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払雲花伝〈ある花人たちの物語〉【塵積版】  作者: 讀翁久乃
第2幕:白濁黒(にごり)に染まぬ蓮葉の
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〇 新たな幕開けの一節 | 主な登場人物の雲行き

 


 “ 蓮葉(はちすば)の 濁りに()まぬ 心もて なにかは露を (たま)とあざむく ” 



   ―― 蓮は、清らかな心を持ちながら、

         なぜ、ただの露を玉と見せて、ひとを騙すのか ――





 幼子は、黄葉した楊の葉を黄金おうごんのように価値あるものと思い込み、大切にするという。

 “愛楊葉児あいようように” ――。だが、愚かだとは言い切れない。


 その眼があれば、蓮の葉が飾り置いた単なる露も、玉に見えるだろう。

 葉に落ちるたび、跳ね返る涙も玉に――……、あるいは、恵みの雨に見えるかもしれない。


 物事を見たままにしか捉えられないのは、人生を損しているのと一緒だ。元来、人の眼は都合よくできている。捉えたいように、捉えたらいい。そうでなければ、やり過ごせない出来事が山ほどあるのだから。世の中には知らなくていいことも、山ほど――。



 しかしなお尽心じんしんに努めるならば。

 白にも、黒にも染まらず、濁らない水が、玉の如き至宝であるように。




    迷える子羊を連れて暁夜ぎょうやを歩き続けろ。


    汝、盲目に等しくとも、




        天地両極とその境を、見澄ませる者であれ――……。

 




             【 語り部の声……『至宝というべきもの』より 】










◇ ―――― 主な登場人物の雲行き ―――― ◇



須藤皐月すどうさつき(主人公)

 黒眼で霊応がないと思われたが、超常現象級の自然災害を引き起こすほど

 甚大な造現力を秘めていることが判明。花人であることを頑なに否定中。

 霊応の制御に問題を抱えていて……?





蓮壬彪将飛叉弥はすみひゅうじょうひさや飛蓮フェイレン

 皐月を再召喚。いよいよ、花人として本格的に関与するよう迫り、

 戦闘訓練を命じる。が、実は不本意である様子……?




…………………………………………………




菊嶋嘉壱きくしまかいち菊羽越ツェンウェイツ

 ムードメーカーで、何かと世話を焼くうち、

 皐月に対する印象が変わり、友好的な態度を取るように。

 彼をかばうような言動があからさまになってきて……?





桐峰柴きりみねしば桐騨トウダ

 むぐら出身だが、才能ある軍医。

 皐月の血液から正体を探り、うてなの機密にたどり着いて…?

 




桜源嶺薫子おうげんりょうかおるこ芳桜ホウオウ

 皐月を拒絶しているが、只者でないことが明らかなその身辺を

 単独で探り始める。摩天にて、ついに彼の家族を突き止め……?





喜梨啓丁きなしけいてい梨琥リク

 仲間思いの上、飛叉弥を慕っており、皐月を敵視。

 感情的になり、もっとも仲が良いはずの嘉壱と衝突を起こす。





真椿芽満帆まつばきめいみつほ椿奈チュンナ

 敏感な性格で、本性を隠している皐月を猛烈に警戒。

 一方で、仲間たちの対立を防ごうと気を配るが……。 





菖淵史雄勇しょうえんしゆういさみ菖雲ショウウン

 皐月を巡って続発する問題を注視。

 彼の年齢や名前に、嘘がないか確かめたりしたが、

 何を根拠に疑ったのか不明。

 皐月のことをどう思っているのかも不明。




…………………………………………………




グエン睿溪えいけい

 東扶桑(ひがしふそう)出身のさすらい剣士、武尊(ほたか)と名乗る謎の男。 

 しつこく酒楼に誘うため、飛叉弥には〝暇人飲み師〟と馬鹿にされ、

 皐月からは〝ウザいおじさん〟呼ばわりされる。その正体は……?





蓮尉れんじょうあんやづさ / 左蓮サレン(自称)

 萼からいざす貝を盗み、行方をくらました紫眼の花人。

 皐月の正体に心当たりがある様子。

 黒同舟の構成員として、前回、九天九地の引き合いという

 超常現象を起こした彼の正体に確信を得るため、新たな舞台を用意する。

 飛叉弥とは同士以上の関係だった、という見方をする者もあるが……?





玉百合(たまゆり)姫(環玉かんぎょく

 うてなの次期元首で、皐月の正体を知っており、

 華瓊楽カヌラでの動向を見守る。

 一方、飛叉弥が華瓊楽という死地に追い込まれた原因や、

 皐月が摩天に暮らしてきた事情に関与している様子で……?





死蛇九しじゃく澑火たるほ

 邪火神孫。天外宮火守(ひもり)神堂司だった。

 華瓊楽の治水技術そのものと崇められていた

 某水神孫を手にかけた罪人だが、無実を主張し、

 自ら絶海の孤島にて毒蛇を用いた神判を要求、逃亡した。

 その後、大旱魃の裏でいざす貝を利用し、

 国土の不毛化を謀った黒同舟の指導者。

 皐月の正体を見極めた上で、生け捕りにしたい思惑があるようで……?


 


 

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