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戦斧と赤毛の少女

 閃光が一瞬輝いた刹那、その爆発は起きた。耳を塞ぎたくなる様な轟音。足元を揺らす振動。


 レファンヌが銀の杖を掲げた瞬間、ハーガット軍の騎兵達は吹き飛ばされていった。足、腕、頭。人体のあらゆる部位が放射状に飛んでいく。


 こ、これもレファンヌの呪文か?彼女は左腕の鎖の影響で力が半減されているらしいが、半分の力でこの威力。


 な、なんて女だ。ロッドメン一族ってのは、皆こうなのか?ハーガット軍騎兵百騎は、無言の内に文字通り全滅した。


「······爆裂の呪文か。恐ろしい威力だな」


 ロコモ大尉の声に俺は振り向くと、彼は既に騎乗していた。


「金髪のお嬢さん。皆殺しとは一切の容赦が無いね。良心が少しも痛まないのかい?」


 爆風で豊かな金髪を揺らすレファンヌは、ロコモ大尉の言葉に失笑した。


「寝ぼけた事を言わないで。相手に悪意や敵意を向ける者は、それと同等の物を己が受ける覚悟が要るのよ。命を奪いに来ておいて容赦ですって?笑わせるんじゃないわよ」


 レファンヌは言葉の途中に表情が変わった。俺にはそれが怒りを伴っているように見えた。


「なる程。ごもっともだね。また会おう。お二人さん」


 ロコモ大尉はそう言い残し、馬を走らせ去って行った。俺はレファンヌに近づく。


「レファンヌ。ハーガット軍はまたこの街を襲うかな?」


「三度失敗した以上、今回以上の兵力で来るでしょうね」


 頬にかかった髪を鬱陶しそうに払い、レファンヌは即答した。


「······今回より多い兵力。そうなると流石に俺達二人じゃ無理じゃないか?」


「手に負えなきゃ逃げる。それだけよ」


 レファンヌは街に戻る為に歩き出した。に、逃げるって。じゃ、じゃあこの街はどうなるんだよ!


「私がこの街を枕に討ち死にしたら、この街の住人が助かるの?物事には出来る事と出来ない事があるのよ」


 レファンヌはいつもの様に冷たく言い捨てる。駄目だ。この女は絶対に躊躇せず逃げるだろう。


 何か方法を考えないと。その時俺は、ギルドの存在を思いついた。どんな街にも、裏の世界で生きている連中が運営しているギルドがある。


 ギルドでは手数料を払えば、様々な仕事を紹介してくれる。殆どの冒険者達はギルドから仕事を斡旋して貰い、依頼主から報酬を得て生活していた。


 だがギルドではトラブルも多かった。無理もない。荒くれ者達が運営している組織だ。だが、国もこのギルドを黙認している。


 国の正規兵達を任務に専念させる為だ。確かに、正規兵が魔物退治や盗賊退治等に逐一構っていられないだろう。


 冒険者の為に、ちゃんと公共機関が運営する組織が出来るといいけど、それには長い時間が必要かもしれなかった。


 俺はこの街のギルドに駆け込み、冒険者に街の防衛を依頼できないか頼み込んだ。報酬は町長に何とかして貰えるだろう。


「残念だかな坊主。この街にいる冒険者達は尻込みしてるんだ。連日のお前達の戦いは皆知っている。今度こそハーガット軍が大挙して襲来するってな」


 頰に入墨が入ったギルドの男は、太い腕を組みながらこの街の現状を教えてくれた。


 ······確かに。ハーガット軍なんかと戦っていたら、命が幾つあっても足りないだろう。


「······だが一人だけ物好きな奴がいる。そいつならこの仕事を引き受けるらしいが、会ってみるか?」


「ええ?ぜ、是非!」


 入墨男が連れて来たのは、小柄な女の子だった。年は俺より下に見える。肩まで伸びた赤毛の髪に赤い瞳。


 頰にそばかすがあり、青銅の鎧を身に着けている。背中に小柄な身体にしては大きい戦斧を背負っていた。


「は、初めまして。私はマコムと申します。雇って頂ければ、精一杯頑張ります」


 マコムと名乗った少女は、礼儀正しくお辞儀をしてくれた。その際、長い前髪が勢いよく揺れた。


 その時彼女が額に巻いている布が目に入った。文字らしき物が金色の糸で刺繍され、とても綺麗だった。


 少女の額に巻かれていたその布がどんな意味を持っていたのか。この時の俺は想像すら出来なかった。


 


 





 



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