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リセマラ

連続投稿此れにて終了


この作品のオチ

ある意味出オチ…?


 冴島(さえじま) 円香(まどか)は学園への選任教師では無い。


 そもそもが、年若い未来ある召喚士に希少な従神を数多く確保させることは、先々の発展を見据えた国家的な計画だ。

 政治的な観点から教育機関に嘴を挟むことは忌避されるのだが、国の将来を懸念することは国民の安全を確保するための大事な事業に当たる。

 マドカはそうした軍事的な視点から学園へ差配された、『正式ではない』就任教師と見做されている。


 とはいうモノの、彼女自身の本来の就職先は『召喚』そのものを解析する研究機関である。

 世に出て数十年経つはずのこの技術らは、理屈の面から見ても『どうしてそうなっているのか』未だに詳しく解析されていないのに活用されている、言うなればブラックボックス的な技術体系だ。

 そういう未知を解析することを専門としていた彼女だったのだが。


 其処に勤めて早々に『大学在住時に教育免許を取って居たから』という安易な理由づけで、政治屋の勝手な取り計らいで学園へと廻された。

 言うなれば、被害者と言っても過言では無い。



 そんな彼女だが別段、学生や学校に忌避や嫌悪を抱いている、というわけでもない。


 むしろ、就任して1年程度だが、なんちゃって教師である自分を軽んじることも無く、比較的友好な学園生活を送れているために少し、今が楽しくなってきたくらいだ。

 というのも、多少把握している専門知識を学園教育に活用できているお蔭で、生徒らの召喚士としての能力の向上や従神との関係性の良好化に奔走していることが理由の大半に当たる。


 彼女自身、本来の研究の延長線上に相するくらいの発見や、何かをやり遂げた時の達成感が、生徒との相互理解が、この生活へのモチベーション向上に繋がっている。

 冴島 円香、24歳。ただいま青春真っ盛りである。



 そんな彼女だからこそ。

 いきなりの初召喚で顕現したSSSクラスの従神が、最低でも(紲星)7相当の顕在性で呼び出されたことに相当驚いていた。


 それを、あっさりと拒否した生徒の方にも。



「え、えええええええ!? な、ちょ、ま、なにやってんですか貴方はぁああああああああ!?」


「あ。スイマセン、つい」



 つい、で済ませられる話ではない。


 そもそも、従神らは現実へ作用するだけの顕現性を秘めてはいても、その全てが現実を変革できるほどでは無い。

 その全てが通じるとなっては、今地上に人間の棲み処などは無くなってしまうし、それこそ神代に匹敵するほどの混乱を伴って、当時の戦争が『どうしようもなくなって』いただろう。

 それを人類の社会性が喪失されない程度にまで引き下げられ、引き留められていた最大の理由は『従神の顕在性の脆弱化』。

 即ち一部に於いては【受肉】と呼ばれる現象へと、昇華し切っていなかったお陰でもあった。


 戦争が激化し、決定的な勝利と敗北に繋がったのは、偏に『ちょっと禄でもない程度』にまで従神らが顕在化し尽くしたことが、そもそもの決定打である。


 以前にも語ったが、彼らはお互い戦い合い食らい合うことでその実力を高め合う。

 つまりは経験値の奪い合いなのだが、それはそのまま、現実への干渉力を引き上げて往くことに繋がる。

 戦争の収着は互いの国土を力技で削り合う、まさにハルマゲドンかラグナロクかと謂わんばかりの様相で終着したと言われている。


 受肉した彼らは、その顕在性と引き換えに、お互いの肉体を滅ぼし合う結果に繋がった。

 干渉力の上昇は、実態がある故のデメリットを引き継がないわけにもいかなかったのだ。


 しかしそうして受肉出来た従神の数は、今では全世界を見渡しても10にも満たない程度しか残っていない。

 紲星の最大数は、そのまま最大公約数へとイコールで結びつくわけだ。


 政府側の云う、『強力な従神』というモノがそれに当たる。

 今は世界中で召喚士を育成し、そういった【受肉】に至るほどの従神を国家間で確保しようとしている。

 そういうパワーゲームのバランスをとるために、重要視されている要素がそれに当たるのである。


 ニッカの『リセット』は、其処に繋がる希少な可能性を斬り捨てたことに帰結する。

 当然、そんなことは本人にもよくわかっていなかったのだが。


 滔々と涙目で語られると、多少悪かったかな、程度にはニッカも良心の呵責を負うものである。



「いや、しかし、要らないモノは要らないしなぁ」


「うっ……! で、ですよね……、何が出来るかも把握できないうちから、それだと決める学園側からの意見なんて、新入生の貴方たちには受ける意義だってありませんし……、そもそも初心者にそんな高ランクの神格なんて手に負えるかどうかもわかりませんし……」



 本当に良心の呵責があるのか、ちょっと問い糺したい科白を吐かれたが。


 しかし、自分が『勿体無い』と判断したそもそもの理由が政治的な配慮、または研究者としての希少性への興味だ。

 マドカだってその辺りの自覚があったので、『そんな言い分』でも教師として目覚め始めていた彼女には心に多少クリティカルな矢となって突き刺さる。

 生徒想いの良い教師として、大事な観点ではある。

 心が痛まないのか小僧。



「あー、まあ、次から気を付けます」


「はい……、断りを入れる前に、ひとこと欲しかったです……」



 地の文の言葉が届いたわけではなさそうだが、マドカへ多少は遜るように配慮を見せるニッカ。

 しかし、意気消沈したままの彼女のモチベーションは余り回復しない。


 当然だが。

 先ほどの『彼女(従神)』は、確率的にも希少(レア)過ぎる現象(召喚)として終わったこととなっていた。

 それを見過ごしてしまったのだから、誰だって安易に回復はしない。



「さて、来い」



 しかし――、



「――あれ? また確定演出?」


「……えっ!?」



 講堂中の魔法陣から斜光に似た流星が(以下略。


 そうして集約した光は、先ほどと同じような姿を形作って顕現する。

 ニッカは、ソシャゲ開始時の限定的な高ランクガチャを思い出していた。



「――あんたね! いきなり返還とかどういうつもりd」


「はいチェンジ」


「ちょ、ぁあああ――!」


「待ってぇ!?」



 悲鳴と共に、先ほどと同じ女性が消えて逝った。

 マドカの叫びも、空しく響いた。



「なんで消すんですかぁ!? 気を付けるって言ったじゃないですかぁ!?」


「いや、要らない子は要らないですし」



 にべもなかった。



「初めから話せる神格()は希少なんです! ひょっとすればブラックボックスになっている技術の中も解析できるチャンスに繋がるかもしれない、」


「――そうよ! 私の何が不満だって云う「はいもういっかい」だから消す、にゃあああ――!?」


「話の途中で召喚して食い気味に消さないでください!?」



 初登場(召喚)から音速でキャラクターがぶれ始めた従神の、ネコ科のような悲鳴が講堂に響き渡っていた。

…あ、起承転結の結まで逝ってねぇ

よ、読む人居たらまた書くし!

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