88 初めての魔族
魔族領を馬車で駆けること数時間。
ついに魔族が住む土地が見えてきた。
ここまで幾度も魔物に出くわしたけど、全てゴーレムが片付けてくれた。
僕はその間ゆっくりとティータイムを満喫した。
ゴーレムちゃん最強だ。
ここからは目立つわけにもいかないため、馬車とゴーレムは収納。
徒歩で行こう。
魔族って見たことないから少しワクワクだ。
だから、つい浮かれてスキップしているのも許してほしい。
お! 第1村人(魔族)発見!
魔王について聞いてみようかな。
「こんにちはー!」
「おう、こんな町はずれにどうし・・・人族!?」
あ、変装するの忘れてた。
「ちょっと待ってね」
僕は【アイテムボックス】から魔物の角を取り出す。
そして頭にのせてみる。
「僕、魔族。よろしくね!」
「ああ、そうかよろしくな・・・って、んなわけねーだろ!!」
ダメだったか。
アホそうだしいけると思ったのに。
「なんで人族がここにいるんだよ!」
「でさあ、ちょっと聞きたいんだけど、魔王ってどんな奴?」
「マイペースか!」
「やっぱ強いの? 見た目はどんな奴?」
「クソ、勝手に話進めてんじゃねえよ!!」
「ねえ、もしかして知らないの? 知らないなら用はないから、じゃあねー」
「ああ、じゃあな・・・って、待てー!!」
「え? なにか思い出したの?」
「これでも一応、魔族の端くれなんだ。この先に人族を通すわけにはいかねー。ここで死んでもらう。悪く思うなよ!!」
魔族Aが殴りかかってきた。
面倒だけど仕方ない。
避けてカウンターでデコピンをお見舞い。
力加減をミスったのか、近くにあった小屋まで吹っ飛んでいった。
小屋は崩壊。魔族Aは血だらけだ。
あちゃー。気絶させるだけのつもりが。。
あのままだと死んじゃうかもな。。
仕方ない。治してあげよう。
僕は魔族Aに近付いて回復魔法をかける。
傷は全て回復した。
「!? 何のつもりだ?」
「んー、死なれたら嫌だったから?」
「そんなバカみたいな理由で? 人族は訳が分からんな」
「まあ、僕がちょっと変わってるだけだよ。それよりこの小屋もしかしておじさんの家?」
「・・おじさん。。・・まだそんな歳じゃねえぞ。。」
「家だったならごめんね。新しいの建ててあげるから許して!」
まだおじさんじゃない。
とブツブツ言ってる魔族Aは放置して、早速作業に取り掛かる。
材料は【アイテムボックス】から使えそうな物を取り出して使う。
建築作業にも慣れたもので、1人用の家ぐらいならば簡単につくれちゃう。
「な、なにもんだお前は。。」
僕の建築作業を見て、現実に戻ってきたおじさんがつぶやく。
「人間だよ。すぐ終わるからちょっと待っててね」
「人族ってのはこんなにすげえのか。。」
作業開始からおよそ30分。
「よっし! できたー!」
「・・・なっ、なんじゃこりゃー!?」
「じゃ、僕急いでるから!」
家も建て直してあげたし、もうここに留まる理由はない。
早く情報収集しなきゃね!
「・・ま! 待ってくれ!」
「ん? まだ何かあるのー?」
「いや、こんな立派な家をつくってくれたんだ。お礼がしたい。魔王様について知りたいんだろ?」
「お、知ってるの? だったら早く教えてくれたらいいのにもぉー、もったいぶっちゃってー。このこのー」
指先で魔族Aをツンツンする。
「うるさいやつだな。。まあ中で話そう。自慢の家だ。ついてこい」
僕は魔族に連れられ、家の中に入る。
僕が造り直したんだけどね。。
「さて、まずは飯でも食いながら話すか」
そう言って魔族Aが食事の準備を始める。
僕もアイテムボックスから食べ物と酒を取り出す。
「では、カンパーイ!」
「む? うまい! 人族はこんなうまい酒を飲んでやがるのか! もう一杯くれ!」
「どうぞどうぞー、好きなだけ飲んでいいよー!」
僕は魔族Aにお酒をどんどん飲ませる。
まあまあ高いお酒なんだけど、これで楽に情報収集できるなら安いもんだ。
そんな感じで魔族Aはいい感じに酔っぱらい、
かなり打ち解けてきた。
・・・・・・・・。
「ハッハッハ! はー、しかし、人族にも話の分かる奴はいるもんだな!」
「魔族もみんなが好戦的ってわけでもないんだね!」
「あったりめえよー、そんなんじゃ俺なんかとっくに死んでるわ!」
「確かに!」
「「ハハハハハ!」」
「で、お前さんが知りたいのはなんだったか?」
「まず知りたいのは、魔王が人族に敵対するつもりなのかどうかだねー」
「そうか。魔王様は恐らく人族に攻め入るつもりだろうな。今は魔族領全域から戦力を募ってるぞ」
「やっぱりかー。ちなみにおじさんはいかないの?」
「ああ、俺はこの町はずれで静かに過ごす、今の暮らしが気に入ってるからな」
「そっかー、おじさん弱いもんねー」
「うるせー! 余計なお世話だ!」
「ハハ! で、魔王ってどれくらい強いの?」
「そりゃあもう、あのお方は魔族最強だ!」
「んー、ドラゴンと比べるとどう?」
「そうだな・・ドラゴンが束になっても、魔王様にはかなわないだろうな! 魔王様ばんざーい!」
ほーう、やっぱり魔王と言われるだけあって強いんだね。
「そっかー」
それじゃあ、まだハヤテには厳しいかー。
「ちなみに魔王にどうやったら会える?」
「なんだお前、自殺志願者か? それとも単に頭がいかれてやがるだけか?」
「いやいや、ただ話がしたいだけだよ」
「そうか、こんなとこに1人で来るぐらいだもんな。察してやれなくてすまん。。可哀想に。。」
「失礼だなー。おじさん、どうにかできない? 魔王と連絡取れないのー?」
「まあ、普通なら会えないな」
「ちぇっ! 長居して損したなあ。じゃ、僕はそろそろ行・・・」
「待て」
「なに?」
「俺の話を聞いてなかったのか?」
「ん?」
「あくまで、普通ならの話だ」
「ってことは、方法があるんだね!?」
「そうだ。さっきも言ったが、魔王様は兵士を募っている」
「僕に兵士になれって言うの? でもそんなんじゃ魔王と話できないじゃん」
「まあ待て、そう焦るな。肝心なのはここからだ。魔王軍幹部は過去の戦でほぼ全滅状態だ」
「うん、それでそれで?」
「そんな状況で軍隊をつくってもまとめられないだろ?」
「成程、わかったよ! 僕が幹部になればいいんだね!」
「お、察しがいいじゃねえか。実は三日後、幹部選抜試験の予選が各地で行われるんだが、その一つがこの近くで開催されるそうだ。今ならまだ登録に間に合うだろう、どうだ?」
「待ってましたー!! そういうのが聞きたかったんだよー!」
「しかしおススメはできんぞ? いくらお前さんでも殺されるかもしれねえくらい強いやつらが大勢出る」
「なになにー? 心配してくれてるのー? おじさんもツンデレだねー、このこのー」
「ったく、うるせー奴だな。で、どうする、参加してみるか? お前さんならいい線いけると思うんだが」
「もちろん出るよ! おもしろそ、ゲフンッ。本当は忙しいけど仕方ない!」
「お前さん今、面白そうだって言ったか・・?」
「え? 空耳だよ。さ、早く登録に行こう! ね!」
「まあ、いいか。それよりまずは着替えるところから始めるぞ」
「え? この完璧な変装のどこがダメなの?」
「・・・全部だ。。」
まあ、仕方ない。僕は魔族を見たことがないのだ。
ここは魔族Aに任せよう。
さーて、幹部を決める試験だからなー、面白い奴もいっぱいだろうなー。
どんな奴がいるのか楽しみだね!
ワクワク!
読んでいただきありがとうございます。
2019年も終わりますねー。
来年もよろしくお願いします。
みなさん、良いお年をー!




