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無名  作者: 天空瞳
13/21

 13 食事は大事ですよ?

キャラがブレてしまいすみません。

その日の夜。


弓木は静かな探偵事務所で、捜査資料を見ながら考え込んでいた。


あの後、清水は捜査会議に呼び戻され、八重垣と健哉は、外部犯だった場合の浸入経路を、洗い出すことを決めた。


いつもは三人で近くの小料理屋に、夕飯を食べに行くのだが、弓木は辞退して、一人探偵事務所に残った。


「はぁ…」


ため息を吐き出し、イスの背もたれに体を預けた。


イスが軋むのと、事務所のインターホンが鳴ったのと同時だった。


弓木は面倒くさそうにイスから立ち上がり、ドアホンに付いてる液晶モニターを見た。


「げぇ」


モニターを見た弓木は、心底嫌そうな顔をする。


モニターに映っていた客は、昔の同期、今は刑事課課長の五十嵐洋介だった。


弓木は見なかったことにしよう、とその場を離れるが、執拗なインターホンが、見なかったことにさせてもらえなかった。


「何の用件だ?窓口は清水刑事じゃなかったのか?」


応接セットのソファに座り、洋介は持参した二本の缶コーヒーの一本を弓木に手渡す。


まだ暖かいそれを手のひらで包み、弓木は洋介を睨む。


「別に。昔もそうだったけどお前、考え込んだら飯も食わずにいるから、久しぶりに呑みに誘いに来た」


「ふざけるな。こんなときに呑みになんか行けるわけないだろ」


冷えた目を洋介に向ける弓木は、洋介の対面に座る。


「だろうな。進展はどうだ?」


「はあ。あの清水刑事、どうにかしてくれないか?」


弓木はため息を吐いて、缶コーヒーのプルトップを開け、温くなったコーヒーを一口飲む。


「なんだ。なにかやらかしたか?」


洋介は面白そうに笑みを浮かべ、前のめりになり聞いた。


弓木は眉間にシワを寄せて洋介を見て、コーヒーを飲む。


「窓口になったからと、調査についてくるっていうし、俺らのやり方に口を出そうとするし。本当、迷惑なんだが?」


「ははは。真面目なんだ、少しは大目に見てくれよ」


ソファの背もたれに体重を預け、洋介は笑う。


「ったく。お前は相変わらずだな。洋介」


「お互い様、だな」


洋介の言葉に、弓木は面白くなさそうな顔で缶コーヒーの中身を飲み干した。


「それで?」


「確かに、お前が言った通り、この事件には裏がありそうだ」


洋介の問に、弓木は表情を切り替えて言った。


「やはり、そうか」


「事件があったあの部屋は、綺麗に整いすぎている。まるで見本のように」


「ああ」


「捜査本部はどう見ているんだ?」


弓木の問に対し、洋介は苦笑を浮かべた。


「住人が、きれい好きだったんだろうと」


「はあ?」


「そう思うだろ?俺も思った。だけど、それで通っちまったんだ」


「昔も今も無能ばかり、か」


弓木の呟きに、洋介は苦笑を返すしかなかった。


「一応、外部犯の可能性も視野にいれて調査するつもりだ。調査した結果は清水刑事に渡す。だからあの刑事をどうにかしてくれ。お前の命令なら聞くだろ?」


「わかった。なんとかしてみるよ」


「ああ。話は終わりだろ。さっさと帰れ」


弓木がソファから立ち上がるのと、インターホンが鳴るのと同時だった。


嫌な予感がして五十嵐の顔を見ると、ニヤニヤしながらドアホンへ向かい、応対する。


一度事務所から出て行き、また戻ってきた五十嵐の手には、弁当屋の袋が握られていた。


「お前ぇ、いい加減にしろよ」


「今日来た目的は、お前に飯を食わせることだからな!」


「はぁー」


盛大なため息を吐き出して、弓木は頭を抱えた。


頑張ります。

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