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55 ガリド


 

 天界から強制送還され、目の前にはさっきまでと同じ神殿の景色があった。

 建物だけではない。人々の配置すらもそのままであった。


 まるで、天界で過ごしている間は時が止まっていたかのように・・・。


「あれ? どうなってんだ?」


「どうかしたのか? オルト」


「いや、僕たちがここに入ってきてどれくらいたった?」


「何言ってんだよ。今入ったばっかじゃないか」


「・・・あ、そうだよねー、あはは」


 なるほど、天界で過ごした時間はこちらではほとんどゼロになったのか。


 えっとー、なんで? さっぱりわからない。


 まぁ、いいや。とりあえず今は観光を楽しもう。


「てかあの銅像、ローズだったのか。あんまり似てないなぁ」


 銅像はローズをかたどったものの様だが、どうもあのボクっ子女神の快活さはなく、お淑やかで可憐な大人の女性といった雰囲気でつくられている。


 美女であるところは一緒だけど。

 本物に会った後だと違和感がすごい。


 とか考えてると、突然服を引っ張られる。


「ちょっと、オルト君。呼び捨ては危険だ。もし他の誰かに聞かれてたら大変なことになってたぞ」


ドニーさんだった。


「あ、すみません。ここは女神様を祀る場所ですもんね。気を付けます」


「わかってるならいいんだよ。誰が聞いてるかわからないからね」


 危ないとこだった。ドニーさんに注意されなかったらこのまま女神様をローズって呼び捨てにし続けて信者から不興を買うところだった。

 下手したら狂信者に殺されるかもしれない。。


「ありがとうございます。神殿って、ここ以外にはどんなところにあるんですか?」


「教会は各国にあれど、神殿があるのはこの国と聖教国だけだよ」


 なるほど。ここと聖教国しかないのか。

 意外と少ないんだな。


 その後、ざっと神殿内を見て回り、外に出た。


「なんかすごかったな。こう、なんていうか、女神様に見られてるって感じ?」


 まあ、見られてたからね。


「ええ、私も感じたわ。やっぱり女神様って本当にいるのかしら」


 うん、いるよ。


「こらこら、そういう話は神殿の前でするもんじゃないよ」


 ドニーさん、だんだん修学旅行に引率に来た先生みたいになってきたね。


「ドニーさん、次はどこに行きます?」


「そうだね、最後に優秀な鍛冶師を紹介しようと思ってるよ。やっぱり冒険者に装備は必須だからね」


「甘味じゃないんだ。。」


「まあまあ、エリナ。今日はこれで我慢して」


 飴ちゃんをあげた。

 本当は【アイテムボックス】から出したけど誰に見られているかわからないから、ポケットから出すふりをしておいた。


「ありがとう」


「君のポケットは見た目以上に大量に飴ちゃんが入っている気がするんだが…?」


「き、気のせいですよー。あははー」


 ドニーさん鋭い。次からは収納袋から取り出すふりに変えておこう。



 その後は途中で気になったお店にもよりつつ、目的の鍛冶屋に向かった。


「ここですか?」


「そうだよ、看板はないけど一流の鍛冶師がいるから安心してくれ。君たちなら気に入ってもらえるだろう」


 看板なしの鍛冶屋って多いんだろうか? ガルドさんもそうだったし。


「こんにちは」


 ドニーさんを先頭にお店に入る。


「おお、ドニーさんか、いらっしゃい」


「「「「「え? ガルドさん?」」」」」


「ああん? なんだお前ら、あんな奴と一緒にすんじゃねえ!」


 あれ、見た目はガルドさんなんだけど、別人? でも知り合いっぽいね。


「すみません、知り合いに似てたもんで。。」


「俺はガリドだ! お前らまさか、ペンドラゴン領から来たのか?」


「うん、もしかしてガルドさんのこと知ってるの?」


「ああ、ガルドは俺の弟だ。まったく、俺にはこんな立派な顎髭があるんだから見間違えんなよな!」


 うーん、よく見たら顎髭の長さがガリドさんの方が少しだけ長い気がする・・?


 いや、わかるか! 一緒だわ!! 名前も似てるし紛らわしいわ!!


「おや、ガリドさんの弟さんの知り合いだったのかね?」


「はい、ペンドラゴン領でお世話になってましたから」


「それはちょうどよかった。ガリドさん、この子たちの面倒を見てやってくれませんかね?」


「ドニーさんの頼みなら聞いてやりたいが、そいつらの力量次第だな。見た感じ冒険者か。ランクは?」


「Aだよ。Sランクになるために王都に来たんだ」


「ほう、それなら少しは期待できるな。だったらなんか実力見せてみろ。」


「実力ねー。これでどう?」


「ん? どうした剣なんか取り出して。なかなかいい見た目だが、ガルドの品か?」


「鞘はね。まあ、まあ、それ抜いてみてよ」


 僕は魔剣グラムをガリドさんに渡した。


「こ、これはなんだ!? こんな力が込められた剣見たことねえぞ!? 誰が作ったんだ!?」


「作者は知らないけど、魔剣グラムっていうんだ」


「「魔剣!?」」


 ガリドさんとドニーさんが同時に驚きの声を上げた。

 そういえばドニーさんにも言ってなかったね。。


 その後はもちろん2人から質問攻めにあった。

 ああ、またやっちゃったよ。。

 めんどい。



 王都一の鍛冶師であるガリドさんに認めてもらえたのはいいけど、魔剣を見せたのは失敗だった。

 解放されたのは日が沈んですっかり暗くなったころだったよ。



 僕はヘトヘトになってドニーさんの屋敷に帰ったのだった。


読んでいただきありがとうございます。


ガルドの兄ガリド登場です。

兄弟を見た目で見分けるのは難しい。

顎髭の長さが微妙に異なるが、素人が見分けるのは困難。

鍛冶の腕はどちらも一流です。


次話もお楽しみにー。

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