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一蓮托生だと言っただろう?

作者: 玉白美琴

元々勝ち目などない無理な戦争だった。


国王が急病で崩御して直ぐ、まだ成人して間もない王子が即位し、その無茶苦茶な政で国は荒れた。


それを挽回しようとし、小国なのに大国に無茶苦茶な戦争を仕掛けたのだ。


いくら国王の命令とは言え、無垢な村を焼き討ちにしたのが行けなかった。


村人達は逃がしたが、帝国に助けを求め今に至る。


仲間である騎士団は次々と討たれ、副団長と騎士団団長は背中合わせに剣を構える。


「あの世で酒を酌み交わす事になりそうだな」


「ふふ、ならせめて良い酒を用意してくださいよ!!」


同時に地を蹴り、最強と詠われる帝国軍に斬り込む二人。


「ぐあっ!!」


「団長っ!?」


先に団長が袈裟懸けに斬られ、副団長は思わず叫ぶ。


「があっ!!」


そのまま副団長も背中を斬られ二人は倒れ伏した。


「死ぬ時も……一緒ですよ?団長……」


「……はは……一蓮托生……か」


瀕死の二人が笑い合ったのが、最期だった。


その後、小国は大国に滅ぼされ地図から消えた。



更にそれから50年後。


大帝国カイザーでは。


「将軍!!まあーた、サボって!!」


「お?これはこれは宰相殿」


芝生に転がっていた将軍に駆け寄る宰相。


「既に帝国軍の書類が溜まっていて貴方の部下が泣き付いてきたんですよ。仕事は真面目にしてください」


「済まんな、どうにも座ったままは苦手でさ。仕方無い戻るさ」


宰相に言われ将軍は戻っていく。


宰相と将軍の後ろ姿は、あの日討ち死にした副団長と騎士団団長と重なるのだった。


「夜は開けといてくれよ?」 


「忙しいから無理です」


将軍は宰相に振られた。


「宰相のケチ!!」


「ケチで結構です」


そのまま二人は廊下を歩いていく。


仲睦まじい様子を、かつての騎士二人が見ていた。


『一蓮托生だと言っただろう?』


『ならば、生まれ変わっても一蓮托生です』  


二人は笑い合うと、そのまま消えていった。



「ん?今誰か居なかったか?」


「幻覚では?朝から幻覚って……昨日あんなに飲みすぎたからですよ!!」


「酔って俺を煽った宰相は可愛かったぞ?」


「五月蝿いですよ!!」


将軍に宰相は顔を赤くさせると、二人は慌て走り出した。


「で?言い訳は?」


「「有りません。すみません……」」


皇帝に怒られ、二人はしゅんとした。



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