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73 帝国との戦争

 


 コンコン。


「オルティスです」


「入りなさい」


「失礼しまーす」


「今日はどうした?」


「僕も戦争に行くことにしました」


「ほう、ついに決心してくれたか?」


「はい、いろいろ考えて決めました。それで、お願いがあるんです」


「なんだ? 指揮官でもやりたいのか?」


「いえ、初戦は兵たちを後ろで待機させて僕1人に任せてもらえませんか?」


「・・は?」


「ちょっと、やってみたいことがありまして」


「何をやる気だ?」


「ちょっと脅してみるだけですよ。そんなに心配しないでください。もしダメだったらそのまま普通に戦争始めちゃっていいので」


「フム、まぁお主のことだ。また面白いことを考えておるのだろう。いいだろう、許可しよう。他のものにもワシから伝えておこう。だが、無理して怪我するようなことは無いようにな?」


「はい! ありがとうございます!」


 許可ももらって完璧だ。

 待っていろ帝国の愚か者どもめ。

 誰に喧嘩を売ったかわからせてやろう。ククク。



 ****************



 王国と帝国との国境線。


 初戦となったこの日、平原にて両軍の兵が対峙し、睨みあう。

 およそ5万対5万。


 初戦の勝敗はその後の士気にかかわるため両軍すごい気迫だ。



「見ろ!! 人がゴミのようだ!!」


 僕は王国軍の先頭に立ち遊んでいた。


「ひどい言い草だな。。そろそろいいんじゃないか? 団長」


 レンにはこのネタがわからないのか。残念だ。


 一応この場には騎士団として来てるから今日は僕のことを団長と呼んでくる。

 まだこの呼ばれ方に慣れていないから、ちょっとムズムズする。


「そうだね、行ってくるよ」


 僕は王国軍の前に進み、そして空中に浮かび上がる。

 両軍とも僕に注目してざわついている。


 やっぱり飛行魔法は珍しいんだね。

 滅龍騎士団以外に空飛べる人、未だに見たことないもん。


 風魔法で帝国軍前方の地面を切りつけ、線を引く。

 そして拡声器のような魔法で大声を出す。


「レオナルド王国、滅龍騎士団団長、オルティス・ペンドラゴンだ! 

 帝国軍に告ぐ。我々はこの無益な争いを望んでいない。命が惜しいものは即刻この場から立ち去れ。そしたら見逃してやろう。

 しかし! この線より一歩でもこちら側に足を踏み入れてみろ。その時は容赦しない。

 いいか? これは情けだ。貴様らなど簡単に捻り潰せる。ただちに降参することを奨める」


 僕の声が平原に響き渡る。

 威圧感を出すために普段とは少し口調を変えて忠告してみた。



「「ギャハハハ!!」」


「なんだあの弱虫は! 戦争が怖いからやめてくれだってさ! ハハハハハ」


 帝国軍の兵が一斉に笑い始めた。


「おいおめえら、この線を出たら容赦しないんだとよ! どうなるか見せてもらおうぜ、ハッハー!」


 男が1人、線を越えてこちらに踏み出してきた。


「おい、そこのお前、聞こえなかったか? 今ならまだ許してやるぞ。今すぐ線より向こうに戻れ」


「アッハッハ。聞こえてるっつーの。できるもんならやってみろってんだ!」


 レン「あーあ、あいつ死んだな」


「忠告はしたからな」


 スパッ。


「ヘッ、帝国が怖いからって忠告しかできね…」


 ズル、ボトッ。


 男の生首が落ちると同時に身体が崩れ落ちた。


 僕はあえて男の横に一瞬で移動して首を刎ねることで力の差を見せつけた。


 転移魔法は一度訪れたことのある場所か目視できる範囲なら転移可能だ。

 今回は目視で座標を定め、転移したのだ。


 シーン。


「ひ、ひー!」


 1人の兵士が悲鳴を上げると、それが次々と周りに伝播していった。

 帝国軍は恐慌状態だ。


「静まれー! 静まらんかー!!」


 誰かがそう叫ぶと、次第に混乱が収まっていった。


 お、なんか偉そうなやつが出てきたね。


「愚か者どもめ! これしきでうろたえるな! あれはただの魔法使いだ! 今のも何か魔法を使ったに違いない! だがしかし! たった1人で何ができる! みなで同時にかかれば対処できまい。それに魔法使いなど魔力が尽きればただの人だ! 何も恐れることはない!」


 おいおい、僕の華麗な剣技が見えなかったの? 

 魔法だけって決めつけるのはよくないぞ。


「おおー! そうだそうだー!」


「やっちまえー!」


 なんか偉そうにしてるのに線からは出てこない。

 部下に先に突撃させて僕の魔力が尽きる頃に出てこようって魂胆か。


 ずるいやつだな。

 でも残念。僕に魔力は必要ないんだ。


 てかこれだけじゃ諦めてくれないの?

 できれば争いたくないんだけどなー。


 よし、そろそろあれを出しちゃおう。


「いでよ」


 パチンッ。


 僕は指を鳴らして【アイテムボックス】から1万体のドラゴンゴーレムを出して空中に出現させた。


 傍目には僕がブラックドラゴンの群れを召喚したようにしか見えないだろう。

 この世界では【テイム】のスキルで魔物を使役することも可能だからね。


「ド、ド、ド、ドラゴンー!?」


 帝国軍は大パニック。


 レンは笑いをこらえている。

 アリサ、リーシャ、エリナには事前に教えてなかったから、驚くと同時に、またかって顔。


 だが王国軍は予想外の出来事にプチパニックだ。

 落ち着いてくれ。


 ふと気になって王国軍の後方で待機中の陛下をちらりと見てみる。


 めっちゃ笑ってた。


 そんなに笑うとこか?

 まあ、やりすぎだって怒られないならいいや。


「これが最後の忠告だ。帝国軍よ、死にたくなければ今すぐ降参しろ」


 僕の声が拡声されて響き渡る。


「ひっ、ひー! 逃げろー!」


「うわああああ!!」


 1人が逃げ出すとそれに続き大勢の者が逃げ出した。


「ま、待て貴様ら! 逃げ出すことは許さん! 戦えー! 逃げた者は死刑だー!!」


 偉そうにしてたやつは、どうやら帝国の総司令みたいな立場のようだね。


「おい、貴様がこの軍の一番偉いやつだな?」


「な! いつのまに!?」


「聞いてるのか? 貴様が責任者なんだろ?」


「クソ、お前さえ殺せば! ウウォー! ・・は? あ、ガァアア! 私の腕があああ!」


 僕を無視していきなり剣を抜いたから腕を切り落としてやった。


「おい、質問に答えろ」


「・・あ、ああ、私が軍の総隊長だ。私の命を助けたら今すぐ戦争は止めてやる。だからさっさと治せ!」


 こいつ自分の立場わかってないみたい。


「そうか」


 僕はパパっとそいつを縛り上げた。


「な、何をする! 今すぐ治療しろ!」


「この戦争は皇帝の指示か?」


「ああ、閣下の指示だ。お前、このままだと終わりだぞ。閣下に逆らったんだ。殺されるぞ。帝国には七剣がいる。いくらお前でも彼らには勝てまい。だが今すぐ私を助けるのであれば閣下に口添えしてお前に帝国での地位をやろう。いますぐ帝国に寝返れ。どうだ、悪くない話だろ?」


「そうか、では皇帝の元に案内しろ。そしたら解放してやろう」


 僕は帝国軍の総隊長を連れて帝国へと飛んだ。




読んでいただきありがとうございます。


さて、七剣ってなんでしょうねー。


次話もお楽しみに!

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