それでも書け。
長編を書き始めてもやはり書き続けなければいけないわけですが。
いえ、むしろ長編だからこそ書き続けないといけないわけですが。
そして、書き続けたところで書籍化しないことの方が大半なわけですが。
実際私も中々芽が出なかったわけですが。
それでも、書き続けることで、積み上がるものもきっとあるんじゃないかと思うのです。
前回取り上げました拙作『暗殺少女は魔力人形の夢を見るか』の連載中に、実は新しい連載を始めました。
『暗殺少女』、ネトコンとかに出しても一次は通過するけれども、という状況で書籍化は難しいんだろうなと思い始めていたのが一つ。
それからもう一つ、やはりテンプレを意識した方がいいのかな、というのが頭をよぎったのもありまして。
書き始めましたのが『転生したのにチートも何もなかった挙句魔王への生贄にされたんですが、そのおかげで人生の大逆転、始まりそうです!』という作品でした。
はい。一応ここでも、テンプレに対する反抗心が残っているといえば残っています。
チートものに対するアンチテーゼと言いますか。そんなつもりで書き出したわけです。
……最終的にはハーレムものになったわけですが……おかしい、そんなつもりはなかったのに……。
いえ、百合ハーレムだったから、微妙にテンプレじゃないといえばないのかもしれませんが。
で、書き始めましたこの作品、実は最初に短編で出しました。
そこで反応が悪くないなと感じたので長編に踏み切った初の作品になります
この短編の初日PVが327。
連載版は初日のPVが506。『暗殺少女』の5倍強、6倍弱ほどでした。
この出足の差こそが、『暗殺少女』を書き続けていた効果だと考えています。
皆様、逆お気に入りというのはご存じでしょうか。
他のユーザーの方に『お気に入り』として登録してもらうと、こちらから見ればお気に入りの逆、つまり逆お気に入りになる、というわけですが。
暗殺少女を書き続けている間に、ありがたいことにお気に入り登録を結構していただいたみたいなのですね。
もちろんTwitterでの繋がりなどが増えたというのもあったとは思いますが……結果として、スタートが切りやすくなったんじゃないかなと。
翌日にはPVも四桁に突入、当時は暗殺少女と交互で二日に一回の更新だったにも関わらず、です。
単純計算で、一回の更新あたりでPVが3,000くらいはいくようになったことに。
また、投稿開始した月のうちに一日のPVが2,500前後、一回の更新で5,000ほどPVをいただけるようになりました。
こつこつ続けて、連載終盤には一日のPVが5,000を越えることも珍しくなくなっていき、完結の際にはブーストがかかって40,000PVまでいく始末。
この時は、流石に目を疑いましたね……完結ブースト怖い。凄い。
最終的には八十万字オーバー、完結ブーストのおかげもあって総合評価は初の10,000ポイント越え、いわゆる書籍化の目安と言われるポイントに到達することは出来ました。
残念ながら、お声がけはいただけませんでしたし、コンテストも通過出来なかったので、書籍化しなかったのですが……。
それに、書籍化するような作品は一日のPVが10,000越えるのがザラだったり、完結前に10,000ポイントいってたりするようですから、勢いが後一歩か二歩足りなかったのかなと思います。
正直、中身は気に入ってるのですが! 今でも諦めてないのですが!
現実は現実、と受け止めます。
それに、連載中に10,000ポイントを越える作品を出すことも出来ましたしね。
お陰様でコミカライズのお声がけをいただき、先日公開されました『悪役退屈令嬢』がそれになります。
この作品が伸びたのは、多分ここまでの二作品による積み重ねの結果が大きいんじゃないかと。
よく、エタるのが心配だから完結するまで読まない、という声を聞くことがありました。
観測範囲が狭いせいか最近はあんまり聞かないのですが、完結ブーストが存在する以上、今もそういう読者の方はいらっしゃるのでしょう。
ところが、私は七十万字オーバーと八十万字オーバーを書き切りました。
それで読者の方に『こいつは最後まで書く奴だ』と信頼してもらえるようになったんじゃないかな~と。
最後まで書くだろうから最初から読む。
すると初動のポイントが伸びやすくなる。
初動のポイントがいいと、ランキングに載りやすくなって新規の人にも読まれやすくなる。
新規の人に読んで気に入ってもらえたら、逆お気に入りが増える。
逆お気に入りが増えたから初動のポイントが入りやすくなる。
ひたすら書いていったことで、この好循環に入れたんじゃないかなと考えています。
今現在、私の逆お気に入りはありがたいことに1,000人を越えておりまして。
そのおかげで、短編などは投稿して24時間で総合評価500~1,000ポイントいただけることが増えました。
流石に毎回ではありませんし、多分他の書籍化作家さんはもっと多いことでしょう。
ここまで登録していただくのに5年かかりましたが、それも決して早いとは言えないでしょう。
それでも、亀の歩みのようであっても、書籍化までこぎ着けることが出来ました。
多分それは、書き続けたから、だと思うのですね。
例えば書籍化した『人質姫が、消息を絶った』も『肉と酒を好む英雄は、娶らされた姫に触れられない』も、初日からPVは1,000を越えて、翌日には更に跳ね上がっています。
この際も確か、24時間で500ポイントくらい入ったはず。
そこから伸びて日間総合一位まで届いたりしたのは今となっては良い思い出です。
伸びやすい異世界恋愛短編ですが、同時にランキング入りの壁も高く、前述の通り最初の24時間で200ポイントちょっとを取れないと伸びにくいでしょう。
多分、最初の頃の私だったらクリア出来てないんじゃないかと思います。
このハードルをクリア出来るようになったのは、本当に読んでくださる読者様のおかげ。
特にお気に入り登録をしてくださってる方の影響は大きいのだろうと思うと、どれだけ感謝してもしきれないところです。
ここまでつらつら書いてきましたが、ひたすら書くことの効果はご納得いただけたでしょうか。
納得出来ないという方ももちろんいらっしゃるかと思います。
これらは全部私個人の経験からくる考察。
同じようなことをしても結果が違った方もいらっしゃるでしょうし、違ったやり方でもっと成果を上げられた方もいらっしゃるでしょうから。
それ以上に「五年もそんなにコツコツやってらんねーよ!」も少なくないのでは、と思います。
いやほんと、その通りなんですけどね。
そこも社会人しながら書いてた効果なのかも知れませんが、書けちゃったのですよ。
この歳になると、一年過ぎるのがあっという間でございまして。
会社に振り回され、家では趣味の時間を削って執筆して、とやっていますと五年くらいあっという間だったんですよね~。
ある意味これは、若くないからこそ、なのかも知れませんが。
……年取ってからのチャレンジに、まさかこんなメリットがあったとは。
しかし、私のチャレンジはもちろんここで終わりではありません。
話を戻して、初動もよくなり、『悪役退屈令嬢』でコミカライズのお話もいただけました。
ですが、小説としての書籍化ではありませんでした。
つまり、コミカライズの原作としての商品価値は認めていただけましたが、小説としての商品価値は不十分だったとも言えるわけです。
実際、『退屈令嬢』はコンテストに出してもいたのですが、最終選考に残ったことはあれど受賞はなし。
小説単品では商品として足りないところがある、と見なされたようなものです。
では、どうすればいいのか。
この時、人によっては大幅に改稿する方もいらっしゃいます。
実際、小説としての表現ですとか展開ですとかを手直しすることで商品価値がぐっと上がる小説もあることでしょう。
というか、私の『人質姫』も構成に手を入れて出版されてますしね。
ですが、私は大幅改稿に手をつけませんでした。
ある意味もっと大変できっついことに手を出してしまったのです。
そう、もう一本連載を増やす、でした。
増やしすぎて今もひいひい言ってるわけですが。
しかし一度やり始めたからにはやるしかないので、かなり休み休みなれども今も書いているわけですが。
ここで始めたのが『王国一の無責任令嬢』。
『退屈令嬢』はいきなり長編でしたが、こちらは短編で出してから長編、という流れ。
実は初動PVだけなら『退屈令嬢』より良かったりしました。
この辺りから、短編から長編、という流れを意識しだしたような気がします。
ただ、こちらの『無責任令嬢』もちょっと書籍化は厳しいかな~という伸び具合。
正直連載を抱え込みすぎたりして更新頻度が落ちたのもあるとは思うのですが。
とはいえ、書籍化にまで至らないような勢いであることは事実。
どうしたものか、と考えた結果……を次回にまた書けたらと思っております。