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60 謁見 前編

 


 僕はSランク昇格試験が終わった後、『飴ちゃん』のメンバーと合流して、事の顛末を話した。


 爆笑された。


 え? 笑うとこ?

 慰めるとこじゃないの?


「ハッハッハ! はー、おもしれ―。さすがオルト。驚きを通り越して笑っちまったわ」


「あははは。ちょ、お腹痛い。ははは」


「ははは、オルトって頭がいいのかバカなのかわからないよね」


「もう、オルト君止めて。笑いすぎて立てない…あはは」


「なんで笑うの!? 僕は真剣に悩んでるんだけど!!」


「いや、笑うだろ。あれだけ嫌がってた貴族への道を自分でつくるとかおまっ、ブフッ」


「だから笑いすぎだろ!!」



 駄目だ。僕には味方がいなかったみたいだ。。


 この日は約束通りヴァルツさんにご飯を奢ってもらうついでに、ヴァルツさんとパーティメンバーにSランク昇格祝いをしてもらった。


 祝いの席のはずなのに、みんなして僕のことを笑うんだ。

 ひどいよ。。


 ヴァルツさんから、1週間後にギルドに来るように言われてしまった。

 王宮に行かなければならないそうだ。。


 はぁ、逃げていいかな?

 でも家族に迷惑かけちゃうかもしれないし。。

 行くしかないか。。


 僕は嫌々ながら王宮に行くことにした。

 ハア。。


 その後1週間は記憶が曖昧だ。

 王宮に行きたくない。でも行かなくちゃ。

 そんなことをグルグルと考え続け、ストレス発散しようと毎日森に出かけた。


 テキトーに森をブラブラしては魔物を倒したり盗賊を見つけては捕縛したりしていた。

 途中で誰かを助けたこともあった気がする。


 あ! でもその1週間のおかげで新たなスキルが使えるようになったよ!


 それは飛行魔法だ。

 無心で浮遊魔法使ってたら勢いでそのまま飛べちゃった!


 ただ、まだ建物の高さくらいの低空飛行しか成功していない。

 ジャポネまで飛んでいくことはできなかったよ。

 残念。

 


 ***************



 1週間後。


「はぁ。行きたくない。。」


「まだ言ってんのか! いい加減諦めろ! ほら、もっとシャキッとしろ!」


 ヴァルツさんは元気だな。。


 馬車に乗せられ王宮に向かう。

 初めての王宮はもっといい気分で訪れたかったよ。景色とか見る余裕もない。

 いかにして叙爵を避けるかしか考えていない。


「お待ちしておりました。ヴァルツ殿。オルティス殿。ご案内いたします」


 メイドのお出迎えだ。可愛い。


「こちらでお待ちください」


 いかにも謁見の間って感じの場所だ。

 周りに偉そうな人たちが並んでいる。


 多分ここで膝まづいてあの玉座に陛下が座るのを待つんだろうなー。


「オルティス、膝まづけ」


 ほらね。

 ヴァルツさんの真似して横で膝まづく。


 陛下が謁見の間に入ってきて、玉座に座った。


「面を上げよ」


 ヴァルツさんを横目で確認して顔を上げる。

 作法とかわからないからね。


 国王陛下は意外にも、ギラギラと宝石を見せつける脂ぎったおっさんではなく、上質な生地の衣服に王冠、貴金属を少し身に付けているだけの好々爺という印象だった。


 だがしかし、そんな親しみやすい雰囲気の中にも、王者の風格とでも言うのか、常人にはないオーラを感じる。


「ヴァルツから報告は聞いた。にわかには信じがたいが、ブラックドラゴンを討伐したそうだな」


「はい、Sランク昇格試験の最中に偶然見つけ、羽を休めている隙を突き致命傷を与え、その後2日間の死闘の末、命からがら何とか討伐しました!」


「む? 報告と違うな。ワシは飛行中のドラゴンをわずか数刻で倒してきたと聞いたぞ? ヴァルツ。どういうことだ?」


「はっ! 先日申し上げました通り、オルティスは爵位を承ることを懸念しており、叙爵の可能性を少しでも低くしようと虚偽の報告をしていると思われます!」


「ほう、ワシに虚の報告を?」


 あ、やべ、怒ったかな? ヴァルツさん余計なことを。。


「申し訳ありません。緊張してしまい、つい間違った報告を。。お許しください。。」


 頭を下げる。


「ほう、間違ったという割には事前に考えておったかのような口ぶりだったがなぁ」


 くそ、陛下は全てお見通しってわけね。


 僕は立ち上がった。


「はいはい、すみませんねー。嘘つきました。本当は飛んでるブラックドラゴンをちょちょいと倒しましたよ」


 ザワザワザワ


「ぶ、無礼者!!」


 なんか陛下の横にいた人が叫ぶ。宰相かな?


「よい、続けよ」


「証拠もここにだしますねー」


 ドーン。


 収納袋からだすふりをしつつ、ブラックドラゴンの頭だけを取り出す。

 大きすぎて体は出せないからね。


 周りにいた人たちが騒ぎ出した。


「ぎゃー! ドラゴン!!」


 とビビる人もいれば


「おお! これがブラックドラゴン! 美しい!」


 と芸術鑑賞でもしてるかのような人もいる



「沈まれ!」


 シーン。


 さすが王様。命令は絶対か。


「もうよい、一度片付けてくれ」


「はーい」


 僕は魔法の収納袋を使うふりして片付ける。

 ついでに汚してしまった謁見の間もサッとお片付け。


「そこにドラゴンの体も入っておるのか?」


「はい、そうですよー」


「そうか、ならばそれは最近とある商会から献上された収納袋と同等、いや、それ以上の容量だな」


 あ、やべ。あの家一軒分の収納袋にドラゴンが入るわけないのか。

 やっちまった。。


 カマかけたなコノヤロー!


「体は意外と小さかったんですよねー。あははー」


「・・・・・・。」


 くそ、ごまかせないか。。


「はい、すみません、体は貴族の屋敷くらい大きいです」


「素直でよろしい」


 陛下がにやりと笑う。

 くそー! 絶対この人僕をからかって楽しんでるよな。。


 もう色々と面倒くさくなった。

 最悪国を出るつもりでテキトーにしゃべろう。

 うん、そうしよう。




読んでいただきありがとうございます。


さて、オルトは貴族になってしまうのか?


次話もお楽しみに!

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