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介護士の小話

令和4年6月 サ高住閉じ込め虐待

作者: HOT-T

ちょっと同業者としては物凄く腹立たしいニュースだったので、いつもの虐待系に対するエッセイより怒ってると思います。

 東京都の訪問時介護事業所が『サ高住』で利用者が部屋から出られないようにドアを紐で縛るなどの虐待をしたとして、都から処分を受けました。

 マジかよ、いまだにこんな地獄みたいな光景あるのかと驚きました。


 さて、まずは『サ高住』とは何かからですね。

 これは『サービス付き高齢者向け住宅』の略称で詳細に語り出すなら連載覚悟が必要なので軽くいきます。


 主に要介護度が高くない高齢者を対象にしたバリアフリー住宅の事を指します。

 一応、賃貸契約を結ぶみたいな感じで一般の住宅と変わらないような自由度の高い生活ができ、なおかつ安否確認や生活相談などのサービスが受けながら生活をする感じですね。


 食事の提供や生活支援、夜間の見守りといったサービスは任意となっているので自分で食事を作っている人も居ます。

 最初は自分で作っていて、機能レベルが低下して食事を作るのが難しくなったら食事を頼む形にしているって方も見受けられますね。


 それで、介護サービスは訪問介護の事業所なんかが担っているわけで今回やらかしたのもこの種類の事業所。

 では何が起きたか。


①職員が昨年9~10月の間、入居する80~90代の女性2人に対し、ドアノブをひもで固定して自室から出られないようにした。


②同8月には60~80代の男女3人に対し、水道の元栓を締めて水分を取らせないようにした。


 事業者側は「徘徊(はいかい)や失禁を防ぐためにやった」と説明しているらしいです。

 うん。えーと、さっきも言ったけど……地獄ですかね?


 詳細はあまり語られていませんが私はサ高住に行ってた元ヘルパーだし何なら今でも関りあるから何となく想像できます。

 まず、①について。これは恐らく夜中に廊下を歩き回ったり出て行こうとしたり、他所の部屋に入って行ったりする利用者さんなんでしょうね。

 

 認知症で自分の状況が分からなくなったり純粋に人寂しくて話をしに部屋に入る人。

 後は、『絶対家に帰るマン』状態な方とかいますね。


 何なら実は、私の親族がそうでした。

 祖母の姉で祖母と2人で暮らしていましたが認知症が酷くなりウチの施設が経営しているサ高住に入ってもらいました。

 ただ、そこで動き回りスキル発動。他所の部屋に入るわ。非常口から出て行って行方不明になるわ。

 そして周囲からクレームが飛び交うわ、でした。


 ちなみにこんな行動に至った理由は『妹が何処にもいない』と慌てて探していたからでした。

 とても妹思いの方でした。祖母は若くして夫を亡くしたのですがそれを見て一緒に暮らし始めずっと支え合いながら生きてきた人です。


 と、まあ。こんな風に動き回る方って大変ですし精神をすり減らされます。

 だけどね、閉じ込めませんよ。それって『踏み越えちゃいけないライン』ですよね。

 勿論、ヘルパーで『閉じ込めよう』って発想の職員は居ませんでしたね。

 まあ、私の親族を閉じ込めようなんてそんな『恐ろしい』真似は出来ないでしょうが……と言うのは冗談で、やはり出来る事を考えてくれましたね。感謝しかありません。

 その方は数年前亡くなり、祖母も去年亡くなりました。

 多分、今頃あちらでまた姉妹喧嘩をしてるんじゃないかなと思ったりします。


 という事で、この発想が出てくる時点でこの東京都の事業所ヤベェなと思いましたが②も凄い。

 いや、拷問かな?水道栓締めたってもう意味不明です。

 しかも8月に!!


 しかも失禁を減らしたかったからって…………すいません、あなた方の身体に血は流れてますか?

 いや、確かに失禁は大変ですよ。明らかに巡回じゃない時間に訪問しなければならなかったり予想以上に時間を取られて予定したサービス時間が減る事だってあります。

 でも、だからサービスの見直しってあるんですよね。

 

 後、病気の関係で飲水が制限されている方ってのも時々いますが今回はそんな感じじゃなさそうですね。明らかに『事業所都合』『職員の都合』だと思います。

 ちなみにそういった差し迫った理由で水の使用を制限する場合、『拘束の同意』なりを取りますね。

 

 もう発想が介護している事業所のものと思えない。

 しかも所長の指示。まあ、これ社会福祉法人がやってる事業所じゃないみたいなのでやっぱりそういうところが来るとこうなるか、とか思ってしまいますね。


 更にはこの事業所、実際には行っていないサービスを提供したと嘘の記録を作成して、市などからおよそ170万円を不正に受け取ったということですが……真っ黒じゃん!!


 都は事業所に対し、16日付で10月1日からの3カ月間事業停止という処分命令を出しました。

 90数名がその間、別の事業所のサービスを受ける様になって迷惑を被るのですがまあ、この事業所じゃなくて良かったね、といった感じでしょうか?


 人生も最終地点まで来て不当に閉じ込められたり水を制限されたお年寄りの方々がとてもかわいそうです。

 そんな人を人と思わない事業所がひとつでも少なくなってくれればな、と思う次第です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あらら。本業さんでも怒りを感じるんですもの、我々一般人の気持ちも間違いではないと再認識させられました。
[一言] 水道を止めるとなると、殺人ですね……。
[良い点] 介護事業に真摯に取り組む方や事業者には尊敬しかない反面で、要介護者や高齢者を「お金」としか見ていない、こうした悪質な事業者には反吐がでます。 自分たちがサービスを受ける側になったとき、どれ…
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