66 お披露目 後編
まずは王宮から飛んで登場することで掴みは成功した。
「これより騎士団の顔を覚えてもらうために、少し余興を用意しておる。存分に楽しんでくれ」
陛下の合図で僕たちはステージ上で一礼する。
これからパフォーマンスの始まりだ。
まずは右手をあげる。
「いでよ、ゴーレム!」
僕が事前に作っておいた美女ゴーレムたちを召喚する。
召喚魔法は結構珍しい魔法だ。
これだけでも十分僕の強さが伝わるはずだ。
ちなみに美女ゴーレムたちの服装はバニーガール。
Y「召喚魔法だと!? しかもなんて精巧につくられたゴーレムなんだ!!」
誰かが叫ぶ。もちろん僕が仕込んだサクラだ。
どんなに凄いことをやっても気付かれなければ意味がない。
そこで説明役にゴーレムYを仕込んでおいたのだ。
「なに!? あれがゴーレムだと!?」
帝国からの使者も驚いてる。順調順調。
ゴーレムたちが大きい箱を用意してくれる。
「ご覧ください。こちらは鋼鉄でつくられた硬い箱です。タネも仕掛けもございません」
Y「普通の箱だなー」
「では、アリサ。入ってくれ」
「なんで私なのよ。。」
「こういうのは美女がやると盛り上がるのさ」ボソッ
「し、仕方ないわね///」
アリサを箱に閉じ込め、箱をゆっくり一回転させる。
「では、そちらの銀の鎧の方、少し手伝っていただきたいのですがよろしいですか?」
そう言って帝国の使節団の護衛だと思われる、それなりに強そうな者を指名する。
A「私か? ああ、構わんよ」
「ありがとうございます。では、こちらの中から好きな武器を選んで、あの箱を壊していただけますか? 剣が折れても構いませんので」
A「これをか? まあ、やってみるか。・・・ハッ!」
結果、剣が刃こぼれしただけで箱は切れなかった。
「ありがとうございました。ではこの鋼鉄の箱をうちの団員が粉々にするところ御覧に入れましょう。レンフォード!」
「俺か。。切ってもアリサは大丈夫なんだよな・・? オラッ!」
レンが大剣を振りまわし、箱は一瞬でボロボロになった。
A「あれを壊した・・・!? いや、それより中にいた子は!? 大丈夫なのか!?」
箱が壊れたことに驚くと同時に、少女を心配して悲鳴をあげる者もいた。
中にいる少女は一緒に切り刻まれたのではないか? と。
だがしかしそこにアリサの姿はない。
Y「なにー!? アリサさんが消えた!?」
名前も覚えられるように叫ばせる。
周りもざわついている。
僕は観客席の後方を指さす。
Y「なんだなんだ? えー!? アリサさんが後ろにいるぞー!!」
声につられてみんなが振り返る。
客席の後方ではアリサが手を振っている。
観客はみんな驚いているようだ。
さっきまで箱の中にいたのに…と。
まぁ、転移魔法で移動させただけなんだけどね。
Y「すげー!!」パチパチパチ
Yにつられて客が拍手するのに合わせてアリサが一礼する。
「見えなかったという方のためにもう一度。次はこちらの箱をご覧あれ。リーシャ!」
「私か。。」
「次はこのように鎖で縛り付けてしまいます。これで身動きは取れません」
鎖で両手首を縛りそのまま箱の上部に固定。足首も箱の下部に結び付け固定。口には布を咥えさせて後頭部で結ぶ。
なんだか背徳感をそそられる格好だ。
正直言ってエロい。
「んー。んんんー。(恥ずかしいからはやく!)」
「あ、ごめんごめん」
見とれてボーっとしてしまった。
「ではこれより脱出劇を披露しましょう」
先程と同じように箱を一回転させる。
また同じだろうと客席の後ろを見ている者が多い。
ふっ。あまいね。
今度は助手のゴーレムに箱を開けさせる。
すると中には鎖で縛られたレンが見える。
リーシャはレンがさっきまでいた場所に立っている。
「んー! んー!」
ちょっと、見てらんない。すまないレン。。
Y「リーシャさんがレンフォードさんと入れ替わった!?」
「あの屈強な体躯とあの縛り方! そそられますねぇ! 是非とも私と一夜を共にしていただきたいですな」
これまた客席は大盛り上がり。
一部怪しい男たちが盛り上がっているが聞かなかったことにしよう。
すまないレン。。必要な犠牲だ。。
「お次はエリナ! おいで」
テーブルとイスを用意してエリナを座らせる。
ゴーレムたちが次々とフルーツやアイス、クレープなどの甘味を運んでくる。
「これから一瞬にしてこれらの食べ物が消えるところをご覧に入れましょう。カモン!」
ゴーレムが大きな布を持ってきてテーブルの前を隠す。
「では3秒数えましょう。皆さんもご一緒に!」
「「3、2、1」」
「オープン!」
布が外され、テーブルとそこに座るエリナが現れる。
テーブルの上に置かれていた甘味たちはすべて消えてしまっている。
Y「あの量の食べ物が一瞬で消えた!? どんな魔法を使ったんだエリナさんは!」
食べたんだ。
ただただ凄まじいスピードで完食しただけである。
普通なら早食いしただけだろと思うところだが、先ほどまで消えるマジックを見せられていた観客はそうは思わない。また不思議な手段で消したのだとしか思わないのだ。
「皆様お楽しみいただけたでしょうか。では最後にド派手なものをお見せいたしましょう」
上空を指さす。
Y「ド、ドラゴンだー!!」
「ギャオオオ!」
空にはドラゴンが飛んでいた。
観客は大慌て。
「皆さん、落ち着いてください! この龍殺しのオルティスが討伐してみせましょう!」
かっこつけて一礼する。
実はあのドラゴン、僕が転移魔法によって郊外から連れてきたレッドドラゴンだ。探索用ゴーレムたちに探させて、事前に見つけておいたのだ。
まずはアリサとエリナに魔法で攻撃するよう指示する。
Y「無詠唱!? しかもなんて威力と精度だ!」
翼をやられたレッドドラゴンがフラフラとこちらに近寄ってくる。客席は大パニックだ。
もちろん客席には被害がいかないように結界を展開しているのだけど、僕以外には見えないからね。。
次にレンとリーシャに同時に襲い掛からせる。
リーシャはドラゴンの目を、レンはドラゴンの足を傷つける。
ドラゴンが一瞬ひるんだところで最後に僕が首を刎ねておしまいだ。
Y「ううぉー!!! 滅龍騎士団がドラゴンを倒したぞー!!!!」
「「ううぉー!!!」」
こうして大歓声に包まれて僕たちの挨拶は終わったのだった。
その後はドラゴンステーキが各国の貴賓に振舞われ、十分に王国の力を見せつけられたと思う。
これはもう大成功だね!
ドラゴンステーキを堪能していると後ろから肩をつかまれた。
陛下「オルティスよ」
僕「あ、陛下! どうでした? あれくらいでよかったですか? 本当はもっと見せつけたかったんですけど、エンターテインメント性を考えるとどうしても…」
陛下「やりすぎだ」
僕「え・・?」
その後は陛下からのお説教。
せっかくのステーキが冷めちゃった。
おかしいなー。
こんなはずじゃなかったんだけどなー。
読んでいただきありがとうございます。
滅龍騎士団の余興はマジックショーと龍退治でしたー!
次話もお楽しみに!




