~第一話~
さぁ今度こそ長編。がんばっていきますよー。
T駅前の古本屋を抜けて、いつもの大通りに出る。柿沢秀城は、これが毎日の日課になっている。大通りに出たら、直進200M。最後に少し坂があるけど、それ以外に目立った障害はない。
そこにあるのは、図書館だった。2年ほど前から密かにマイブーム。別に読書家なんて他人が羨む性格は生憎持ち合わせていなかったが、この静かな空気が好きなのだ。
秀城は早速いつもの席へ行こうとしたが、足元がおぼつかない。
理由はわかってる、分かってるんだけど。
図書館にいつもいるオバチャンに会釈をされ、こっちが若干元気なさげに返したせいもあるのか、不満げな顔を浮かべられたりもしたが、何とか定位置、窓際の角に辿りついた。
こういう時は静かにしているに限る。太陽の光を浴びながらうとうとするのもありだろう。いや、思い切って小説でも持ってきてインテリぶってみるか。
席の目の前に来て、その計画は破綻した。
恐らく高校生、同い年くらいの女子が、寝息を立てていた。
秀城の席なんて書いてあるわけじゃないし、だれが使っても悪いなんて決まりはないのだが、無性に腹が立った。
そんなオーラを感じ取ったのか、
「・・・ン・・・ッハ・・・」
目を覚ました。眼球をコシコシ弄ったかと思うと、
「アンタ何?変態?そんなにじろじろ見て何になるの?」
と一蹴。
「いや、べ、別に何でもないですよー。はいー」
遜った声をあげながらそこを立ち去ろうとする。こういうタイプは関わらないに限る。
「ちょっと待ちなさい」
いきなり秀城の鞄をぐいぐい引っ張りながら女子は言った。
「は・・・ひゃい?」
裏声になりながら返す。女子は、ちょっとばかり秀城の顔を真顔で覗き込んだかと思うと、大袈裟にため息をついて、
「・・・貴方、童貞ね」
「は・・・ひゃい?」
さっきとは違うイントネーションで声が漏れる。何言ってんだこのアマ。何で悩んでるか知らないで。
「その顔は図星ね。しかも恋で悩んでるとみた」
「・・・帰らせていただきます」
秀城は一呼吸おいて言葉を発した後、クルッと一回転して出口へ向かおうとした。
「まぁまぁ、話を最後まで聞きなさい。私は貴方の恋を成就させるために異世界から来た・・・ナニニシヨウカナ・・・そう、キューピよ」
「確実に今考えたよね!?」
引っ張られる鞄をもう一回解こうとしながら秀城は言う。この女・・・、馬鹿力・・・。
「で、貴方の恋を応援したいんだけど。どうする?」
「遠慮します」
鞄を取ろうとするが、鞄は自称キューピさんの方へ吸い寄せられていった。
「ど・う・す・る・?」
キューピさんは嘲笑ながらもう一回こっちを向く。
「・・・はい」
早く帰りたい。とりあえず適当に答えておくのが吉だ。
「そう。よく言ったわね。私に手伝わせるってことは、必ず成就するってことよ。いいわね」
「ところで質問なんですが、それくらいいいですか?」
「答えられないことは答えなくていいなら」
「異次元から来たって設定はどこから持ってきましたか?」
「・・・燃えるからよ」
「本名は」
「ノーコメント。私はキューピ」
「何でこんなことするんですか?」
「ヒマツブシ・・・あ、違った。だから言ったでしょ。私は貴方の恋を叶えるために来たって」
「よーくわかりました」
・・・いやなもんと関わったな・・・。
「じゃあ、今日はもう遅いってことで。明日、またここで会いましょう」
さらば図書館・・・。さらばマイブーム・・・。
俺は今度こそ鞄を取って出口へ向かった。
「じゃあ、帰りましょうか」
キューピさんも帰る気になったらしい。帰り道を知られちゃまずいから、途中でトイレにでも行くか。
・・・。
・・・。
・・・?
「何でついてきてるんですか」
図書館から300M、もう少しで家のところ、キューピさんと俺は並んで歩いていた。
「何でって・・・家に行くからよ」
キューピさんはさも平然とした顔で言った。
「え?」
「だって貴方の恋を応援するために一緒にいなきゃいけないじゃない」
「家は・・・?家族は・・・?いや、うちだめだし。夜に女性来るとか、まじだめだから、いや、俺一人暮らしだし、まずいよ。うん」
「どうでもいいじゃない。早く案内しなさいよ」
そういうとキューピさんは強引に秀城を案内させた。秀城は最初は抵抗したが、30秒後、無条件降伏。まぁ、すぐにお引き取り願うという形で・・・ね?
うん・・・頑張る・・・。
更新・・・頑張る・・・。
頑張る・・・?
へへ・・・。がんばります。




