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70 まさか僕が・・・

 


 僕は家族に婚約報告を済ませ、’滅龍の家’に転移した。


「ただいまー」


「あれ? レンだけ? みんなどうしたの?」


「ちょっと準備中でな、もう少ししたら来るからちょっと待ってな。俺は少し出かけてくるわ!」


「え? うん、わかったよ」


 レンが出かけて1人になり、暇だったので僕は座って紅茶を嗜むことにした。


 椅子に腰かけ、僕のお気に入りであるフルーツの香りの紅茶と、お茶請けにクッキーを用意する。

 

 うん、おいしい。


 前世では紅茶なんて飲んだこともなかったけど、転生して飲んでみると意外と美味しくてハマってしまった。


 でもやっぱりコーラが飲みたい。

 コーラは未だに再現できていないのだ。。


 まず炭酸水すらどうしたらいいのかわからない。

 二酸化炭素を溶かすのかな? どうやって? というところでいつも断念。


 僕のラノベ知識も完璧ではなかったようだ。。


 それにしても遅いなー。

 レンはすぐに来るって言ってたのに。


【マップ】で確認すると扉の向こうに3人ともいるんだけどそこをウロウロしてなかなか入って来ない。



「本当にこれでいいのかしら?」


「うん、レンを信じよう・・・」


「でも・・」


「ええい、いつまでも悩んでられないわ! こうなったらヤケよ! 2人とも腹をくくりなさい!」


「確かにいつまでもうじうじしてられないね」


「そうだね」


「行くわよ!」


「「うん!」」


 なに? 腹をくくるって、まさか退職願でも出されるの?

 そんなに僕の下で働きたくなかったのか。。

 どうしよう、ちょっと泣きそう。。


 バンッ!!


 ドアが乱暴に開かれる。


 どうしよう、もし退職願でも叩き付けられたらどう返事するのが正解? 

 僕はみんなのこと好きだしまだ一緒にいたいんだけど。。

 でも説得するのは苦手だし。。

 とりあえず土下座かな・・?


 不安に思いつつドアの方に視線を向ける。


「・・・・?」


 僕は予想と違いすぎる光景に絶句した。


「ちょ、ちょっと! 何とか言いなさいよ!」


 アリサがモジモジしながら怒る。


「なんかって言われても。。」


「ど、どうかな?」


 リーシャもモジモジ。


「オルト君、どう?」


「どうって、、エロい…?」


「え、エロいってあんたね! もっと他に表現の仕方があるでしょ!」


「う、、やっぱりレンを信じたのがいけなかった」


「恥ずかしい。。」


 どういうこと?

 なんで3人がエロい格好をして僕に意見を求めてくるの?


 なんかのドッキリ番組ですか?

 いや、この世界にテレビなんてないけど。


「なんでそんな格好してるの?」


「そ、それは・・」


「それは?」


「あ、あ、あんたを・・」


「僕を?」


「あ、あんたを喜ばせようと思ったからよ!」


 アリサが顔を真っ赤にして叫ぶ。


 うん。さらに混乱してきたよ。


「レンがこういうのを着たらオルトが喜ぶって言ってたんだよ」 


「え、なんで僕を喜ばせるの? もしかして何か壊しちゃった? べつに正直に言ってくれたら怒らないからいいのにー」


「「「ハア。。」」」


 え? なんでため息つくんだ? 

 今回ばかりは僕おかしくないと思うんだけど。


「オルト君。。」


「ここまでとは思ってなかったわね。。」


「さすがオルト。。」


「え? なに? どういうこと?」


 僕はここで一瞬頭によぎったことがある。

 ラノベでよくある鈍感主人公がモテモテの話である。


 まさか僕がその仲間入りを!?


 いや、待つんだ僕。早とちりはよくない。

 よく考えろ。そんな都合いい話があるはずないじゃないか。

 だって僕だよ? 僕は物語の勇者のような主人公じゃないのだ。それに鈍感でもないと思う。


 いや、過去に恋愛経験がないからわからないだろとか言うな。やめてくれ。

 僕だって恋愛経験ぐらいある。幼稚園の頃まいちゃんとキスだってしたんだ。

 鈍感主人公なわけないだろ。


 ここは冷静になって考えてみよう。

 女の子3人がエロい格好で僕を喜ばせようとしている。


 ・・・・。


 わかったぞ! 王女と婚約した僕から甘い蜜を吸わせてほしいってことだな!

 つまりこれは接待みたいなものか!


 我ながら素晴らしい推理力だ。ホームズも顔負けだな。


「なーんだ、そういう事か。別にそんなことしなくても皆にはいろいろ優遇するよ!」


「「「ハア。。」」」


 あれ? 間違った?


「鈍感。。」


「これはひどいわね。。」


「ここまでしてわからないなんて」


 なに!? 僕の美しい推理が間違ってたというのか!?


「オルト君、私たちみんなで相談したの」


「うん?」


 一度紅茶を飲んで落ち着こう・・


「オルト、私たちも娶ってくれないかい?」


「ブフーッ!!」


 紅茶を噴き出した。 


 え? リーシャが変なこと言ってるよ?


「ごめん、ちょっと聞き間違えたみたい。なんだって?」


「だーかーらー、私たちとも婚約しなさいって言ってるのよ!」


 アリサがちょっと怒りながらすごい発言をしている。

 というか聞き間違えじゃなかった?

 どういう事? まだ頭がこんがらがっている。


「えっとー、つまり、アリサもリーシャもエリナも、僕と結婚したいってこと・・・?」


 いや、まさかね


「「「そう」」」


 3人が同時に頷く。


「えぇえええーーーーーーーー!?!?」


 今世最大の驚き。


 なんで!? 

 まさか僕がラノベの鈍感主人公だったとでもいうの!?


 まじ!?

 こんなに可愛い子たちが!?


 ちょ、こんなことあっていいの!?

 うっひょーーー!!


 ごめんよ鈍感主人公たち、正直今まで馬鹿にしていたよ。

 こんなあからさまで気付かないとか馬鹿だろって。


 でもこの立場に立ってみて初めて分かったよ。

 今までモテたことなかった奴がこんなのに気付くわけがない!


 ごめんよー!!

 そして僕も仲間入りだー!!

 よろしくー!!


「ヒャッハー!!」


「これはどういう反応なのかしら。。」


「喜んでくれたのかな?」


「たぶんそうかな・・?」


テンションがおかしくなりすぎて変な声をあげながら踊っちゃった。


僕は深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


「オッホン。えー、男として、これは改めて僕から言わせてもらおうかな。アリサ、リーシャ、エリナ、僕と結婚してくれるかい?」


「「「喜んで!」」」


「よっしゃー!!」


 僕は鼻血をだして倒れ、気を失った。





とある目つきの悪い人「まったく、世話の焼けるやつらだな・・」


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