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24話

 冒険者ギルドの制服のままであるフェイとクレインは商人ギルドでは注目を集めたものの、二人は手続きが終わるまでということでカフェにお茶を飲みに行ったため、カロンタンは無事(?)依頼を一つ、完了する事が出来た。バックヤードに荷物を運び入れたカロンタンが受付に戻ると、登録した時に担当してくれた受付嬢がニコニコしながらギルドカードを確認していた。



「もう三つ目の完了ですか?そしてあと五つ、運搬途中とは中々初っ端から飛ばしていますね、カロンタンさん。」

「まぁ、その代わりただ運ぶだけ、しかも定期路線がある所だけなのですが。」

「そうですけども、中々出来ないことですよ?凄いことですよ?かなーり儲かったですよね?」

「ちょ、ちょっと受付嬢さん。しーっ!」



 何故かドヤ顔をする受付嬢であったが、胸の所にある名札を指差すとちゃんと名前で呼んでくださいですよ!と背は低いものの立派な胸を揺らしたが、カロンタンは声を潜めて抗議した。かろうじて他の先輩商人達から注目されるということはなかった様子に、カロンタンは溜め息を吐く。



「テレスさん、なんで大きな声でそんな事言うんですか!」

「自分が登録した商人さんが儲けるのは誇らしいからですよ!でも確かにそういう事を言いふらすと危ないのでした、ごめんなさいですよ。」



 舌をぺろっと出したテレスに呆れながらも、現金で支払ってもらった報酬を鞄に入れるフリをしてアイテムボックスにしまった。通常であればギルドが保有している銀行機能を使って、手回りのお金だけを持っておくのが一般的な商人のあり方であったが、カロンタンは何か仕入れが必要になる時が来るかもしれない、と現金をアイテムボックスに詰め込んでおくことにしていたのである。

 カロンタンは追加で明日から行く方向でやり取り出来る依頼を探すと、それもギルドで受け取った。これは大き目の街に寄った時にカロンタンがやる様になった事で、ティリィの街ではアズの件があって受けなかったものの、その次に経由した街では二つ追加で依頼を受けたのである。


 追加の依頼とその受取りが終わっても商人ギルドに入って来てからまだ一刻も経っていなかった事もあり、フェイとクレインの二人がお茶をゆっくりと飲んでいるところにカロンタンは戻ると、二人を連れて家へと帰ることにした。

 家に着いたカロンタンはまずは体の垢を落とそうということで体を拭い、その間にクレインとフェイが準備したご飯を食べながら今回の旅での戦果を話し始めた。



「えっと、途中で買い足したりもしたんだけど、べヘリウムでアクセサリーも結構売れたので、今回の往復、二十六日間掛かりましたけど、完了した輸送依頼三件、その他の仕入れとか全部差し引いて残った、粗利的なものは百三十万ギットのプラスでした。」

「え?」

「ひゃ、百三十万ですか!?」



 ぼたり、とスプーンに乗っかっていた肉がシチューの中に落ちた。普段であれば慌てて飛び散ったシチューを拭いたりするクレインだったが、呆然としている様子であったため、カロンタンは台拭きでちょちょっとクレインの胸元を拭いてあげた。柔らかい、と思ったところでクレインは正気に返った様子であった。



「やっぱりカロンタンは商人に向いていたのねぇ…。真面目に働いているのが馬鹿らしくなるくらいの収入よね。」

「そ、そうですよね。」

「いや、でもね?今みたいに掘り出し物がいつもある訳じゃないし、ただ運ぶだけの依頼もずっとあるわけじゃなくて、自分で仕入れて来たものを売ってこその商人だからね。そう考えれば、まだまだ大きく仕入れるには全然足りないと思うんだよね。…なので、明日も朝から北方向の定期路線に乗って依頼に行きます。護衛がうまく見つかれば、もう少し自分のペースで動けるようになるとは思うんだけどね…。」



 明日からすぐに発つ事をいつ言うべきか、と実は道中悩んでいたカロンタンであったが、流れでさっさと言ってしまったというところであろう。それを聞いた二人はばくばくと急いでご飯を食べてしまうと、カロンタンを引っ張って布団へと連れ込んだ。ゆっくり布団の中で致しながら色々な事を聞いてもらおう、と二人はアイコンタクトで動いたのである。カロンタンがいない日々は二人の中をより親密にしたようである。


 二人と一回ずつ致した後、カロンタンはアズの事を話す事にして、アイテムボックスから取り出したお茶を飲みながらその存在の事を話した。



「ティリィの街にさ、古代文明のって言われてるダンジョンがあるよね?」

「ええ、コルゼモイの機械工場ですよね?」

「うん。そこでドロップする色々な機械やそのパーツの事も知ってるよね?一応、僕も聞いた事があるくらいだし。」

「知ってるわよー。人型のパーツもいっぱい出るのよね。集めたら動く個体がいるとかいないとか。」



 ゴクリ、と唾を飲み込んだカロンタンは、クレインの言葉尻に乗る格好で話を続けた。



「で、ね。露天に行く時間があったからさ、人型のパーツを見に行ったら、投げ売りなのにものすごく高価なのが混じってて。高く売れる場所は結構遠かったんだけど、取り敢えず買ってみたんだよね。」

「へえ。どんなの?」

「え、えと、」

「か、カロンタンさん…?」



 冷や汗を掻き始めたカロンタンをおかしい、と思ったのか、二人が怪訝な顔をしたところでカロンタンは意を決して言葉を放り出した。



「じ、実はね、何個かパーツを買っただけなんだけど、う、動いちゃったんだ…。」

「…またまたぁ、冗談きついわよ?カロンタン。」

「そ、そうですよねぇ、クレインさん。」



 カロンタンがあまり冗談を言うほうではないと分かっているだけに、あ、あはは、と二人の乾いた笑いが響く中、カロンタンはアイテムボックスからアズを取り出して二人の前にとん、と置いた。ちなみにアズは鳥型の端末を次からじゃないと連れて行かないと言われた時から時間が止まったままである。



「ひどいでありますマスター!!…あれ? 違うであります。…後ろでありますか!?」

「はいはい。明日からは鳥さんを持って行ってあげるから。で、彼女たちは僕の恋人さん達です。」

「…マスター、中々やるでありますね?でも、パーツが揃ったら私も夜の奉仕はさせて頂きますでありますよ!?」



 フリーズしていたクレインであったが、奉仕はさせていただきますのところでくわっと目を見開いてアズをガシッと掴むと、ぎぎぎと無理矢理自分たちの方に向かせた。こめかみに浮かんだ青筋を見て、カロンタンの肝が冷える。フェイはまだフリーズしたまま、動いていない。



「カロンタンにはあたし達がいるから、その必要はないわよ?」

「そ、そうでありましたか、し、失礼致しましたであります…。」



 顔をギリギリまで近づけて言い放った、その迫力に一発でやられたのか、アズは大人しく前言を撤回すると自己紹介を二人にし始めた。カロンタンは色々とされている質問にちゃんと答えているアズを見て、どうやら受け入れてもらえそうでよかった、と溜め息を吐いた。


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