と期待されていた青年だ。


 だが、ハーガットとの和平交渉の際、狂気王に騙し討ちされ命を落とした。そして、死霊としてハーガットに利用され、前回の戦いでメグラル長老に致命傷を与えた。


 俺達の前に立つグレソルとマリガルは虚ろな両目をしていたが、死霊特有の土色の顔色をしていなかった。


 それはまるで、生気ある人間の様に見えた。ど、どう言う事だ?あの二人は只の死霊じゃないのか?


「······ハーガットはいよいよ死者を完全に甦らせる段階に近付いている。そう考えた方がいいわね」


 動揺するメルダ達を余所に、レファンヌは静かな口調で分析するように呟く。七冊の禁術書の内、最後の一冊をまだ手にしていないのに?


 ハーガットは死者を生き返らせる方法を手にしつつあるのか?


 俺は首を横に振った。許されない。そんな事を。そんな手段を一人の人間が持っていい訳が無い。


 俺は殺意が混じった自分の衝動を、必死に落ち着かせる。奴だけは倒さなくてはならない。どんな事をしても。


「さあ。二人の相手は誰がする?」


 ロコモ大尉の言葉に、俺達は選びたくも無い選択を迫られた。


「······私が行くわ。グレソルを眠らせてあげる義務が私にはある」


 グレソルはメルダを庇って命を落とした。メルダが蒼白な表情をしたまま一歩前に進み出た。続いてノホットもその長身を前方に動かす。


「······マリガルの相手は俺がしよう。それがせめてもの同族としての責務だ」


 メルダとノホットが志願した。奇しくも四人のロッドメン一族が揃い、同族同士の戦いとなった。


「メルダ。心を強く持ちなさい。相手はグレソルに見えても、中身は禁術で操られている死霊よ」


 両腕を組みながら、レファンヌがメルダの背中に声をかける。


「レファンヌ。貴方が私に忠告するなんてね。どう言う風の吹き回しかしら?」


 メルダの口調は強気そのものだったが、僅かに声が震えていた。


「······情けない話だけど、私も死霊相手に我を失ったわ。もう一度言うわ。グレソルの死霊が何を言おうと耳を傾けては駄目よ」


 レファンヌは前回の戦いを思い出しているかの様だった。


「······珍しい事が重なる物ね。レファンヌ。貴方がそんな事を私に言うなんて」


 表面上のメルダは、冷静さを取り戻した様に見えた。だが、戦場に向かう直前にメルダは短く言い残した。


「······自信は無いけどやってみせるわ」


 こうして、ロッドメン一族同族同士の戦いが始まった。





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