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無名  作者: 天空瞳
9/21

 9 見張りですか?

弓木さんが捜査します。

事件のあった線路沿いの二階建てハイツには、少なくなったとはいえ、数人の野次馬がいた。


現場となった部屋の入り口には、黄色のテープで封鎖され、制服警官が一人、門番のように立っていた。


「さて、どうしようか」


弓木(ゆぎ)野次馬(やじうま)の中から、問題の部屋を見上げる。


タイミングよく、部屋から不憫(ふびん)な刑事、清水(しみず)が出てきた。


「あ、清水刑事」


健哉(けんや)が眉間にシワを寄せて、言った。


「今回の窓口はあの刑事だから、あんまり邪険(じゃけん)にしないであげてね」


弓木が苦笑して、健哉の背中に手を添える。


「はい」


渋々(しぶしぶ)、という感じで、健哉が頷くと、清水も弓木達に気がついた。


八重垣(やえがき)も、健哉も、知っている。


弓木が警察が嫌いなのを。だけど、それ以上に、事件を放っておけない性分(しょうぶん)なのだということを。


そして、そんな弓木を二人は、とても好ましく思っている。


「おはようございます」


弓木たちの元まで来て、清水は頭を下げずに挨拶を口にする。


「おはようございます。清水刑事。現場を調べていたのですか?」


清水の態度に文句を言おうとした八重垣を、弓木は清水に気づかれないように制した。


「あなたをお待ちしてました。上司からの命令なので」


「そうですか。それは有り難い」


だけど弓木自身も気の長い方ではない。


清水の、弓木の後ろにいる二人を無視したような言葉に冷笑を浮かべ、清水を見る。


「こちらへどうぞ」


清水はそれに気づかず、三人を現場まで誘導(ゆうどう)する。


野次馬から(かす)かなざわめきを背に、弓木達はハイツの階段を上り、部屋の入り口に立った。


鑑識(かんしき)作業は終わっていますが、あまり物を動かさないようお願いします」


「誰に、言っているんだ……」


「え?」


弓木のつぶやきに、清水は首を(かし)げたが、弓木は作り笑いでやり過ごす。


「さて、始めようか」


「はい!」


弓木はすぐに部屋に入らず、玄関口から部屋全体を見る。


玄関から真っ直ぐ廊下が突き当たりのリビングまで続いている。


玄関から見て、廊下の右側に風呂場とトイレ、左側に、寝室だろうか、部屋がもう一つある。


廊下の床には、死体があったのか、白いテープで人型が(かたど)られていた。


床に水気はなかったが、一応靴下にビニールカバーを掛けて、一歩廊下に足を乗せる。


「ここに男性の死体があったんですね」


八重垣が白いテープの場所を、凝視する。


「そうみたいだね。八重垣くん、写真をお願いするよ」


「はい」


八重垣は斜めがけしていた鞄から、デジカメを取り出し、シャッターを押す。


「写真なら、鑑識が取っているので、先日渡した資料にもあったはずですが?」


清水の言葉に、弓木は清水に視線を向けて、作り笑いを浮かべる。


「確かにありましたが、こちらでも撮っておきたいんですよ」


デジカメのシャッター音を聞きながら、清水は眉間にシワを寄せた。


そして腕を組んで、三人の行動に目を光らせる。




清水のキャラが揺れている……

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