最強の属性持ちがやってきた。
当然ながら作者はラノベ作家ではないため現実と異なる点もあると思いますが、そこはフィクションとして割り切って頂けると嬉しいです。誤字脱字には細心の注意を払いましたが、もしあった場合には誤字報告をしていただけるとありがたいです。
これはある日のこと。俺は流行りの音楽をイヤホンでシャカシャカ聞きながら原稿をパソコンに打ち込んでいた。いやぁ、精が出る、出る。何せ終わったら好きなだけ2次元に逃げれるからね。精が出ない方がおかしいと思う。
「やっと終わった!!」
両手を天に突き上げ万歳のような格好で回転椅子を半回転させて――そのまま固まった。
「インターホンなんかいならしたとおもってんのよ!」と言ってくる目の前の金髪ロリ顔の女の子は、なんというかどストライクだった。特に膨らみ始めたくらいであろうある部分がたまらない。これはもう2次元から出てきたんじゃ無いかと思うくらい。だから俺は親愛の意を込めて、
「神さまぁ!!!ぐぼっ……」
とびついた。そして華麗に避けられ見事に地面とキスした。俺の親愛のダイブを避けるなんて、この娘はツンデレちゃんなんだな。
「いきなりとびついてくるなんてきもちわるっ!でもわたしをひとめで神さまってみぬくなんてあなたいいやつね。」
「お褒めに預かり、光栄です!」
目の前の女の子、自分神さまとか言い出しちゃったぜ……でも気にしないよ、そういう時期もあるんだし、生暖かい目で見守ってあげよう。
「とりあえずリビングでせいざしてくんない?」
「家にリビングなんてものはないですけど。」
貧乏なので寝室と風呂トイレしかありませぬ。
「………そう、じゃあここでいいからせいざ。」
「はい!」
今から何が始まるんだろう。オラ、ワクワクすんぞ!
「まず、あなたは『俺の人生ほどタイミング悪いもんも無いでしょ。』のきたくわえれつさんよね?」
「!?ペンネームですが北加烈なら俺ですが……」
なんでこいつ知ってんだ!?編集くらいしか知らんはずなのに!
「『俺いない』はたしか、にかんめまででてたわよね?」
「その通りですが?」
ちなみに「俺いない」は「俺の人生ほど(以下略)」の愛称?です。
「どうしていっかんめだしたときほうこくしなかったのよ?」
目の前の幼女は俺の頬を平手打ちしてきた。
「エクスタシィィ!!」
たぶんお仕置きか何かのつもりなんだろうけど、美幼女なのでご褒美です。
「き、きもちわる……」
「で、話の続きを。」
結局何が言いたいんだ。はよ教えて。
「だから、『俺いない』いっかんだしたときにほうこくしなかったのはなぜですか?」
何故か敬語になってるけど素敵だから許す。
「そんな話聞いてません。報告?なにそれ美味しいの?」
今度は殴られた。殴られるのは痛さ先行であんまり嬉しくない……
「あのね、ラノベをかくひとはいっかんとかじゅっかんとかだすときにほうこくしなきゃいけないの。きいてないの?」
「全くもって初耳でござりまする。」
「はあ、さいきんおおいのよねぇ……」
さて、何がでしょう?当てたら15万円プレゼント!
「ほうこくぎむをしらないひとよ、っていうかなんでじゅうごまんまんなのよ。」
「心を読まれた、だと!?あと15万なのはそれ以上はらえないから。」
「神さまなんだからこころくらいよめてとうぜんよ!」
「なるほど、あと無い胸張ってどうすんの。」
蹴られました。
「それで、ぎむいはんのしゃざいは?」
「申し訳ありませんでした。次回からは報告いたします。」
目の前で土下座をしてあやまる。さぁ、早く、早く!
「よろしい、もうらくにしていいわよ。」
ちょ、そこは素足を頭に乗っけるとこでしょ!?
「うわぁ、ほんもののへんたいさんだ……」
「心を読まれた、だと!?」
「だって神だし。」
なんかやり取りに既視感。
「で、あなた結局何の神さまなんです?見たところ幼女の神さまか二次元の神さまとお見受けしますが。」
「どうしてそうなんのよ。わたしはラノベの神さまよ。」
「なるほど、ラノベの挿し絵から飛び出していらっしゃった、と。」
「あなたのあたまはおかしいとおもうわ。」
「俺の頭はいつだってパラダァイス!『ゴツッ』地味に痛いですやめてください。」
げんこつ頂きましたぁ!
「知ってたか?ロリータコンプレックスのロリータは物語の登場人物の名前から来てるんだぜ?」
「そんくらいじょうしきよ。っていうかどっからでてきたのよそのはなし。」
「それは俺がロリコンだからさ!」
「そんなキリッてかおでいわれてもひく。っていうかロリコンしねばいいのに。」
「違う!ロリコンは誤解されがちだけど人と少し違うだけ!同性愛者と一緒!」
「そ、そう……」
ロリコンは罪じゃない!ここ重要!テスト出るよ!
「なんのテストよ……」
「心を読まれちゃったぜ!」
「だって神なんだからだぜ!」
ノリがとても良い。そういう人、大好きです。
「というわけでダイブ!」
「うひゃぁ!」
また避けられた。痛ってえ……てかちょっと疲れとか眠気とかそういうやつが一気に………
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「だ………う…?」
何か聞こえる。さては天に召されし我が命?
「し、知らない天井だ……」
「はぁ、やっとおきたのにひとこめがそれ?さらにここあんたのいえだからしってるてんじょうよ?」
その通りです。
「今何時?」
「えっと、ごじはんくらいね。はやくしてよ、かえれなくなっちゃう。」
「泊まってかないんだ。」
「あたりまえよ。こんなへんたいさんのいえにとまったらわたしがあぶない。」
なんでそんなに危険人物扱いなのか異議申し立てしたい。
「あとはじぶんでなんとかしなさいよ。」
「ちょっと待て、何をいくつ使った。」
「ティッシュじゅうまいとぞうきんにまい。」
「さては無駄遣いしたな?」
「ゴミばこみなさいよ。」
言われた通りに見てみると……確かに無駄遣いじゃない。ティッシュも雑巾も赤く染まってる。
「疑った俺が悪かった。」
「わかればいいのよ。」
「でも、俺この出欠量でよく助かったな。雑巾二枚染めとか相当出血してると思うんだが。」
「そんなのわたしにかかればちょちょいのちょいよ。」
「ティッシュ10枚使っておいて?」
「ほんとはたいしたしゅっけつりょうじゃなかったわ。」
「やっぱりただの無駄遣いじゃねえか。」
「う………ごめんなさい………」
なんか唐突にしおらしくなられるの困るけどそんなことよりショボン顔も可愛い。
一人でごろごろ床に転がって悶えていると、急に神さまが真面目な顔つきになった。シリアスとかキライなんだが、何言われんだろ。
「ちなみに、ティッシュでゆかをふいて、ぞうきんではなのあなをふさいだわ。」
「なんのシリアス顔だよ。して、それマジすか?」
「うそにきまってるでしょ。」
「よかったぁ」
心底安堵した。目の前の神さまならやりかねん。
「あら、わたしおにじゃないわよ?」
「心を読まれた、だとぉ!?」
「だって神だし。」
毎度お馴染みになりつつあるこのやりとり。
「あなた、ロリコンってとこをのぞけばいいやつね。ほんのうりあげ、あげてもいいわよ?」
「それはずるっぽいし駄目だ。実力で上げないと意味がない。」
「わたしがてをだしてもだめなものはすぐににんきおちるわ。ほんとにおもしろいかどうかはわたしがちょっとてをだしたあとにわかるわ。」
「ならおねがいします。」
そこまでずるにはならないようなので、遠慮なくやってもらうためにパーフェクト土下座を見せる。もう俺今日から土下座マスター名乗っていいかも。
ん?単語が意味被りしてる?そ、そんなこと知らない。
「まかせといて!つぎでるの、たのしみにしてるわよ。」
「はいっ!頑張ります!」
「つぎのほうこくはごかんをだすときだからね?」
「わかりましたっ!」
「じゃあわたしはかえるわ。じゃあね。」
「ちょっとまったぁ!」
一つ聞きたいことが!
そう、これはとても大切なことだ。深呼吸をして、姿勢を正し、神さまをまっすぐに見据える。神さまも俺の真面目な表情を見て、姿勢を正した。
そして俺はしっかり息を吸って、その問を口にした。
「な、なによ?」
「どうやって俺の部屋に入ってきたんです?立派な不法侵入ですよ?」
「まじめそうなひょうじょうはなんだったのよっ!」
神さま大爆笑。涙目で笑い転げている。俺としては真面目だったんだが………
「な~んか俺ら、気が合いそうな気がする。」
「わ、わたしも、そう、おもうよ………」
笑いすぎて言葉が途切れ途切れになっている。きっと明日は腹筋が筋肉痛にやられることだろう。
「いつか気が向いたら来いよ。前もって連絡くれたら準備しとく。」
「もしかして、わたしをつかまえるじゅんび?」
「まさか!大切な客人をもてなす準備だよ!」
大きく手を広げて言うと、神さまは再びお腹を抱えて笑いだした。俺もつられて笑った。
ひとしきり笑い終わったあと、神さまは言った。
「そうそう、わたしのなまえは軽神結乃よ。あと、どうやってへやにはいったか、だったわね。」
そこで一度切り、渾身の決め顔であろう顔で、
「神のちからよ。」
お馴染みの台詞………のようでちょっと違う台詞を残して、飛び立っていった。背中から羽が生えてた。
その後、「俺いない」はラノベとしては異例の売り上げを叩き出した。
よく晴れた日に「結乃、やりすぎじゃん」と呟いたら、風にのって微かに「あなたのじつりょくよ」と聞こえた、ような気がした。
少しでも楽しんでいただけたでしょうか?一回でもクスッと笑わせることができたなら、作者として嬉しい限りです。感想やポイント評価、レビュー等で何かしらこの作品に対する感想なり指摘、批判なり頂けたら作者は跳び跳ねて喜びます。ブクマは短編ですしそもそもする方は少ないかな………もしこの作品を気に入って頂けたなら、もう一つの「ラノベの神さま」のお話も読んでいただけたらな………と。それではまたお会いできることを祈って。