13 食事は大事ですよ?
キャラがブレてしまいすみません。
その日の夜。
弓木は静かな探偵事務所で、捜査資料を見ながら考え込んでいた。
あの後、清水は捜査会議に呼び戻され、八重垣と健哉は、外部犯だった場合の浸入経路を、洗い出すことを決めた。
いつもは三人で近くの小料理屋に、夕飯を食べに行くのだが、弓木は辞退して、一人探偵事務所に残った。
「はぁ…」
ため息を吐き出し、イスの背もたれに体を預けた。
イスが軋むのと、事務所のインターホンが鳴ったのと同時だった。
弓木は面倒くさそうにイスから立ち上がり、ドアホンに付いてる液晶モニターを見た。
「げぇ」
モニターを見た弓木は、心底嫌そうな顔をする。
モニターに映っていた客は、昔の同期、今は刑事課課長の五十嵐洋介だった。
弓木は見なかったことにしよう、とその場を離れるが、執拗なインターホンが、見なかったことにさせてもらえなかった。
「何の用件だ?窓口は清水刑事じゃなかったのか?」
応接セットのソファに座り、洋介は持参した二本の缶コーヒーの一本を弓木に手渡す。
まだ暖かいそれを手のひらで包み、弓木は洋介を睨む。
「別に。昔もそうだったけどお前、考え込んだら飯も食わずにいるから、久しぶりに呑みに誘いに来た」
「ふざけるな。こんなときに呑みになんか行けるわけないだろ」
冷えた目を洋介に向ける弓木は、洋介の対面に座る。
「だろうな。進展はどうだ?」
「はあ。あの清水刑事、どうにかしてくれないか?」
弓木はため息を吐いて、缶コーヒーのプルトップを開け、温くなったコーヒーを一口飲む。
「なんだ。なにかやらかしたか?」
洋介は面白そうに笑みを浮かべ、前のめりになり聞いた。
弓木は眉間にシワを寄せて洋介を見て、コーヒーを飲む。
「窓口になったからと、調査についてくるっていうし、俺らのやり方に口を出そうとするし。本当、迷惑なんだが?」
「ははは。真面目なんだ、少しは大目に見てくれよ」
ソファの背もたれに体重を預け、洋介は笑う。
「ったく。お前は相変わらずだな。洋介」
「お互い様、だな」
洋介の言葉に、弓木は面白くなさそうな顔で缶コーヒーの中身を飲み干した。
「それで?」
「確かに、お前が言った通り、この事件には裏がありそうだ」
洋介の問に、弓木は表情を切り替えて言った。
「やはり、そうか」
「事件があったあの部屋は、綺麗に整いすぎている。まるで見本のように」
「ああ」
「捜査本部はどう見ているんだ?」
弓木の問に対し、洋介は苦笑を浮かべた。
「住人が、きれい好きだったんだろうと」
「はあ?」
「そう思うだろ?俺も思った。だけど、それで通っちまったんだ」
「昔も今も無能ばかり、か」
弓木の呟きに、洋介は苦笑を返すしかなかった。
「一応、外部犯の可能性も視野にいれて調査するつもりだ。調査した結果は清水刑事に渡す。だからあの刑事をどうにかしてくれ。お前の命令なら聞くだろ?」
「わかった。なんとかしてみるよ」
「ああ。話は終わりだろ。さっさと帰れ」
弓木がソファから立ち上がるのと、インターホンが鳴るのと同時だった。
嫌な予感がして五十嵐の顔を見ると、ニヤニヤしながらドアホンへ向かい、応対する。
一度事務所から出て行き、また戻ってきた五十嵐の手には、弁当屋の袋が握られていた。
「お前ぇ、いい加減にしろよ」
「今日来た目的は、お前に飯を食わせることだからな!」
「はぁー」
盛大なため息を吐き出して、弓木は頭を抱えた。
頑張ります。




