93 幹部顔合わせ 後編
「失礼するでありんす」
次に入ってきた幹部は、着物っぽい服装で肩をはだけさせ、
今にも胸が零れ落ちそうになっている女性だ。
右手には煙管を持ち妖艶な雰囲気だが、
近づいた者はあっという間に捕食されそうな危ない雰囲気も併せ持つ。
「やあ、オラはイブ。よろしくなぁ」
「あら、可愛らしいトロールちゃんでありんすね。あちきはカリン。よろしゅうたのみます」
うん。イヴの可愛さがわかるならいい子だ。
「オレオだ。よろしく。こちらでお茶でもいかがかね?」
「あら、美味しそうでありんすね。ぜひご一緒させてもらいます」
「ワイはフラムじゃ! それよりオレオよ、ワイのときと態度が違いすぎんかのう?」
「吾輩は紳士だからな。女性には優しくするものだ」
「だったらワイにも優しくせんかーい!」
「何を言うか、貴様のような野蛮でイヴのことを悪く言う男に優しくなどするわけなかろう」
「ワイは女じゃー!」
「な、なんだと・・・?」
「なにを本気で驚いとんねん! どっからどう見ても女じゃろ! こないナイスバディで男と間違うとは、オメエの目はどうなっとんじゃ!」
いや、まぁ、確かに顔は中性的だ。
でも僕の目にはボンキュッボンならぬキュッキュッキュッしか映ってないんだけど。。
「なるほど、文化の違いか。我の知るナイスバディとは違うようだ」
「ほう、ヴァンパイア族は変わり者が多いと聞くしのう。それなら納得じゃ。許してやろう」
どうやら鬼族ではこのお子様体系がナイスバディとされるようだね。
いわゆるロリコ・・いや、これは言わないでおこう。
「して、カリンは何族なのかね?」
「あちきはアラクネ族でありんす」
そう言ってカリンは着物の裾を少しめくり、8本の蜘蛛の足をチラッと見せてくれた。
「おお、かっこいいな。触ってみてもよいか?」
「え、え? そそ、それはダメでありんすよ。もう、エッチなお方やなあ」
顔を赤くして断られちゃった。
自分から見せてくれたからいいかと思ったんだけど、触るのはエッチなのね。
「ふむ、それは失礼した。これまで田舎で暮らしておった故、常識に疎くてな。許してくれ」
これは困ったときに使う言い訳として事前に考えていた設定だ。
これなら少々おかしな言動があっても疑われないでしょ!
「そうでありんしたか。でも他のアラクネだったら殺されてたかもしれませんから、以後お気をつけなすって」
危な! そんなに危険なことを口走っちゃったの僕!?
もう少し言動に気を付けなきゃね。。
ガチャッ。
「おう? まだ全員集まってねえぞ。早すぎたか?」
「おいおい、もっと酒飲んでりゃよかったな」
「これが終わったらもう一杯やればいいだろ」
3魔入ってきた。
来た順に特徴を言うと、牛、鎧、トカゲだね。
それぞれミノタウロス族のフー、デュラハン族のへ―、ドラグーン族のホーだそうだ。
この3魔の種族は歴代魔王軍の幹部常連らしく、お互いに仲がいいらしい。
うん、幹部同士仲がいいことはいいんじゃないかな。
ただこの時間に酒を飲んでくるのはどうかと思うよ。
「うわ、なにここ酒臭いわねえ」
悪態をつきながら入ってきたのは夢魔族のジュリア。
どエロい格好だね。
油断してると視線が吸い寄せられちゃう。
なんて危険な種族なんだ!
「ちょっと何見てんのよ変態」
さて、誰だろうね。こっちには僕とイヴしか男はいないのに。
変態なんてどこにもいないじゃないか。おかしいなあ。
念のため振り返る。
「・・・・。」
・・・え?
いたよ。本当に誰かいたよ。
てっきり僕の視線がバレたのかと思ったけど違った。
本当に変態がいた。
だって真っ黒な人型の何かが、よだれを垂らしながらジュリアのおっぱいガン見してるもの。
というか、いつからここにいたんだ?
全然気づかなかったよ。
そう言えば予選でもえらく影の薄い奴いたなぁ。
彼だったのか。
てかなにか喋ってよ!
怖いんだけど。。
「ちょっと! 気持ち悪いからこっち見ないでってば!」
「・・・・。」
なんだこいつは。。
凄いぞ。ここまで言われても視線が全くぶれない。
強い。。
「そこの君、名前は?」
「・・・・。」
だめだ。何も聞こえてないのか無視しているのか。
どちらにせよ会話ができないやつだ。
「おそらく彼はシノビ族でありんすね。常に影のように闇に潜み暗躍することに命を懸けているそうで、普段からほとんど会話しない種族だと言われていますわね」
なるほど。これきっと忍者がモチーフだな。
これも過去の勇者が関係しているのだろう。
「拙者は絶影のカーゲウスと申す。カーとでも呼んでくれ。以後よろしく」
しゃべった。。
話せるんだね。
ちょっと気になるところはあるけどそこはスルーだ。
それよりこの空気どうしてくれるんだ。。
彼がここで自己紹介してくるなんて誰が予想しただろうか。。
変態。気持ち悪い。と罵倒され、
ほぼ口を開かない種族だと紹介された直後にである。
驚きのあまり、みんな静まり返っちゃったよ。
なにか話題をと考えていたところ・・・
ガチャ。
嫌な空気を吹き飛ばしてくれる救世主が現れた。
いかにも執事です! といった風貌の白髪の渋いおじさまだ。
「失礼します。皆様お揃いのようですな。まずは幹部就任、おめでとうございます」
今回の幹部決定戦を取り仕切っていた魔族だ。
強そうだし、気になってたんだよねー。
優しそうな笑みを浮かべる紳士な顔の下に垣間見える、昔はとてつもない強者だった感!
渋くてかっこいい。
僕も歳を取るならああなりたいな!
「では少し自己紹介をさせてもらいましょうか。魔王様の執事をしております、シルバと申します。種族はレイス。年齢はつい先日273になったばかりでございます。これからよろしくお願い致します」
おお、想像以上の年齢。
僕の前世を合わせても人生の大先輩じゃないか。
「では、参りましょうか。魔王様がお待ちですので・・・」
シルバはそう告げると、魔王の待つ部屋へと歩き出した。
おっと、まさかこんなに早く魔王と対面するとは・・。
いきなりすぎて心の準備ができてないよ。
まぁ、なんとかなるよね!
僕は呑気ににシルバについていくのであった。
読んでいただきありがとうございます!
投稿が遅くなってすみません!
次話もお楽しみに!




