〇 新たな幕開けの一節 | 主な登場人物の雲行き
“ 蓮葉の 濁りに染まぬ 心もて なにかは露を 玉とあざむく ”
―― 蓮は、清らかな心を持ちながら、
なぜ、ただの露を玉と見せて、ひとを騙すのか ――
幼子は、黄葉した楊の葉を黄金のように価値あるものと思い込み、大切にするという。
“愛楊葉児” ――。だが、愚かだとは言い切れない。
その眼があれば、蓮の葉が飾り置いた単なる露も、玉に見えるだろう。
葉に落ちるたび、跳ね返る涙も玉に――……、あるいは、恵みの雨に見えるかもしれない。
物事を見たままにしか捉えられないのは、人生を損しているのと一緒だ。元来、人の眼は都合よくできている。捉えたいように、捉えたらいい。そうでなければ、やり過ごせない出来事が山ほどあるのだから。世の中には知らなくていいことも、山ほど――。
しかし尚、尽心に努めるならば。
白にも、黒にも染まらず、濁らない水が、玉の如き至宝であるように。
迷える子羊を連れて暁夜を歩き続けろ。
汝、盲目に等しくとも、
天地両極とその境を、見澄ませる者であれ――……。
【 語り部の声……『至宝というべきもの』より 】
◇ ―――― 主な登場人物の雲行き ―――― ◇
◆須藤皐月(主人公)
黒眼で霊応がないと思われたが、超常現象級の自然災害を引き起こすほど
甚大な造現力を秘めていることが判明。花人であることを頑なに否定中。
霊応の制御に問題を抱えていて……?
◆蓮壬彪将飛叉弥 / 飛蓮
皐月を再召喚。いよいよ、花人として本格的に関与するよう迫り、
戦闘訓練を命じる。が、実は不本意である様子……?
…………………………………………………
◆菊嶋嘉壱 / 菊羽越
ムードメーカーで、何かと世話を焼くうち、
皐月に対する印象が変わり、友好的な態度を取るように。
彼をかばうような言動があからさまになってきて……?
◆桐峰柴 / 桐騨
葎出身だが、才能ある軍医。
皐月の血液から正体を探り、萼の機密にたどり着いて…?
◆桜源嶺薫子 / 芳桜
皐月を拒絶しているが、只者でないことが明らかなその身辺を
単独で探り始める。摩天にて、ついに彼の家族を突き止め……?
◆喜梨啓丁 / 梨琥
仲間思いの上、飛叉弥を慕っており、皐月を敵視。
感情的になり、もっとも仲が良いはずの嘉壱と衝突を起こす。
◆真椿芽満帆 / 椿奈
敏感な性格で、本性を隠している皐月を猛烈に警戒。
一方で、仲間たちの対立を防ごうと気を配るが……。
◆菖淵史雄勇 / 菖雲
皐月を巡って続発する問題を注視。
彼の年齢や名前に、嘘がないか確かめたりしたが、
何を根拠に疑ったのか不明。
皐月のことをどう思っているのかも不明。
…………………………………………………
◆阮睿溪
東扶桑出身のさすらい剣士、武尊と名乗る謎の男。
しつこく酒楼に誘うため、飛叉弥には〝暇人飲み師〟と馬鹿にされ、
皐月からは〝ウザいおじさん〟呼ばわりされる。その正体は……?
◆蓮尉晏やづさ / 左蓮(自称)
萼からいざす貝を盗み、行方をくらました紫眼の花人。
皐月の正体に心当たりがある様子。
黒同舟の構成員として、前回、九天九地の引き合いという
超常現象を起こした彼の正体に確信を得るため、新たな舞台を用意する。
飛叉弥とは同士以上の関係だった、という見方をする者もあるが……?
◆玉百合姫(環玉)
萼の次期元首で、皐月の正体を知っており、
華瓊楽での動向を見守る。
一方、飛叉弥が華瓊楽という死地に追い込まれた原因や、
皐月が摩天に暮らしてきた事情に関与している様子で……?
◆死蛇九(澑火)
邪火神孫。天外宮火守神堂司だった。
華瓊楽の治水技術そのものと崇められていた
某水神孫を手にかけた罪人だが、無実を主張し、
自ら絶海の孤島にて毒蛇を用いた神判を要求、逃亡した。
その後、大旱魃の裏でいざす貝を利用し、
国土の不毛化を謀った黒同舟の指導者。
皐月の正体を見極めた上で、生け捕りにしたい思惑があるようで……?




