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86 バレちゃった

 

 勇者こと、皇 疾風 との約束の時間になった。


 まずは、今日彼と対面した訓練所に転移。

 そこから指定された部屋に行くのだが、その前にやることがある。


 どうもあの部屋は嫌な感じがする。

 誰かが見張ってるような感覚だ。


 まずは浮遊魔法で宙に浮き、上空から確認。


 やっぱりあった。


 何かの魔道具が使われているみたいだね。

 その魔道具を上空から遠目に鑑定してみる。


 「なるほどねー」


 どうやら特定の人物以外が入室すると通知が行く魔道具のようだ。

 これで勇者であるハヤテを監視しているんだな。


 まったく、勇者ってのも大変だね。。


 僕は魔道具のある場所に向かう。

 建物の屋根。

 ちょうどハヤテの部屋の上に位置する場所だ。


「あった。これか」


 僕はその魔道具から核を抜いた。

 市販の魔道具はスライムの核を電池のようにして稼働しているのだ。

 だから核を抜けば停止する。

 これでOK。


 僕は皇の部屋の窓をノックする。


 ガチャ。


「お待たせ―! 勇者も大変だねー」


 そう言って僕は先ほど核を抜いた魔道具を見せる。


「それは?」


「ここの上に設置されてたよ。特定の人物以外が入ると通報されちゃうやつ」


「え? そんなものがあったんですか!?」


「ああ、やっぱ知らなかったんだね。ま、それはいいんだ。それよりご飯は食べた?」


「いえ。今日は部屋で食べると言ってサンドイッチをつくってもらったので、あとで食べるつもりです」


「そう、じゃあせっかくだし一緒にどう? いろいろあるから」


 僕はそう言ってアイテムボックスから様々な料理を取り出す。

 バルドと一緒に再現した前世の食べ物なんかもある。


「木剣出した時も思ってたんですけど、それ、アイテムボックスですよね? それにこの食べ物はこの世界にはないはずです」


「あ・・・」


 日本の食べ物が恋しいだろうから、もてなしてやろうと張り切りすぎた。


 珍しいスキルに地球の食べ物。

 そりゃ誰だって気付くよ。。

 僕はなんて馬鹿なんだ。。


「やっぱりあなたは転生者ですよね?」


「・・・・」


「その沈黙が答えと受け取っても?」


 やっぱりバレてるよね。

 ま、しかたない。それくらいはいいだろう。


「そうだよ。僕は転生者。前世は日本人だ」


「やっぱり」


 僕はこの後なんて切り出そうかと考えて紅茶を口に含む。

 ああ、この香り、落ち着くな…。


「・・もしかして、太郎?」


「ブフーッ!!!」


「いや、勘なんだけど、田中太郎じゃない?」


 え、なんでバレた!? 

 前世と話し方も変わってるのに。。


「やっぱりそうでしょ? 君は前世の僕を知ってるかのようだった。前世の知人で十数年前に亡くなった人物で、尚且つ転生してこの世界に馴染んでそうな人と言ったらラノベ好きの太郎しか思いつかない」


 グフッ。

 あの発言だけでそこまで? 

 相変わらずだなって言っただけだよ?


 何なの君は。

 普通そこから気付く? 気付かないでしょ!

 これだから天才は。。



「ハア。。やっぱハヤテには敵わないな。その通りだよ」


「ハハハ! 太郎なんだね! 久し振り! 会えて嬉しいよ!!」


「ああ。俺も嬉しいよ。まあ、今は僕なんだけどね」


「うん、そこがちょっと引っかかったんだ。でも、召喚と違って転生だからね。話し方なんかが変わることもあるでしょ」


「そこまでわかってんのかよ。。ほんとハヤテは相変わらずだな。・・もうこっちのしゃべり方に慣れちゃったからこれでしゃべらせてもらうよ。高校以来かな?」


「そうだな。太郎は同窓会には一度も来なかったもんね。なんで来なかったんだい? 楽しみにしてたのに」


 いや、呼ばれてすらいないんだけど。。

 ハヤテ以外友達いなかったし。。


「まあちょっとね。それより、食べながら話そう。こっちの世界はどう? 何か困ってる事とかない?」


「今のところ困ってることはないかな。勇者だって言われて、少しワクワクしてるのと同時に本当に魔王を倒せるのか心配な部分もあるかな」


「そっか。僕もまだ魔王は見てないけど、今のままじゃ無理みたいだよ。ローズが言ってた」


「やっぱりか。。」


「そこで聞いてほしいんだけど。このまま聖教国にいて大丈夫? 上層部がハヤテを束縛してるんでしょ?」


「そうか、なかなか外に出してもらえないなとは思ってたんだ。やはりそういう事だったのか。俺を外交に利用してるわけか」


「そういうこと。うちには勇者がいるから援助しろって他国に要請しまくってるよ。それでちょっと偵察に来たってわけ」


「なるほど。でも周りの兵士のみんなはいい人たちなんだよ。困ったね」


「でも、明らかに怪しいやつらはいるんでしょ? 僕が魔王を偵察に行っている間に、ハヤテにはそういうやつらをリストアップしておいてほしいんだよね。後は僕が何とかするからさ。頼んでもいい?」


「わかった。調べておくよ」


「よろしく。なにか困ったことがあればいつでも助けに来るよ。連絡手段はそうだな・・よし、ちょっと待ってね」


 僕はアイテムボックスから素材を取り出して作業に取り掛かる。


「なんか作ってるのか?」


「うん。携帯をね」


「この世界にも携帯があるのか!?」


「いや、ないから作ってるんだよ」


「・・え? 太郎のスキル? 創作系?」


「いまはオルトね。スキルはチートを複数持ってるから、それらを組み合わせたら大抵のことはできちゃうね」


「マジかよ。。羨ましいな。俺がもらった【なりきり勇者】よりいいんじゃないか?」


「どんなの?」


「ざっくり言うと、普通のスキルより強力な、剣術と光魔法、肉体強化。それと獲得経験値上昇だ」


「わお、まさに勇者って感じだね」


「細かく言えばもう少しあるんだけどね。それよりまさか俺が勇者になる日が来るなんてなー。ま、厳密には違うって女神様から聞いてるけど」


「あ、知ってたのか。それ教えるべきか迷ってたんだ」


「そんな、気を遣わなくていいよ。いろいろ教えてくれると助かる」


「オッケー、そうするよ。・・よし、できた! これでいつでも僕に連絡できるよ。あ、あとアイテムボックスみたいなスキルはあるの?」


「スキルは無いけど、この収納袋なら持ってる。部屋1つ分くらいの、この世界でもトップクラスの収納量らしいぞ」


「そっか、じゃあこれあげるよ。東京ドームくらいは入るから良ければ使って」


「東京ドーム!? いいのか!? これかなり高かっただろ?」


「いいよいいよ、それも僕の手作りだし」


「なんでもありかよ。。もうタロ・・オルトが魔王を倒したら?」


「だが断る!」


「一応聞くけどなんで?」


「面倒臭い」


「そんな理由で。。こっちは必死に訓練してるのに。。」


「ま、サポートくらいはするつもりだよ」


「それは心強いな。ちなみにオルトの強さってどれくらい?」


「んー。ドラゴンくらいなら余裕かな」


「・・・マジ?」


「マジ」


「ドラゴンって魔物の中でも最強の存在だよね・・? つまりオルトは世界最強?」


「どうかな? さすがにローズには負けるんじゃない?」


「いや、この世界の神と比べるのはおかしいだろ。。」


 久々に会った僕らはその後も話が弾み、夜遅くまで話し込んだ。

 ハヤテが置かれている状況や日本のこと、この世界に来てからの出来事などいろいろだ。


 意外なことにハヤテは僕のハーレム話に食いついてきた。

 あのモテモテなハヤテに羨ましがられるとは思わなかったよ。


 なんと彼。日本にいたころは誰かと付き合うと、その相手が他の女から虐められ、ひどいときは殺されそうになったりしたそうだ。そのせいでまともなお付き合いはほぼなく、一夜限りの関係ばかりだったそうだ。


 それはそれで羨ましい気もするが、モテすぎるってのも大変なんだね。。


 でもこの世界では一夫多妻制も認められているから、そのうち気付いたら勇者ハーレムができてそうだよね。


 ちなみにハヤテは元の世界に戻る気はないそうだ。

 昔から異世界もののラノベや漫画が好きだっただけに、このファンタジーなユグドラシルの世界はまさに理想の地だったそうだ。


 日本に未練はないんだって。


 そういうところはやっぱり僕と意見が合う。


 せっかくまたこうして会えたのだ。

 これからはできるだけ、勇者:皇疾風をサポートしてあげようと決心したのだった。





読んでいただきありがとうございます。


次話もお楽しみに!

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