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恋愛物語

私は一人。ずっと一人だと思っていたんだ。だけど、君が私を知ろうとしてくれたから、私は変われた


帰り道。いつものように一人で歩いていると、一人の男の子が話しかけてきた。


「なぁなぁ? お前、なんでいつも一人なんだ?」


「えと...私、話しかけるのが苦手で...」


「そっかぁ...ふーん...」


「ごめん...私みたいなのと話しても面白くないよね...」


「俺はお前と話せて楽しいと思ってる。誰に言われたか知らねーけどさ。お前が思ってるほどお前の話し方気にしてるやついないよ」


「...そっか....」


「俺、お前と友達になりたい!」


「いいよ」


「やったー! じゃあこれ、友達の証な」


その男の子はその辺で拾ってきた石を手渡した。


「これ、河原で見つけたんだ。綺麗だったからお前にやるよ」


「...ありがとう」


私はギュッと小石を両手で抱えた。それからと言うもの、私は何度かその男の子と一緒に帰ることがあった。


「俺の名前は千藤秀一。たくさん勉強して一番になれって意味が込められてるんだってさ。お前の名前もきっと意味が込められてるよ」


「そうかな...」


「そうだよ。俺、お前の名前好きだー」


「私の名前が...?」


「そ。優子って良い名前だと思うぜ。名前の意味は分からないけどさ、きっとお前の両親が何度も悩んでつけてくれた大切な名前だぜ。大切にしろよ」


「...うん」


優子は少し笑った。


「お前の名前の意味、いつか教えてくれよー? 俺だけ言ってるの、不公平じゃん。」


「きっと、いつかね」


私はギュッと胸を押さえた。君はいつでも私に寄り添ってくれた。私が元気がないときは一緒に悩んでくれた


「...何かあったのか?」


「うん...実は...飼っていたインコが死んじゃって...」


「そうか...そいつの名前、なんて言うんだ?」


「ピーコ」


「俺もインコに手を合わせたい。案内してくれ」


「うん」


そして、二人はインコのお墓の前に来た。すると、秀一はお墓の前で膝をついて手を合わせた。


「ありがとうなぁ...ピーコ...お前、優子を守ってくれたんだよなぁ...寿命全部捧げて、優子に尽くしてくれたんだよなぁ...今度は俺が優子を守るから、俺の人生全て捧げて優子を守るから」


秀一の目には涙が滲んでいた。つられて私も泣いてしまった。それから私たちは長い間、同じ道を歩いた


「ねぇ...秀一君。私、あなたと同じ中学に行く」


「...!」


「...もしかして、イヤ..だった?」


「そんなことない!...あ、すまん。大声出して...ただ、嬉しかったんだ」


「私も、あなたと一緒のところに行きたい。あなたの選ぶ道を知りたいの」


それから雨の日


雨の降る日、いつもの待ち合わせ場所に、彼は来なかった。彼は約束を守らない人ではない。きっと何かあったんだ。そう思い、河川敷に立ち寄ると彼が傘もささずに雨に濡れながら川を見つめていた。私は傘を彼の頭上に置く


「...何かあった?」


「何でもねーよ...」


「嘘。隠してるのバレバレだから。秀一君は私が辛い時、一緒に泣いてくれた。だから、私も君が辛い時、そばにいたいの。君の支えになりたいの」


「言いたくねーんだ」


「なんで男の子って弱さを隠したがるの? 人間、弱いところを認め合うものでしょ? 私はね、秀一君の強いところも、弱いところも全て認めたいの。受け入れたいの。ね。だから...少しでもいいから...私には弱いところ見せてくれてもいいじゃない...」


「優子...俺、レギュラーになれなかった。必死に努力して、自分にできることを精一杯やって...それでも届かなかったんだ。それから、俺がやってきた努力ってのは全部無駄だったのかなって思ってさ...」


「そんなことない!...そんなことないよ...秀一君が頑張ってたのずっと見てたよ! 誰よりも遅くまで残って練習して...無駄なんかじゃない! 私は秀一君の努力を認めてるの! 秀一君の努力は私が一番分かってるの。だから...もう二度と私の前で無駄だったなんて言わないで。」


優子の顔には涙が滲んでいた。秀一は優子を抱きしめると、ごめんと一言呟いた。雨は止み、空には虹がかかっていた


それから私たちは結婚した。今では幸せな家庭を築いている。

私は努力している秀一君が好き。一緒に泣いてくれる秀一君が好き。私のことを認めてくれた秀一君が大好き。あの出会いがなかったらきっと私はずっと一人だったと思う。でも、これは偶然じゃない。運命でもない。あなたが私に興味を持ってくれたから、私もあなたのことを知ろうとした。


この素敵な男の子を一生愛すると誓いました





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