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54 神様と女神様

 


 目の前が真っ白になったのは一瞬で、すぐに見覚えのある空間に変わった。


 そう、ここは転生前にいた空間。

 つまり神様の部屋だ。


 やっぱり呼ばれたみたい!



「神様久しぶり!」


 僕は目の前の爺さんに話しかける。


 こう見えて実は神界のレジェンドらしい。

 自称だけど。


「・・・・・・。」


「おーい。聞こえないの?」


「・・・・・。」


「ついに耳が聞こえなくなっちゃったのかな? しかたない、今から補聴器づくりに挑戦するから少し待っててね!」


「アッハッハッハ! ねえ爺や、やっぱこの子面白いね!」


 あれ、こんな女性いた? いつから?

 こんな美女に僕が気付かないはずないけどなー。


「面白いもんか! 11年も挨拶なしじゃぞ! まったくふざけよって」


「あ、ごめんごめん。それで怒ってたんだねお爺ちゃん。神殿ってのがよくわからなくてさー」


「いつからお主の爺ちゃんになったんじゃ! それにしれっと嘘をつくな! どうせ忘れておったんじゃろうが! 調べようともしてないくせに! 全部見えておるんじゃからな! まったく。。」


「いやん、全部見てたの? お爺ちゃんのエッチ!」


「アッハッハッハ」


「で、さっきから気になってたんだけど、そちらの美女は?」


「こ奴はユグドラシルの神、ローズじゃ。人間の世界で言うと、ワシの孫みたいなもんじゃな」


「よろしくね、オルト君。君のことは時々見せてもらってるよ」


「美女に見られてただなんて、照れますね」


「君おもしろいね。爺やにここまでふざけたことができるのは君ぐらいだよ」


「そうなんですか? なんか面白いお爺ちゃんって感じですけど。そうだ、ずっと聞きたかったんだけど、お爺ちゃん、名前なんて言うの?」


「そうか、そういえばまだ名乗ってなかったのぅ。ワシの名前はアーサーじゃ」


「無駄にかっこいい。爺さんなのに」


「無駄とはなんじゃ! 相変わらず失礼なやつじゃな。。」


「アッハッハ。気に入った! オルト君にボクからも何かあげちゃおうかな」


 ボクっ子の美女か。悪くない。


「よせ、ローズ、既にワシから十分与えておる。これ以上与えたら化け物になってしまうぞ」


「確かにこれ以上あげちゃうと危ないかもね。このままだとボクより強くなっちゃいそうだし」


「えー。そんなこと言わないでよ、アーサーおじいちゃーん。かわいい孫のためじゃん? ね?」


「お主の爺ちゃんになった覚えはないわ!!」


「爺やもなんだかんだ楽しそうだね」


 こうして僕は神界のレジェンドこと、アーサーと再会し、転生先の世界であるユグドラシルの女神ローズと初めて対面したのであった。



「太郎よ、いや、今はオルティスか。どうじゃ、転生先は。楽しんでおるか?」


「うん、楽しいよ! アーサー爺さんがくれたスキルのおかげでほぼ何でもできるし、特に魔法とか地球じゃありえなかったからね。面白いよ」


「そうかそうか、わしに感謝するがよい」


「うん、ほんとに感謝してるよ。で、ローズに質問なんだけどさ、僕はあの世界で何をしたらいいの?」


 自分のことは名前で呼んでいいと許可をもらったからローズと呼んでいる。


「君は好きにやってもらって構わないよ。冒険者として気ままに暮らすのもよし、魔王を倒して英雄になるのもよし、はたまた君自身が魔王になるのもよし。少なくともボクの方から君に何かを強制することはない。もしかするとお願いすることはあるかもだけどね。」


「なーんだ。突然転生させられたから、よくあるラノベ主人公みたいに何かやらされるのかと思ってたよ」


「アハハ。強いて言うなら、たまにこうしておしゃべりしてくれると嬉しいな」


「それなら喜んで! いつでも呼んでよ! ただ神殿が王都にしかないのがネックだよな。。」


「そっか、神殿は数が少ないもんね。そうだ! オルト君、転移魔法って知ってるかな?」


「うん、知ってるよ。今練習中なんだけど、うまくいかなくてね。。」


「確かにあれはイメージが難しいもんね。特別にボクがコツを教えてあげよう。ちょっと顔をこっちに近づけてごらん」


「こう?」


「そうそう、いくよー」


 女神ローズが僕の頭の上に手をかざす。ローズの掌が光りだし、その温かな光があたりを照らす。

 それと同時に僕の頭の中にイメージがわいてくる。


 これは…すごい。

 今までイメージに苦労していた転移魔法が今なら使えそうな気がする。

 いや、絶対使えるよ!


「どう? できそう?」


「すごいよローズ! さすが女神様! これならどこへでも行けそうだよ!」


「よかった。行ったことある場所にしか転移できないけど、神殿にはこれで来られるね」


「うん、神殿に入れば自然とここに来れるの?」


「うーん、まあその解釈でもいいんだけど、正確には神殿は天界への入り口。そしてそのドアを開けるにはボクたちの力が必要なんだ」


「そっかー、なんか面倒だね。僕が転移魔法で直接ここに来ることはできないの?」


「それは難しいかな。天界を自由に行き来できるのは神か天使、もしくはそれに近い者たちだけなんだ」


「まぁ、こ奴もそのうち自力で来られるようになるじゃろうがの・・」


「え? なに? お爺ちゃんもう1回言って?」


「何でもない。それよりそろそろ時間じゃ。地上に戻してやろう。ローズもお主のことが気に入ったようじゃしのぅ。たまには神殿に顔を出すがよい」


 お爺ちゃん神がボソボソと言ったのが気になったけどまあいいや。


「ローズもってことは、やっぱり爺やもオルト君のこと気に入ってるんだね」


「ち、違うわぃ。言葉の綾というものじゃ!」


「アッハッハ」


「ほれ、そろそろ送り返すぞ。オルティスよ、次は土産も頼むぞ!」


 僕の体が光に包まれていく。


「じゃ、またねオルト君。君が来るのを楽しみにしてるから!」


「あ! 帰る前に1個だけ聞かせて! 帝国を通らずにジャポネに行く方法はない!?」


「ああ、確かかつての勇者がつくった国じゃな。いまのままのお主なら帝国を通るしかないじゃろうな」


「やっぱりそうなのか。わかったよ、ありがとう」


「まあ、そんなに落ち込むでない。お主には十分に時間がある。ゆっくり戦争が終わるのを待てばよい」


「そんなー、待てないよー」


「ほれ、もう時間じゃ。我慢しなさい。またの」


「ちぇっ。わかったよー。お爺ちゃん、ローズ、またね!」


 目の前が真っ白になった。

 ここに来た時と同じだ。


 つまり天界から神殿に戻ったのであった。




読んでいただきありがとうございます。


神アーサーと女神ローズの紹介でした。

これでようやく転移魔法を使えるようになります。


次話もおしみに!

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