閑話3 共同依頼 後編
「では、依頼の話をしようか」
ランガさんがそう言うと同時に、『白銀の剣』のメンバーはみんなキリっとした表情になった。
切り替えが早いところはさすがだ。
僕たち『飴ちゃん』はまだ少し切り替えるのに時間がかかる。
やはり経験の差か。
でもこれは仕方ないよね。場数を踏むしかないもん。
話の内容をまとめるとこうだ。
『白銀の剣』と『飴ちゃん』が共同で南の森にて調査を行う。
対象の魔物はオオカミやドラゴンなど、目撃情報が一致しないため不明。
その正体を見極め、可能であればその場で対処するという依頼だ。
カイト「よし、お前ら、準備はできてるか?」
僕「もちろん、いつでもいいよー」
カイト「じゃあ行くか!」
こうして僕らは南の森へと出発した。
僕「なんで魔物の情報が一致しないんだろうね」
レン「そうだよな、違う種類の魔物は協力しないはずだよな? もしかすると誰かが魔物を統率して動かしてるのか?」
僕「それはないでしょー。だったらオークが大量に殺されてた理由がわからないよ」
レン「それはほら、従わないやつは殺すぞ、みたいな?」
僕「うーん、それもなくはないのかなー?」
カイト「面白い考えだな。だがもしそれが本当なら魔王の復活かもしれないぜ」
僕「魔王?」
カイト「ああ、魔王知らねえのか?」
僕「うん、有名なの?」
カイト「ああ。昔々。この世に魔王が誕生した。そいつは人族が気に入らなかったらしくてな、ある日突然、魔族と魔物を率いて人族の国々に襲い掛かってきたんだよ。だから魔物が統率されてるってことは魔王が率いてる可能性があるってことだ。」
僕「へー、やっぱ魔族とかいるんだなー」
カイト「まあ、どこかから召喚された勇者が魔王を倒したそうだから心配はいらんだろ」
きっと日本だな。
囲碁とか将棋とか広めて僕の金策の邪魔をしてくれたからね。。
勇者許すまじ。
カイト「それに、今回の魔物は恐らく1種類だろうな」
僕「なんでそんなことが言えるの?」
カイト「被害にあったやつらの装備を見せてもらったんだ。そしたら全ての傷跡に同じようなベトベトした粘液がついていた」
僕「おお、事前調査もばっちりなのか。さすがAランク」
カイト「まあな」
ちょっと得意げな顔をしている。なんかムカつくな。
こっそり魔法で足元に段差をつくりバランスを崩させる。
カイト「おっとっと」
チッ。こけなかったか。
体感がしっかりしてやがる。。
レン「絶対今のお前だろ。。」
僕「な、何のことかなー?」
雑談をしながら歩いていると、あっというまに目的地に着いた。
オークの死骸があちこちに転がっている。
ほとんど骨しか残っていない。
小動物にでも食べられたのかな・・?
さて、ここで【マップ】を見ていた僕だけがある異変に気付いた。
突然周囲に赤い点が表示されたのだ。
これはそいつらが僕に対して敵意を持っている証拠だ。
既に僕たちは囲まれているのだ。魔物に。
だが目視出来ない。周りは草木しかないのだ。
どういうことだ?
僕「みんな、武器を構えて!」
カイト「な、なんだどうした?」
僕「囲まれてるよ」
カイト「なに?」
周りをよく見る。木々が少し動いている。
風? いや違う。今は無風だ。
ってことはこいつらか!
僕が気付いた瞬間。その魔物たちが姿を現した。
「グルルルル」
「ブヒー!」
「ケケケケ」
「ギャオオオオオン!」
ウルフ、オーク、ゴブリン、ドラゴンのような奴。
様々な種類の魔物が突如現れた。
カイト「チッ。擬態してやがったか!」
僕「これはイミテートスライムだね! 擬態してる魔物に似た強さだけど、本物より弱いはずだよ! 中身はスライムだから首を切っても油断しないで! 核を見つけるんだ!」
カイト「初めて聞く名前だな・・。おらぁ!」
カイトは戦斧使いだ。
少し長めの金属棒の先に大きくて分厚い刃がある。
遠心力による力技で金属鎧をも砕いてしまう。
オークの見た目をしていたものは簡単にはじけ、ドロドロになる。
その中に核が転がっている。
やっぱりスライムだった。
【マップ】様様だね。
その後はあっという間に殲滅。
見掛け倒しのザコであった。
戦闘力は本物の半分もないんじゃないかな?
中身はスライムだもんね。。
カイト「なんでスライムだとわかった? こんな魔物の存在は聞いたことないぞ?」
僕「まあ、なんとなく? それよりほら、核を拾って報告に戻ろう!」
テキトーにごまかしてギルドに向かう。
道中いろんな話をしていたら意気投合して、夜は酒場に集合することになった。
報告が終わり酒場で一緒にご飯を食べていると、カイトとパーティメンバーのリルが恋仲であることが判明。
どおりで距離感が近いと思ったよ!
くそ! 爆発しろ!
こうして、僕たちは共同依頼をきっかけに仲良くなったのでした。
おしまい。
読んでいただきありがとうございます。
次話もお楽しみにー!




