新しい迷宮
白雪:おはようございます。今日のご予定は?
時臣が目を覚ましたのは9時。
失礼、21時。
白雪からメッセージが届いたのは12分前。
社会から置いていかれた、成人男性の成れの果てである時臣はいいとして、白雪は社会人。
恐らく、仕事が終わり、帰宅でもした頃なのだろう。
「あいつ、いつ寝てんだ…?」
sin:気分で適当に。お前は?
白雪:新しい迷宮が現れたって噂があるんです。それに行ってみようかなと。
sin:新しい迷宮?知らんぞそんなもの。
これでも時臣は、約72時間はぶっ続けで一つのことに集中できるいわゆる変態である。
その集中力を今、時臣はゲームだけに使っている訳で。
最近張り付いているこのオンラインゲームに、彼が知らないことなど既に無かった、はずなのである。
白雪:それが、ランキングに載った事のあるユーザーだけにURLが配布されているらしいのです。
sin:はぁ?そんな不公平な迷宮が出来たのか?
で、いつ配布されたのかは分かるか?
白雪:30分前です。sinは寝ていたので気づかなかったのではありませんか?
sin:昼夜逆転してて悪かったな…
白雪:いえ、よいのです。メッセージボックスに、送り主不明のURLはありませんか?
sin:あるな。だがこれ、危ないヤツではなかろうな。運営からじゃなく送り主不明なんてなぁ…
白雪:そこは確かに不安ではありますが、もう何人も迷宮に入っているらしく…
その迷宮のラスボスは、今の所、誰も倒せていないらしいのです。