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一話また生き返った



「大丈夫ですか!?意識ありますか!?」


「おい!誰か救急車呼べ!」


薄れゆく意識の中、聞こえるのは赤の他人の心配の声……

体は自由に動かせず、視界は真っ赤に染まっていた。

そこでようやく、自分が数秒前に勢いよく走ってきたトラックに撥ねられた事を、思い出した。

猫や女子高生を助けて撥ねられたのならまだ良い。渡れると思って信号無視したのが間違いだったのだ。


そこまで思い出した頃には、もう考える力も無くなってきて、周りの声も届かなくなっていた。


ああ……どうせ死ぬなら、異世界に転生してチートハーレム……したかったな。


その願いを声に出すことも叶わず、俺は一度死んだ。





………………………………

………………

……



目が覚めると、俺は真っ白な空間にいて目の前には天使のような風貌をした女が立っていた。


「……アンタは、ひょっとして……」


「はい、お察しの通り私は天使です。天使のルプと言います。以後お見知り置きを」


「俺は……たしかに死んだ筈……これは一体どういうことだ?」


「えーっと……説明すると難しいのですが、簡単に言うと、私があなたの意識のみを保護して今こうしてお話ししているのです。その体は生前のイメージから作られた偽物です」


「そう……か。なあ、これから行くのはあの世か?」


俺は内心期待しながら質問する……

このシチュエーションで異世界転生じゃないなんて事も少ないだろう……が、まだ決まったわけでは無いので、あまりがっつくとみっともないと思ったからだ。


「いいえ。通常なら貴方の様なゴミは地獄行きですが、今日は丁度神様の誕生日だったので、記念日として今日事故で亡くなった方は特別に!生き返れちゃいますっ!」


「生き返る……?それだけか?」


「それだけではありません、貴方には1つだけ能力を授けます。その能力をうまく使って、新たな生をうまく生き抜いてください」


「なあ……異世界に行ったりはしないのか?」


「いやー……そんな物ないので」


「えー…‥大分俺期待してたのに」


「まあまあ、一度死んだのに生き返れるだけでも幸運ですから。それに、今回はチートも授けちゃうので、それをうまく使って今後の人生を豊かにして下さい」


まあ、それもアリかな……

よく考えたら、異世界とか治安悪そうだし、魔物は怖いし、平均寿命短そうだし……


「じゃあ生き返えるわ。あざっす」


「承知しました。それじゃあ、行ってらっしゃいませ」


「ああ!ありがとうなアンタも。次会う時はまた死んだ時だな。その時はまた改めてお礼を言うよ」


「ええ……それではさようなら」


すると突然、目の前が真っ暗になった。


暫くすると、真っ暗な中に光が見え出した。


いつの間にか真っ暗な空間から自分が目を瞑っていただけの状態になっていた事が分かり、目を開けた。

あたりを見渡すと、俺が死ぬ1分前に戻っていた。

こうして俺は、生き返ることができたのであった……。


「なるほど……時間が戻るってことか。さっき俺は信号無視した結果トラックに撥ねられたわけだから、今度はちゃんと信号で待てば良いのだな」


ブツブツ呟いていたから通行人に少し変な目で見られたが気にしない。

横断歩道まで来たところで、信号が赤だったのできちんと止まった。


「これで事故は起きなー」


俺がそう言いかけたところで、つい先程俺が信号無視したせいで俺を轢き殺したトラックが、何故か俺の方に突っ込んできた。


「え?」


俺の記憶はここまでだった。





………………………………

………………

……



「……というわけで、あなたは再度あの世界で死んだので、ここに来たと言うわけです」


「いや、訳わかんないです。そもそも俺は死んだ筈では?また生き返れるんですか?」


「はい。それがあなたのチート能力ですので」


「えぇ……なんかあんまり嬉しく無い。それって事故で死んだならともかく、寿命で死んだならどうなるの?」


「寿命で死んだら普通に死にますよ」


「使えねぇ……」


「いや、使えない事ないでしょ。死んでも生き返れるんだから」


「もっとさぁ、金儲けとかに使える能力が欲しかったのよ俺。それなのにこんな……生き返るだけ……」


「某異世界ラノベでも死んで生き返ってたのが強かったんだから我慢して下さい。それではもう一度生き返りますよ。えいっ!」


すると、またしても俺の視界は真っ暗闇に囚われてしまった……



多分そんなに長く続かないです

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