83 聖教国
僕はまず帝国領に転移した。
僕が行ったことのある場所で聖教国に最も近いのがここだったのだ。
夜だから外はもう真っ暗。
街灯もほとんどないため、明かりと言えば唯一、ほんのりと辺りを照らす月明かりがあるくらいだ。
普通ならこんな時間に移動しないが、今回ばかりは都合がいい。
なぜなら飛行魔法で移動するからだ。
昼間だと誰かに見られてびっくりさせちゃうからね。
ちなみに飛行魔法は練習しまくってたから、高い所も飛べるようになっている。
「よし、がんばるかー!」
王都から聖教国までは馬車で2ヶ月ほどと聞いている。
ここから空を高速で飛んでいけば、ぐぐっと移動時間を短縮できると思う。
僕は聖教国を目指し、最高速度で飛ぶ。
途中で空飛ぶ魔物とぶつかった気もするけど気にしない。
前方には風を受け流すために結界を張っているから問題ない。
空を飛ぶことおよそ3時間。
ようやく【マップ】上に聖教国が見えてきた。
あとちょっとだね。
聖教国は思っていたより小さい。
王都とほとんど変わらないんじゃないかな?
丸く作られた外壁があり、壁の内側にはほぼ同じ大きさの建物が綺麗に並んでおり、中央に大きな建物が建てられている。
あれは恐らく神殿だろう。
街道はまるで碁盤の目のように縦と横の道で分けられている。
機械なんかがあるわけでもないのに
ここまで綺麗に並べるなんてすごいね。
じゃあ早速、勇者探しから始めますか!
僕は【マップ】で勇者を検索してみるが見つからない。
範囲を広げたりしながら調べてみたが見つけきれない。
あれ? 勇者召喚したんだよね?
困ったな。
まさか見つけられないとは思ってなかったよ。
さてどうしようか。
予想外のことに戸惑いつつも、僕はこれからの作戦を練るのであった。
外はだいぶ明るくなってきている。
このまま空に浮かんでたら目立っちゃうな。
一先ず街に降りるか。
と思ったけどまずは門から正式に入ることにした。
情報収集すると嫌でも目立つ。
そこで入国手続きしてないことがバレたら面倒だ。
入国時は神殿にお祈りに来た信者のフリをしてればいいだろう。
騎士団の恰好では目立つため、一般の街人のような格好に着替える。
準備ができたところで門に向かう。
早朝だが門は既に空いている。
僕は入国待ちの列の最後尾に並ぶ。
まだ長蛇の列ってほどではなくて良かった。
しばらくして僕の番がやってきた。
「この国には何の用だ?」
「神殿にお祈りに来ました」
「そうか。少し荷物を調べるぞ」
僕はごまかすために持っていた袋を渡す。
中には財布と干し肉とパン、水筒くらいしか入れていない。
「よし、いいだろう。入国量は金貨1枚だ」
「金貨? 銀貨の間違いでは?」
「ああ、最近勇者様を見たいがために来る奴らが多くてな。入国料も値上がりしてんだ」
「ほう、勇者様ですか? それはぜひお会いしたいものですね。どちらに行けばお会いできますか?」
「残念だが勇者様は神殿の奥にある修練所にいらっしゃるそうだから滅多に会えない。だが、運が良ければ神殿で偶々見かけることはできるかもしれんぞ」
「そうでしたか。貴重な情報をありがとうございます。では」
僕は金貨1枚を渡して聖教国に入った。
目的地の神殿までは道がまっすぐ綺麗に整備されているため歩きやすい。
せっかくここまで来たからたまには神様たちに会いに行こう。
本家の神殿も見てみたいし。
読んでいただきありがとうございます。
次話もお楽しみに!




