俺が死んだ日
ザァァー
夕方から降り出した雨は小雨から土砂降りのようだ。
関東三島連合傘下の竜虎会本部事務所では若頭の立花竜樹が関西にいる自分の兄弟分、鷲塚を迎えていた。
「渡の兄弟は遅れてくるようや。」
「そうか。兄弟、よく来てくれたな。」
「なに言うてんねん。義理の場でしか最近会ってないしな。久しぶりに顔を拝ませてもらおうか思て、いきなりで悪いけど寄らせてもろたんや。」
「そうか。兄弟には悪いが少し指示しないといけないこともあってな。店には若いやつに案内させるから先に行っててくれるか?」
「おおーさすがに組の若頭になると忙しいんやな~」
「日下部の兄貴が亡くなって、俺みたいな若いチンピラが若頭になるだなんてアレなんだがな。」
「そんだけ兄弟の器量がでかいってこっちゃ。ま、先に行ってるわ」
「すまんな」
コンコン。
「失礼します。兄貴、親父が今日はもう良いから久しぶりに会った兄弟と遊んで来いと今帰り際におっしゃいました。」
「わかった。兄弟、一緒に行こうか。」
「ほんま、竜見のおやっさんは人の気持ちのわかるお人やなぁ。」
「ふん、日本一の親父だからな。」
「あほ、日本一はうちの親父や。ってこの会話あってから何回目やろ?」
「親父自慢は死ぬほどしたからな」
二人はわちゃわちゃと事務所を出ていきます。
すると物陰から様子をうかがっている男が二人。
「鷲塚いんでまえやぁぁぁああああ!」
「兄弟あぶねぇ!」
二人が同時に拳銃を構えるのが竜樹には見えた。鷲塚を庇うように立ちふさがると、男たちの放った銃弾は竜樹に命中。そばにいた組の若い者がヒットマン二人を射殺した。
「兄弟!」
「ぐっ!兄弟、無事か・・・?」
「あほか!お前が盾になる必要ないやろ!」
「兄弟だろう・・・?うちのシマ内でうちの親父の顔に泥濡らすわけにはいかんから・・・な。」
「兄弟・・・?きょうだぃぃぃぃぃいいいいい!」
その日、竜虎会若頭立花竜樹は兄弟の盾になり、死んだ。