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42 宿屋

 


「ま、待ってくれあんたら!! 魔物なんていねーよ! あれはうちの妻だ!!」


「「「「「「え…?」」」」」」


 宿屋のご主人が慌てて外に出てきた。


 ご主人曰く。


 奥さんが風邪ひいたらしく、休むように言ったのに奥さんはこっそり店番をしていたそうだ。

 だがやはり無理があったようで、汗もかいてフラフラ、喉が渇いたが動く気力もなく、うなだれていた。


 そこにたまたま僕が来店し、顔を上げると汗で髪が張り付いていたが振り払う気力もなく、いらっしゃいの声も掠れてほとんど出なかったもんだから、代わりに笑顔で対応しようとしたがそれがいけなかった。


 青白い顔と充血した眼、クマができ黒くなった目元、そして不自然な口角の上がり方が店の不気味さと相まって、僕がさだこと勘違いしてしまったというわけだ。


「すまなかった」


「いや、こっちこそごめん、奥さんを魔物扱いしてしまって。。」


「いいんだいいんだ、あんなの見たら誰でも驚いちまうさ」


「ありがとう。お詫びと言っちゃなんだけど、奥さんにこれあげてよ。すぐに良くなるから。それと、ここに泊まるついでに宿の修繕をさせてよ」


 僕特製のポーションを渡す。

 水分補給にもなるし、薬草なんかも使ってるから風邪に効くはずだ。


 宿はここまでボロボロなら僕好みに改善しても問題ないだろうと思ってきいてみた。


「ありがとな。飲ませておくよ。そりゃあ、やってくれるのは嬉しいが、お礼を払えるほど金はないぞ?」


「いいのいいの。僕が快適に過ごすためだから!」


「そうか、なら好きにやってくれ。部屋はいくつで何泊だ?」


「男女別にしたいから、2人部屋と3人部屋の2つで、1泊!」


「そうか、どうせ誰も泊まってないから同じ値段で5部屋貸してやるよ。全部で銀貨6枚だ」


 誰もいないのかよ。。ここをおススメしてきた冒険者、許さん。


「これが鍵だ。部屋は2階。飯は宿泊客には割引するからよかったら食べてってくれ」


 さっそく僕らは各々の部屋に入った。


 うん、想像通りだ。これは改装のし甲斐がある。


 僕はその後『飴ちゃん』を引き連れ、元気になった奥さんとご主人にも少しだけ外に出てもらい、宿の外観と中を魔法でちょちょいと僕好みに改造した。


「な! 何したんだ? 修繕じゃなかったのか・・?」


「まるで新築よ。。」


 驚いている2人はほっといて次の作業だ。


 宿全体を僕の家のように魔改造しようかとも考えたが、1晩泊まるだけなのでやめておいた。

 それに僕の魔道具を使うと宿の人を面倒ごとに巻き込んじゃいそうだしね。


 だから今回はお風呂をつくるだけだ。誰でもお湯を沸かせるように、井戸の近くに五右衛門風呂をつくった。もちろん井戸には手押しポンプを設置。

 あとはしばらく困らないように薪をいくつか置いておいてやる。完璧だ。


「これでよしっと」


「ふ、風呂だと!? どうなってんだ。。」


「まあ、気にしないでください。あいつのとんでもないスキルです」


「そうか、あんたら、ありがとな。こんな立派な宿にしてくれて。これでまた客が来てくれるかもしれねえ。この金は返すぜ。宿代はいらねえ。そして飯も好きなだけくってくれ。自慢じゃねえが、海鮮料理だけは人気があるんだぜ」


「いいの? ありがとう! 海鮮料理楽しみだったんだ!」


「ああ、腕によりをかけて作るから楽しみにしといてくれ!」


 僕が過ごしやすいようにしただけなのにタダにしてもらっちゃった。ラッキー。


 僕たちはここに来るまでの道のりで少し疲れていたこともあり、観光は明日にして今日は宿屋の奥さんから情報収集することにした。


 夕方になるとご飯を食べに客が続々とやってきた。ご飯がおいしいというのは本当だったようだ。


 てっきりご主人が見栄張っているだけだと思ってたよ。疑ってごめん。


 ほぼ常連客のようで、外装と内装が変わったことに驚きを隠せないでいた。


「大将、いつの間に建て替えたんだい? 昨日までボロ屋だったじゃないか」


「ああ、あそこに座ってる彼にやってもらってな、一瞬だったぜ」


「あんなガキが? 冗談はよせよ」


「それが嘘じゃねえんだよ。まあ、信じれないだろうがな」


 僕に聞こえてないと思ってるみたいだけど丸聞こえだからね。

 そして今日来た人ほとんどみんなこの会話だ。

 もっと有益な情報が知りたいんだけどなー。


 そうやって聞き耳を立てていると、奥さんが僕たちのテーブルに料理を運んできてくれた。


「できたわよ! まだまだ持ってくるから好きなだけ食べてちょうだいね!」


「「「「「じゅるっ」」」」」


 あまりにも美味しそうで皆よだれを垂らしている。


「さあ、召し上がれ!」


「「「「「いっただっきまーす!」」」」」


 うっま!! ペンドラゴン領では魚は干物しか食べられないから、こんな新鮮なお魚は久しぶりだよ!! 焼き魚やスープ、マリネなど、どれもめちゃくちゃおいしい。

 刺身がないのは残念だったが、料理自体は大満足。


 明日は市場で魚を大量に買わなくちゃ。【アイテムボックス】に入れておけば新鮮なまま保存できちゃうからね!


 その日はお腹いっぱいになるまで海鮮料理を堪能してゆったりとした時間を過ごした。


 たまにはこんな風にのんびりと過ごすのもいいね。




読んでいただきありがとうございます。


次話もお楽しみに。

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