表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/98

84 久しぶり

 


 僕は聖教国にある神殿の前まで来ていた。


 目の前には王都で見た神殿よりも一回り大きな神殿がある。


「でかいなー」


「こんにちは。お祈りですか?」


 教会のシスターのような女性が話しかけてきた。


「ええ、そうです。ついでに勇者様にお会いできればいいなとも思ってます」


「そうでしたか。ではご案内いたしますね。ささ、お入りになって。勇者様は普段、神殿の奥にいらっしゃるのですが、時折こちらでお祈りされるので、もしかしたら会えるかもしれませんよ?」


「へえー。勇者様ってどんな方ですか?」


「髪と瞳のお色が綺麗な黒で、言葉では言い表せないほどに、とても整ったお顔をされています。内面も素敵で、誰にでも分け隔てなく接してくださ―――――」


 長い。。

 シスターは僕の隣で、恍惚とした表情で勇者のことを語っている。

 いつになったら終わるんだろうか。


 有用な情報は得られそうになかったため、途中から聞くことをやめた。

 とりあえずわかったのは、勇者はモテるってことくらいだ。


「――――っと、着きました。残念ですが勇者様の話はこれくらいに致しましょうか」


 ようやく神像がある大きな部屋に到着。

 助かった。このままだと一日中、話し続けそうな雰囲気だったよ。。


「ありがとうございました」


 僕はシスターにお礼して中に一歩踏み出す。

 奥にある女神像の前で祈りのポーズをしつつ、心の中で神達に語り掛けてみる。


 (「おーい。おじいちゃーん! ローズー!」)


 すると目の前が真っ白になり、一瞬で天界に。


 目の前にはアーサー爺ちゃんとローズがいた。


「だれが爺ちゃんじゃ!」


「2人とも久し振り! あ、柱かな?」


「久し振りだね、オルト君。人でも柱でもなんでもいいよ。それより可愛いお嫁さんもらったみたいだね」


「うん、2人のおかげで楽しくやらせてもらってるよ。なんならローズも僕のお嫁さんに来る?」


「あはは。考えとくよ。それより今日はどうしたの?」


「ああ、それよりまずはお土産ね。ほら、地上の美味しい食べ物や飲み物をいっぱい持ってきたよ。この収納袋に入れておいたから好きなの食べて!」


「ありがとう! 美味しそうだね!」


「ほう、ちっとは気が利くようになったのぅ」


「ハハ。で、今日来たのは、魔王が復活したって聞いたから、勇者と魔王の様子を見に聖教国に来たんだけど、せっかくだから神殿によっていこうと思ってね」


「ああ、そういえば復活してたね」


 ローズはさっそくクレープにかじりついている。


「そうじゃな、それに最近勇者召喚とか言ってまた勝手に地球から1人連れていかれたわぃ。まったく、あの魔法には困ったもんじゃ」


 アーサー爺ちゃんはおせんべいと緑茶だ。しぶい。


「え? 召喚ってお爺ちゃんが選んでるんじゃないの?」


「あの召喚魔法はな、ざっと千年くらい前、人族が困っておった頃に、異世界からランダムに優秀な人間を召喚できるようにローズが教えた魔法じゃ。しかし最近はどうも地球から選ばれやすくなっておるようじゃ」


「へえー、ってことは厳密には勇者ではないってこと?」


「そうだよ。本来は優れた人間が召喚されるだけの魔法さ。でも最近は召喚される前にちょっとだけボクが介入して、召喚された人間が困らないようにスキルを与えたりしてるんだ。時代とともに召喚された人間への要求がエスカレートしていってるからね。スキルなしじゃ生きていけないよ」


 なるほど。だから勇者で検索しても見つからなかったのか。

 てっきり勇者とかいう職業や称号のようなものがあるのかと思ってたよ。


「ちなみに今回の勇者はどんな人だった?」


「とってもいい子だったよ。それにすぐに異世界に召喚されたことも理解してくれて楽だったな」


「最近の若いもんは異世界転移、転生に憧れを持つ者が多いようじゃからな」


「ああ、わかるよ。僕もそのうちの1人だったからね」


「そういえばそうじゃったな」


「その召喚された人についてもっと詳しく教えてよ」


「確か30代くらいの男じゃったな」


「え? 召喚と言ったら高校生じゃないの!?」


「ウム、確かにそれくらいの年頃が召喚されやすいがな。絶対ではない。それに、どうせ召喚時には最も肉体が優れていた時代まで若返るからな。年齢は関係ないんじゃ」


「なんですとー!?」


 衝撃の事実発覚。


 異世界召喚と言ったら高校生だと思い込んでしまってたよ。

 そうか、なら僕も転生じゃなくて召喚される可能性もあったってことかな?


「お主が召喚されることはなかったじゃろうな」


「心読まれた!?」


「あはは。顔に書いてあったよ。あの召喚魔法はいろんな要素で判断されるからね。肉体的にも精神的にも優れていて、尚且つあの世界に順応しやすいかどうかとか、必要な条件が多いんだ」


「ほう、つまり前世の僕みたいな引き籠りニートには可能性がなかったと。。」


「そうじゃ。体を鍛えておいたならもう少し可能性もあったかもしれんがのう」


「へー。ま、いいや。召喚より転生の方が僕にはいいことだらけだったし」


 転生によってイケメンになったし、チートスキルいっぱいもらえたし、家族や友人に恵まれ、今では可愛い婚約者たちもいる。最高だね。


「あ、それより聞きたいんだけど、その勇者は魔王を倒せそうなの?」


「うーん、どうも上層部に大事にされすぎて、まだ強い魔物と戦えずに伸び悩んでるみたい。このままじゃ討伐は不可能、よくて封印だろうね」


「また封印? それしかできないのにあの額の援助金よこせだなんて、聖教国もひどいな。まったく、ローズの信者たちはどうなってんのさ」


「まあまあ、落ち着いて。聖教国も純粋な信者だけならいいんだけど、中には私利私欲のために地位を得てるような人間もいるからね。どんな組織にも必ずそういった人物は現れちゃうものさ」


「なるほど、じゃあ僕がそいつらをどうにかしてもいいかな?」


「ボクはかまわないけど、神殿は壊さないでねー」


「もちろん、そこだけは気を付ける! 貴重な話ありがとう」


 これで、僕が聖教国でやるべきことが見えてきた。


 まずは勇者に接触してみよう。

 恐らく勇者なら聖教国の金の亡者のことも知ってるだろう。

 なんならお仕置きを手伝ってくれるかもしれない。


「そろそろ帰ろうかな。お爺ちゃんもローズも元気でね!」


「ウム、あんまり暴れすぎるんじゃないぞ」


「オルト君も元気でね! またいつでも遊びにおいで!」


「はーい。また来るねー」


 目の前が真っ白になり、来る前と同じで神殿に戻ってきた。


 あれ? なんか前回と感覚が違ったな。

 まるで自分で動いたかのような・・。


 でも天界は行き来出来ないって言ってたから違うよね。

 じゃあなんだったんだろう?


 ま、なんでもいっか。

 レッツ勇者探し!



 あ、魔王のこと聞くの忘れてた。。





読んでいただきありがとうございます。


次話もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ