45 昇格試験 前編
ペンドラゴン領に帰ってきた翌日。
今日は朝から冒険者ギルドにやってきた。
拠点作りは完成するまでみんなに内緒にしたいから、午前中でサクッと昇格試験を終わらせ、帰ってきてから取り掛かる予定だ。
「こんにちはー。今日は昇格試験を受けに来たよー」
「はーい、ってもう昇格試験!? 早すぎでしょ。。」
こんなに早く昇格しちゃうなんてかっこいい! 好き!
ってなるかと思ったのに、ミランダさんはこいつらやべぇって顔してため息ついている。
なぜなのか。。
「そんな顔してたらせっかくの美貌が台無しだよ。これでも食べて元気出して!」
僕はミランダさんに飴ちゃんを渡した。
「ありがとね。あ、そうだ! ギルド長があなたたちの昇格試験は自分がやるって言ってたから、ちょっと呼んでくるわね」
なんでランガさんが・・?
しばらくするとランガさんが2階から降りてきた。
「おお、待ってたよ君たち! さっそくやろうか。ついてきてくれ。」
僕たちはランガさんに連れられ、ギルド横の修練場にやってきた。
「こんなに短期間でCランク昇格試験を受ける冒険者は君たちぐらいだよ。君たちの実力を一度しっかりと見ておきたくてね。私が試験官をさせてもらうことにしたよ」
なるほど、だから忙しいはずのランガさんが試験官をやるのか。
「今回の試験は模擬戦で、私が君たちの相手をしよう。だが、悪いがオルト君だけは別で試験をやらせてもらうよ。同時ではとてもじゃないけど相手できそうにないからな」
「はい、わかりました」
「武器は普段通りのものを使ってくれていい。4対1の模擬戦だ。作戦を練る時間は5分。では、準備出来たら中央に来てくれ」
4人は作戦会議、ランガさんは一人で修練場の中央でストレッチをしている。
僕は1人で端っこに座っている。
べ、べつに寂しくなんてないんだからねっ!
ランガさんはどうやら木製の長い棒を使うらしい。おそらく本来は槍使いなんだろうな。
4人も作戦会議が終わったみたいで、中央に集まる。
「よし、準備できたみたいだな。私がいいと言うまで続けてくれ。では始め!!」
「いくぞお前ら!」
4人が一斉に動き出し、レンとアリサがランガさんの前に、リーシャとエリナが後ろに陣取ってそれぞれ構える。前衛後衛でペアをつくって前後から攻撃するつもりみたいだね。
僕は教えていない動きだから自分たちで考えたのだろう。
でもあんまりいい手じゃないと思うな。。
「いつでもいいぞ?」
「よし、エリナ今だ!!」
「うん、いけー! ウォーターボール!」
ランガさんが振り向き、ウォーターボールを躱しつつリーシャとエリナの方に走る。リーシャが前に出てランガさんと数回打ち合っているところに、背後からアリサが無詠唱のファイヤーボールを飛ばしている。
うわー。あたかも魔法に詠唱が必要なフリして背後から無詠唱かよ。。
なんて卑劣な手を使うんだ。。彼らの師匠の顔が見てみたい。
「その手には乗らんよ」
ランガさんはまるで背後が見えているかのようにギリギリで躱した。そしてそのファイヤーボールがどうなるかというと、当然。
「うわ! 危ない!」
ランガさんの背後から突然目の前にファイヤーボールが現れて慌てるリーシャ。
その隙をランガさんが見逃すはずもなく、鳩尾にきつい一発をお見舞いされる。
その流れで守る者がいなくなったエリナも同じようにやられた。
だがその時すでにランガさんの背後ではレンが大剣を振りあげていた。そしてそのまま振り下ろす。
しかしランガさんはまたしても背後が見えているかのように振り向きながら大剣をいなし、数回の攻防の後、レンの足を払って倒すと同時に鳩尾に突きが放たれる。
これが槍だったらかなり重症だね。
そしてアリサとの一騎打ち。アリサは近接戦は得意じゃないからあっさりやられた。
4人とも鳩尾にきつい一発をもらったため、うずくまっている。
ランガさんの動きはとても鮮やかだった。やっぱり元Aランクは伊達じゃないんだな。
「4人ともなかなか良い動きだったよ。技術面はほぼ問題ない。だがこの配置はよくないな。確かに挟み撃ちは相手の動きを制限できるが、仲間が射線上にいる状況は、同時に味方の邪魔にもなりかねない。あとはその駄々洩れの殺気をうまくコントロールできるようになるともっとよくなるだろう」
なるほど、ランガさんは殺気を感じ取って攻撃をかわしていたのか。
すごいな。
レンたちも結構強くなったと思ってたけどまだまだみたいだね。
またしばらくは修行だな。
「だが実力的にはBランクでもおかしくはない。Cランクなら十分に通用するだろう。全員合格だ。」
よかった。合格したみたい。
「次はオルト君だな」
僕の番がきた。僕も頑張らなくっちゃ!
読んでいただきありがとうございます。
Cランク昇格試験です。
拠点の話は次の次くらいかな?
次話もお楽しみに!




